ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第52わ「てっぺん目指そう」
「……というワケで連中の追跡から逃れるべく今から次のビル……というか県庁ですね。あそこを目指して跳躍します。途中からは壁面を登攀する必要がありますのでダンナは自分の力で私にしがみついてなければなりません。ここまでで質問はありますか?」
今のところは特に無い。
「ならば結構。行きますよ!」
叫び声と同時に心臓に悪い浮遊感が全身を包み込む。空から眺める、この街の夜景も悪いものではないと不覚にも思ってしまった。それが一種の現実逃避だとは知りつつも。……そして鈍い衝撃が体に伝わる。ビルの壁だ。
「……ところでダンナ、この街は好きですか?」
相棒は俺の体をぶら下げたままビルの壁を登り始めている。屋上までたどり着くのに少し時間がかかるだろう。質問の意図は読めないが……単なる暇つぶし以上の意味はあるまい。
「❝ゲーム❞に勝ち残れば大体の願い事は叶えられます。例えば、この街を二度と❝ゲーム❞の舞台に選ばせない、とか」
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