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相続: 「遺留分侵害額請求権」 <- あまりにも不公平な遺産相続に対抗する方法

今回は「遺留分侵害額請求権」についてみていきましょう。

昔、遺書を見てみたらなんと愛人に全額相続させるとうお話をしましたが、今回は身内でも似たようなことは起こる例です。

たとえば、兄弟がいます。

父親が亡くなりました、遺書があったので中身を見てみるとなんと...

親の面倒も大した見ないで、借金漬けの弟、真面目に親の面倒を見ていたお兄さんだったはずなのに遺書の内容は

お兄さん: (古くなった)家を与える
弟: 預金の3000万円を与える

???

兄: どうして、俺がこんな価値のない家を相続で、何もしなかったお前(弟)が現金で3000万円の相続なんだ? だいたい、家など相続したら、そもそも家も古く価値も大したない割に、維持費すらかかってしまう。 負の遺産相続ではないか? 不公平だろう?

弟: 生前に僕には借金があり、生活も大変だと言ったら、かわいそうだから現金をくれるって言っていたよ。

さて、このふざけた相続どうみてもお兄さんの言い分が正当だと思うのですが、対抗策はあるのでしょうか?

回答: あります。

それが今回の「遺留分侵害額請求権」です。

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「遺留分侵害額請求権」: 法定相続人が遺留分を侵害された場合に、受遺者(特定財産承継遺言により財産を継承し、または相続分の指定を受けた相続人を含む)または受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる権利です。

つまり、今回のような不公平な遺産相続の対抗できる権利です。 対抗策として、遺留分というものがあります。

遺留分は法定相続分とは異なり、法律で定められた「最低限度の取得が保障されている相続財産の取り分」であり、もし遺留分が遺言書の内容などによって侵害されていた場合、請求する権利があります(民法1046条)。

具体的な遺留分侵害額請求権の計算方法は、以下のステップに従います。

遺留分の割合の計算:相続人が請求できる遺留分の割合は、相続財産の2分の1または直系尊属(親・祖父母等)しか相続人がいない場合には3分の1とされています。具体的な遺留分割合は、遺留分に各人の法定相続分を乗じて計算します。

遺留分侵害額の計算:遺留分侵害額は、侵害された部分に関して金銭を請求できる金額です。具体的な計算式は次の通りです。

遺留分侵害額=相続財産×遺留分×各人の法定相続分

時効に注意:遺留分侵害額請求権は、相続の開始を知った時または遺留分が侵害されたと知った時からわずか1年で権利が失われてしまいます(民法1048条)。

遺留分侵害額請求権は、相続の場面で重要な権利であり、遺留分を主張する・される機会が増加しています。ご家族が亡くなり相続が開始された後に、初めて遺留分という考え方があることを知る人も少ないかもしれませんが、遺留分侵害額請求権を理解しておくことは重要です。

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今回の場合なら、お母さんがすでに他界し、兄弟2人が相続人と考える兄側の家の価値金額をはじき出し1000万円なら、

1000万円(古い家の価値)+3000万円(預金遺産) = 4000万円

4000万円/2(相続人が兄と弟の2人のみ)= 2000万円

となり、遺留分が2000万円と思われます。

ということは、お兄さんとして弟に遺留分侵害額請求権を出してもおかしくないですね。

もっとも、金額はいくらになるかは話し合いかもしれませんが...

遺留分侵害額請求権が法律的に存在しているということは、世間には不公平な相続が多いというとのなのだろ思われます。

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