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コミュ障で社会に適応していない私が今までの人生を振り返る壮大な自分史(18)

前回の記事で、数学愛好会に入ったことにより文化祭が楽しくなった話をしました。
前回は、予算を貰ったり数学愛好会を隠れ蓑にクラス活動をさぼったりした話を書きましたが、今回は数学愛好会が文化祭で起こした快挙について書いていきます。

部活動説明会に出てみる

奇跡の前兆となったのが、高3の4月に行われた部活動説明会。新入生を前に各部活団体がアピールするのですが、私も数学愛好会の代表として参加することにしました。

その時はただ淡々と数学愛好会の活動内容と活動場所について話しただけですが、それでも5人の入会希望者が来てくれました。途中から一人が幽霊部員状態になりましたが、それでも常時活動するメンバーが新たに4人入ったことは数学愛好会にとっては大きなことでした。

数学愛好会が学校に行く楽しみになる

この頃、自分が数学の問題を出して解説するという活動スタイルを確立しました。今思えば、2学年下の後輩に教えた経験が、学習塾講師としての原点として存在しているのです。
また1年生4人のうち3人は同じ中学出身で、さらに自分の最寄り駅と近かったため、先輩後輩というよりは友人に近い感覚で接していました。
2学年下の友人ができたことで、数学愛好会の活動が楽しみになりました。

高校の文化祭は9月1週目に行われます。6月くらいから準備がスタートし、徐々に学校中(の陽キャ)が文化祭ムードに染まっていきます。
数学愛好会での文化祭について考えていたとき、せっかく後輩が4人いるのだから、数学愛好会でもPR動画を撮影しようとひらめきました。PR動画とは、文化祭の初日に全校生徒が集まる体育館で流される1分間の紹介動画のことです。クラスでは提出が義務付けられていますが、部活動団体には義務付けられていないため、過去2年間は動画を作成してきませんでした。
動画を作成しようとは言ったものの、私は機械音痴なので動画の撮影方法すらろくにできません。動画の内容から編集まで、後輩と協力して作り上げようと考えていました。

動画の内容

動画内容を考えていく中で、後輩からピタゴラスイッチ動画を作ろうという案が浮上しました。他にこれといった案もなかったので、ピタゴラスイッチの動画を作成することになりました。
どのような装置にするか、どうやって撮影するか話し合いが行われました。とはいえ、私には装置をデザインする創造力もなければ、撮影方法についてもよく分からないので、話し合いは後輩を中心に行われました。
その後も動画についてほとんど口出しをしないまま、動画の撮影は進んでいきました。
後輩たちは夏休みを利用して、数学愛好会の部室にドミノを並べたりヒモで仕掛けを作ったりして撮影を進めていました。
撮影方法について簡単に説明すると、部室内に1分間のピタゴラ装置を作成するのは難しいので、ドミノが倒れるシーンや仕掛けが発動するシーンを別々に撮影し、編集でつなぎ合わせました。
もちろんこのアイデアも後輩たちが考えました。
動画の企画、材料の準備、撮影、編集までほとんど後輩たちの力だけで完成させました。この間私がしたことと言えば、撮影のために部屋を抑えたことくらいです。
夏休みの間を利用して撮影は順調に進み、本番一週間前には完成しました。
完成した動画を確認すると、コントのようなくすっと笑える出だしから最初の仕掛けが発動し、そこから各仕掛けが編集でうまくつながっていました。しかも、ピタゴラスイッチのBGMまでついており、とても素晴らしい作品に仕上がっていました。
最初PR動画を作ろうと言い出した時には、最終的にここまでクオリティの高い作品が出来上がるとは思ってもみませんでした。

文化祭本番

文化祭初日。各クラスのPR動画が流されるのですが、数学愛好会の動画が流れた瞬間、体育館が歓声とどよめきに包まれました。自分たちの作った映像がこれほどまで注目を浴びているのだと考え嬉しい気持ちと、してやったりという気持ちが入り混じった感情になりました。
事前に見せてもらっていたのでクオリティの高い作品であることは知っていましたが、ここまで反響があるとは思いませんでした。

文化祭の最終日には表彰式があります。
飲食や演劇といった分野ごとの賞など様々な表彰があるのですが、数学愛好会は見事PR動画賞に輝きました。
取れるかもしれないなと期待はしていたのですが、ふたを開けてみると2位と倍以上の差をつけての圧倒的な1位でした。
そして図々しくも私が賞状を受け取りに行きました。


PR動画賞を取れた2つの理由


1)撮影に口を出さなかった

1つ目は、私がほとんど口出ししなかったことです。
撮影に関して、私はほとんど何も指示を出さなかったどころか、完成品を見るまでどのような構成の動画になるかも把握していませんでした。
もし私が企画や撮影に対して口出しをしていたら、後輩たちの士気は下がったでしょう。いくら学年の垣根なく交流していたとはいえ、2学年上の先輩に言われたら的を外れた発言であっても聞かざるを得なかったはずです。

先輩やリーダーといった立場にある人は、ついつい物事に口出しをしたくなるものです。時にはアドバイスが必要な場面もあるかもしれません。しかし、後輩や部下を育てたいと思う気持ちがあれば、あえて口を出さないという選択を取るべきです。

もちろんメンバーの行動に口をはさみたくなる気持ちは分かります。しかし、部下に向かって頻繁に口を出しているとメンバーは上司の顔色を窺って仕事をするようになってしまい、指示待ちの状況が発生してしまいます。

加えて、たいていの場合メンバーのモチベーションが低下します。これはリーダーとメンバーの信頼関係にもよりますが、ある程度の裁量を持たせてあげないと個々のやる気が下がってしまいます。

上司が頻繁に口出しをしてしまうことで、指示待ちでモチベーションの低い集団が出来上がります
もちろん上司は責任を取るべき立場なので、心配になるのは分かります。しかし、そのことは部下にだってわかっていることでしょう。上司から裁量をもって仕事を任されたなら、上司の顔に泥を塗らないようモチベーション高く仕事を進めてくれるはずです。

メンバーで処理しきれない事案が発生した場合は部下から上司に聞いてくるはずです。この時に、コーチングを用いて部下と一緒に考えながら答えにつながるヒントを出してあげましょう。最低限の口出ししかしないことで、部下の成長につながるとともに、上司自身の負担を減らすことができます。

2)撮影すると決め口に出した

2つ目は、「PR動画を撮影する」と言ったことです。
何を言っているんだと思われるかもしれませんが、PR動画の撮影が始まった起点は「動画を撮影する」と言ったことです。つまり撮影すると言わなければ高クオリティな動画はおろか、数学愛好会のPR動画というもの自体が完成しなかったのです。
とりあえずやってみようと思い立ち、口に出したことがPR動画賞受賞につながりました。

成功するためのコツは、やってみること、口に出すことです。成功した人の共通点は、やってみたことです。そもそもやらなければ成功なんてありえません。もちろん、やれば何でも成功するわけではありません。やってみることは成功するための十分条件ではなく、必要条件に過ぎないのです。

また、口に出すことも重要です。やりたいことを人前で口にすれば、その分野に詳しい人が見つかるかもしれません。人は本質的に協力したい生き物なので、手伝えることがあれば喜んで力になってくれるものです。
PR動画を取ると決め後輩たちの前で口に出したことで、動画の撮影計画が進みだし、想像をはるかに超える高クオリティな作品が完成したのです。

もちろん、作品を完成させたのは後輩達であり、私は撮影や編集に関してほとんど貢献していません。しかし、私がやろうと言わなければ作品が完成していなかったのも事実です。この経験があったからこそ、とりあえずやってみようと考えるようになりました。

まとめ

サクッと書けると思って書き進めていたら、いつの間にか3000文字を超える長文になってしまいました。数学愛好会についてまだまだ書きたいエピソードはたくさんあるので、次回以降も引き続き数学愛好会の活動について書きます。

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