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端山茂山奇譚

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とある山の奇譚。目に見えるモノ、見えないモノ、人間、動物、有象無象のモノたちが織りなす幻想。
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2023年7月の記事一覧

端山茂山奇譚(拾)

端山茂山奇譚(拾)

端山茂山奇譚(拾)

なんだあれは。

薄暗くぼうっとした霧みたいなものが、こちらに来る。
流れてくるような、もつれて転がるような・・・。

鳥たちが叫びながら逃げておる、

禍々しい気に満ちているな。

生臭い匂いだ。唸り声も聞こえる。

…ああ、生きておったものたちの、うらみつらみの念の塊か。

なんで、ここまで上がってきたのか。

…昨日からあの庵から聞こえてくる、音と声のせいか。

何かを

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端山茂山奇譚(玖)

端山茂山奇譚(玖)

端山茂山奇譚(玖)

ずっとあの遠くの山を見ているな。

白い頂の美しい形の山。

どの山よりも高くそびえている。

昔、天の神が、あの山に宿を求めたが、祭りの晩で、断られたそうだ。

そこで今度は、天の神は、この宿に宿を求めたら、同じく祭りの晩だったが、丁寧にもてなしたそうだ。

そこで、天の神は、宿を断ったあの高い山は人が近づかない呪いをかけ、あのように一年の多くを雪が閉ざし、
草木も生えぬ山

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