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【⚽️日記#54】ドーハ:アジアカップの旅

アジアカップ観戦のためにカタールに行く。

私は日本が全勝で予選を突破する前提でチケットを購入していた。

しかしふたを開けてみれば、10連勝を誇った史上最強の森保ジャパンはあえなくイラクに敗北。私は「イラク対ヨルダン」というまるで何の興味もわかない試合を観るためにカタールへと旅することになってしまった。


1月28日(日)

朝4時まで、カタール旅行の準備に追われる。楽しくなってしまった。

ピアニカを筆頭におよそ意味のないものを詰め込む

クウェート国際空港からドーハに向かう。

必死になって手に入れた「イフリジーヤ(学生用の出国手続き書類)」は確認すらされなかった。

クウェートは適当な国だ。

ドーハ空港はクウェート空港に比べてかなり大きくきれいだ。

入国審査前で、イラク人の親子と仲良くなった。
地下鉄でも再開し、「クラウンプラザホテルに泊まっているので、困ったら電話しろ」と言ってくれた。

地下鉄でドーハ市内まで移動する。

サッカーの観戦チケットがあると、無料で切符がもらえるらしい
地下鉄はfamilyとstandardで別の入り口になっている。


さぼってタバコを吸っている警官の集団がいたので、道案内をお願いする。インターネット共有をしてていねいに
烏合の衆だが、優しい

クウェートと違い、歩行者を想定した街づくりをしている。

クウェートに比べ、やや涼しい気候だ。シャツ一枚ではほんの少し肌寒い。(1月末なのだから、当然と言えば当然のことだが。)

私は依然として風邪をひいているので、少し辛いものがある。


日本代表ユニフォームに、日本の鉢巻を巻いたファンキーな出立ちでドーハを歩く。

みんな声をかけてくるし、写真も求められる。

昨年のワールドカップ

カタール人はよくもてなしてくれた。

街を歩いていると、外国人ということで無料でご飯をふるまってくれる人が多くいた。


すれ違ったサウジアラビア人に声を掛けられる。

その人に旅の予定を聞かれる。

「せっかくカタールに来たのに、全然関係ない国の試合だけを見て帰らなくてはいけないんだ。」

そう伝えたところ、彼はなんと日本戦のチケットをくれた。

街を歩いていたらタダで観戦チケットをもらうことが日本でありうるだろうか?

尋常ではないもてなしの精神だ。

ドルマ。米の入ったロールキャベツ風の食べ物。汁がないので喉が渇く

イラク人を沢山見かける。
「イラクと日本、決勝で当たると良いな!」

本当によく声をかけられる。

ディスダーシャ巻き込み注意

1月29日(月)

電車でハリーファ国際スタジアムに向かう。

東アジア人は他にいない。異様に絡まれる。

「お前、ヨルダンとイラクどっちが勝つと思う?」
「アイメン・フセインは知っているか?」

悪意的な絡みではないし、アラビア語の勉強になる。嫌ではない。


会場付近では、テレビ局やYouTubeのインタビューを沢山受けた。

適当な返答を返した相手ががバーレーンのテレビ局だったようで、レストランで出会ったバーレーン人から、「テレビでお前を見たぞ」と言われた。


曇っているが、非常に良い天気だ。適度な風と20度以上の気温がある。

ハリーファ国際スタジアムの中は、かなり冷房が効いていた。一昨年のワールドカップでは少なくないプレイヤーが風邪をひいたと聞くが、納得の寒さである。

注目選手は、イラク18番のアイメンだ。彼は日本代表から2点を取った男で、大きくて強い。ポストプレーが強力だ。

3割くらいが空席だ。

イラクのキーパーが好守に次ぐ好守を見せる。

ヨルダンの10番も強力で、2人に囲まれても突破できる。その10番のシュートを至近距離からセーブした。

足的時代を制する足は、長くて美しい。

寺山修司『書を捨てよ、町へ出よう』

長くて美しい足たちが躍動する。


後半、アイメンの目の覚めるようなシュートによりカタールが得点した。
しかし過度なゴールパフォーマンスにより、直後に退場することになってしまった。

アイメン・フセイン

試合が過熱していく。ヨルダンが攻撃するだけで、ブーイングが会場を覆う。逆に大したことのないイラクのプレーでも、拍手喝采が沸き起こる。

日本が中東でやりにくい理由がよくわかる。

数的不利を抱えながらも、イラク優勢のまま試合が進む。アディショナルタイムになると、ヨルダンサポーターが次々と帰っていく。

しかし最後の最後でヨルダン同点に追いつき、さらには逆転した。
今度はイラクサポーターが帰っていった。

結局ヨルダンの勝利で試合が終わった。

イラク人たちはがっかりしていた。

「日本が優勝してくれよ…….」
隣にいた人は寂しげに語って去っていった。

「ヨルダンおめでとう」

スタジアム近くのモールでご飯を食べた。


1月30日(火)

ホテルの朝食

今日は砂漠に行くことにした。

旅行会社に手配し、ランドクルーザーをチャーターした。

ドライバーはパキスタン人だ。カタールはクウェート同様、外国人労働者に頼り切っている。

月額900ドル(およそ15万円)の給料らしい。外国人労働者への給与水準もクウェートと大差なさそうだ。
25ユーロのラクダ体験。砂漠を30分ほどラクダに乗って移動した。
大自然の前に私は無力だ。

午後はスーク・ワキーフを散策する。

サウジサポーターをたくさん見かける。

明日の日本対バーレーン戦への注目度も高く、日本の要注意選手などについて道行く人たちに尋ねられる。

アラブでは有名な記者らしい。本田圭佑とのツーショットも持っていた

個人的な意見としては、綺麗で街歩きをするのに楽しいものの、少し商売っ気が強いように思う。

名前入り陶器
買った。
シャワルマ

夜はイスラーム美術館に寄った。

細密画
お猿。セルジューク朝もしくはホラズム朝期に作られた。
哲学者・翻訳者Tシャツ。教授へのお土産に買った。
クルアーンの写本

1月31日(水)

日本対バーレーン戦。
ホテルのガードマンはグーナーだった。

「冨安を応援してるぜ!日本頑張れ」

会場にはバスで向かう。クウェート同様、バスは外国人労働者の足であった。ただ、観光客が利用するかの違いは存在する。

クウェートとカタールの最大の違いは、「観光」という概念を意識しているかどうかだ。
クウェートには電車・地下鉄が無いし(20年ほど前に建設計画が立ち消えになったらしい)、観光客がバスを利用するのはかなり難しい。

カタールで働くタクシー運転手から聞いた話では、ここ数年でカタールの街並みは大きく変わったという。

整備された道路、近代的なスタジアム、綺麗な街並み…….。


会場に着く。日本サポーターが想像よりも非常に多い。

東南アジア、南アジア、アフリカ、中東系のサポーターも多く見る。

練習風景。週刊誌報道があった直後だったので、伊東も参加していた。

さすが日本代表、全く負ける気配がしない。

私のイチオシ、久保

途中1失点があったものの、3-1のスコアで日本代表は勝った。

三笘選手は怪我をしていたものの、途中から出場した。

本調子ではないとはいえ、切り裂くようなドリブルは芸術的である。


そういえば、『書を捨てよ』に出てくるサッカーチームは「英国のアルビオン(ブライトン)」であった。

そのチームのエースが日本代表にいるというのは、私の祖父世代では考えもつかないことだろう。

試合後はお祭り騒ぎだ。カタールでは多くのフィリピンなどのアジア系労働者が多く働いているようだが、みんな日本のユニフォームを着てはしゃいでいた。


試合を観終えた後、タクシーに乗り空港に向かう。

日本代表が「足的時代」を制することを祈りつつ、帰路に就く。

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