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【🇰🇼🇯🇵クウェート大学留学#10】ディスダーシャ


授業部分はカットだ!


9月26日

午後、ファイサルさんという方にご招待され、とあるイベントに行くことになった。

ファイサルさんは実業家であり、教育者であり、インフルエンサーでもある。

ファイサルさんのインスタはこちらから

ファイサルさんは日本で10年以上生活されていたらしく、日本で学部と修士を終えられたそうだ。
彼の日本語能力は極めて高く、殆ど日本語ネイティブである。

ファイサルさんが寮まで車を出して下さった。
戦車のように大きいフォードだ。内装も綺麗で何より広い。
カーナビなんて殆どノートパソコンの大きさだ。


スーク・ディッジャ


窓からスーク・ディッジャが見える。

一見すると、古くて綺麗とは言い難い建物だ。
しかし、ここにオフィスを構えるというのは非常なステータスであるという。

クウェートが経済的に成長する中で、この建物に入っている会社が原動力となったという。

「今日のクウェートの始まりの場所なんですよ」

ファイサルさんは語った。

プレステージとして店を持つ、という考え方はクウェートではよくあることなのかもしれない。

スーク・ムバラキーヤという古い市場にも、一年中シャッターが閉ざされた店がある。
あくまでステータスとしてムバラキーヤに店を構えるのである。
これは、日本大使館の方から教えて頂いたことだ。


ファイサルさんはクウェートのビジネスの一端を教えてくれた。

クウェートでは、「昔ながらの商売」が未だに根強いらしい。

会社の責任者同士がプライベートに話し合う中で商談がまとまっていく。

その際、どこの一族出身なのかも問題になってくるのだ。また出身部族は、婚姻などにも大きな影響を及ぼすという。
血縁が大きい意味を持つ社会だ。

ファイサルさんと話すうちに、イベント会場のビルが見えて来た。

「今日のビルも、コネがあるから借りられたんですよ。」


キプコタワーは、クウェート有数の高層ビルだ。
数年前まではクウェート最高の高さだったという。

54階。耳がキーンとする。

ファイサルさんは日本語教室を開いていて、今日はその生徒さんたちとお話しするのだ。

日本語を勉強している友達も連れてきたかったのだが、定員のため叶わなかった。

高い!!!

学生さんたちは、20代後半から40代ほど。

みんな日本のアニメやドラマが好きだ。
正直、私よりも詳しい。

浴衣を着てイベントに行った。
寮を出る時、フランスの学生たちに記念写真を求められた。帯が適当なのはご愛嬌。

日本クウェート双方の代表がスピーチした。
努力に敬服。

日本の学生は折り紙の折り方を教えた。

私は不器用なので、他の学生に折らせ、その後あたかも自分が折ったかのごとく振る舞った。
演技力は大切だ。


黄色いコーヒーが出てくる。スパイシー。


クウェートの人たちから、コーヒーの飲み方を教えてもらった。
アラブ圏はコーヒーの伝統が根強い。
日本で言うところの、お茶を飲む際のマナーのようなものだろうか。

コップ一つ一つはおちょこサイズで、給仕するひとが重ねて持っている。
そこに、熱々のコーヒーが注がれるのだ。

おかわりをしたい時は、重ねてもっているカップの上に重ねて置く。
そうすると注いでもらえる。

逆にもう十分な時は、軽く左右に振ってから重ねる。

コーヒーはとても美味しいが、少し飲んだだけで眠れなくなりそうなほど強い。

私は覚えたての左右に振る仕草をすることになった。


クウェートの皆さんはディスダーシャをプレゼントして下さった。

サラサラした質感の布だ。
高級品は日本製らしいが、これも伊藤忠商事が手掛けているらしい。すてきなプレゼントだ。

ディスダーシャ。ベイスターズの牧選手とは関係ない。


頭にかける布(名前は忘れてしまった!!)は一辺1メートルはある正方形の布を2回折り、二等辺三角形にしたものだ。

それをイカールという黒いリングでまとめ、垂れた布を上に持ってくると完成である。

頭に布を乗せた後、顎で止めると上手くまとまる。


ディスダーシャという衣装は、ワイシャツのようなもの。ボタンを上まで止めなくてもいいが、止めた方が丁寧である。

上に乗せる布はネクタイのようなもの。これもつけなくても良いが、つけた方がマナーに則っている。

また、ディスダーシャや布は、国により微妙に異なるという。
従って、衣装を見ただけでクウェートの人なのか、それともオマーンやサウジアラビアの人なのか分かるらしい。


よく見れば、今日来ている男性はほとんどがディスダーシャを纏っている。
そして今までは気にしていなかったが、この格好は礼儀正しいものであるのだ。

もちろん、文化交流のために着てきてくれた部分もあると思う。

しかしそれと同じくらい、礼節をもって臨んでくれた部分もあるのではないだろうか。

日本の学生たちも浴衣を着てきた。これもまた、ある種の礼節であったと思う。

クウェートの皆さんは温かいおもてなしをしてくれた。沢山のお土産もくれた。
少しでも報いることができていたならば幸いだ。


帰りもファイサルさんが寮まで送ってくれた。

帰りの車中、ファイサルさんはこんなことを教えてくれた。

「見所のある場所、楽しい施設や美味しいお店は、クウェートではオープンになっていないんですよ」

私たちはアベニュー・モールに行ったことを伝えたが、そこは正直なところあまり面白くないとのことだ。

今日の体験は非常に面白かったが、このイベントもそこまでオープンだったわけではない。

教えてもらわないとわからないことはある。
クウェートの場合はそれが多いのかもしれない。

そしてそれは、衣装に込められた礼節の気持ちにも当てはまる。

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