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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第57わ「真実の世界へ」

(承前)

騎士めいた痩躯のハントマンは傍らに落ちたズタ袋を拾い上げると高笑いを残して屋上の縁へと駆け出した。飛び降りたのだ。

「チッ。あの一ツ星ハントマン、今が一番❝ゲーム❞が楽しく感じられる時期でしょうね。戦闘、勝利、そして成長です。まぁ、装備の強さを自分の強さだと錯覚しがちな個体もいるようですけど。次に会うとき、どれだけ強くなっているか……」

気がかりなのは敵よりも相棒だ。胸と右肩から生えた杭。相棒はこれを❝ペナルティ❞だと言っていた。まさか一生このままだったりするのだろうか。

「へ?ああ、この杭のことですか?ええと……これはパートナーの指示に従わないハントマンに対するペナルティですからね!私たちの険悪さが解消されれば一発で元通りですよ!具体的には同じ棺桶で日の出から日没まで一緒に寝ればいいのですが

なんて厳しい制約なんだ。このペナルティを相棒に背負わせたまま最後まで戦い続ける決意が湧いてきた。

(続く)

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