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iCAREはスパイスカレーだ


「すみません・・・」という声のした方へ顔を上げると、ボタボタと床にカレーがたれるのが見えます。シェフが大皿に盛られたカレーを両手で持ち、こちらへ、そーっ、そーっと歩いてきます。もう、明らかにカレーを盛り過ぎです。そんなに盛ったら、そりゃこぼれますって旦那。それに、そのこぼれないようにして歩いてくる様は、シェフというより給食のカレーを盛りすぎて必死でこぼれないようにして歩く小学生のようです。そして、小学生歩きのシェフが静かにテーブルに置いた皿を見てさらに驚きました。「え? これって、こぼれる前提で盛ってきたの」と、私は心の中でつぶやきます。その皿は、ルウが滴ることを想定してか、2枚重ねになっていたのです。その勇猛果敢ともいえるサービスをしてくれたのは、京都の四条にあるイグレックヨシキカレー。ヨシキはわかるけど、イグレックって何?旦那……。それにしても、床に垂れたカレーは拭かないのですね。拭かなくていいのですね。ああそうですか。

ここで、ひとつ告白しますが、今は大のカレー好きの私も、子どものころカレーライスが嫌いでした。偏食王だった私は、カレーに入った具の玉ねぎが苦手だったのです。
ちなみに子どもの味覚は大人の3倍くらい敏感だといいます。舌には味を感じる味蕾(みらい)というセンサーがあって、小さな子どもほどその味蕾が多く、大人になるにつれ味蕾が減って来るそうです。子供に好き嫌いが多いのは、味を敏感に感じすぎて、苦味や渋み、野菜の青臭さなどを、不味いと感じてしまうからなのかもしれません。

さて、そんなカレー嫌いな私は、大人になるにつれカレーのことをどんどん好きになっていきました。そして40代に突入しから、髪の毛の減少と競うかのように、味蕾も加速度的に失われているようで、ますますカレー好きが進行しています。

出張で地方へ行く機会があるときは、必ずと言っていいほどご当地のカレー屋を探すようになりました。こんなことを言うと「いやいや、ご当地へいったら、ご当地グルメでしょ」って、言う人があるかもしれません。確かにまったく的を射たご意見で否定のしようもございません。しかし、インターネットと流通の発達したこのご時勢、あらゆる食べものが都会の人々の胃袋を満たすため、東京へと集められてきます。だから東京に住んでいれば、大抵のおいしいものは食べることが出来てしまうのも事実。むしろ東京の方が、全国の美味しいものを食べられるような気させします。そうなると、東京に住む私にとって、旅先でご当地グルメを食べる必要性はあまりございません。逆に日本の国民食といっても過言ではないカレーにこそ、地域による違いを楽しむ必要性があるのだと思っているくらいです。
また、ここ数年のスパイスカレーブームには目を見張るものがあり、『dancyu』2018年9月号では「スパイスカレー 新・国民食宣言」が発令された次第です。ちなみにdancyuは「男子厨房に入るべからす」をもじっているそうで、おおもとは孟子の「君主庖廚を遠ざく」に由来しています。


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つーわけで、カレー愛が嵩じて東京はもとより北海道から九州まで、各地のスパイスカレーやインドカレーを食べ漁る始末です。スプーンで掬えば掬うほど止まらなくなるのがカレーというものです。なぜこんなにうまいのか? そのワケの一つとして多様性を可能にする包容力ではないでしょうか。どのような具材でも取り込んで、その魅力に変えてしまう包容力がカレーにはあります。トンカツは言わずもがな、納豆からパイナップルまで、多様な具材を活かし、そのポテンシャルを開花させることでイノベーションにつなげ、価値創造へとつなげていく、いわば味のダイバーシティー経営です。


また、スパイスカレーの特徴に“合いがけ”もしくは“2種盛り/3種盛り”なるものがあります。これは、異なるテイストのスパイスカレーを1皿の上に盛り付け、それぞれの味を楽しむとともに、皿の上でカレーをミックスしながら1つのテイストとして味わうもの。


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混ざれば混ざるほど不思議とうまくなるのがスパイスカレーの醍醐味です。ひと種類、ひと種類のカレーは、それぞれスパイスの調合のハーモニーでなりたつ、いわばジャムセッションのようなもの。それが2種盛り、3種盛りになり、全体として絶妙なグルーヴ感を生み出してゆく。もはや朝霧JAMですか!。

あっ すみません!ついつい熱くなってしまいカレーの話に没入してしまいましたが、だからつまり何が言いたいのかと申しますと……

私は2021年12月からiCAREにジョインさせて頂いているのですが、社内には本当に個性的な人とか、様々な立場やバックグラウンドを持った人がいることに驚いております。とんがった人、丸い人、カラフルな人、モノトーンな人、うるさい人、静かな人、若手、中年、多様な国籍、LGBT などなど。まだまだ旧態然とした健康管理システム界隈では、異質な多様性といっても過言ではありません。いわゆるダイバーシティー経営を地でいくような企業文化の柔軟性と包容力を肌で感じていたりします。

そして当然社内には、人事総務や経営企画、開発、産業保健の専門家、マーケティング、カスタマーサクセス、セールスなどがあり、部門ごとに多様な人材を包含しつつ、互いにジャムセッションのごときグルーヴ感を生み出すは朝霧JAMのごときです。

そうそう、このダイバーシティーでJAMセッションな感じって…、つまり「iCAREはスパイスカレーかよ!」

それで、スパイスカレーのごとき凄さって、まず国民食レベルでデファクトスタンダードなレベルということで、iCAREの企業としての在り方や、iCAREが提供するプロダクトやサービスもどんどんデファクトスタンダード化する可能性を大いに含んでいるように感じるのです。そして、なんといってもカレーは国民から支持される愛されフードであって、今後iCAREがどんなスパイスカレーになっていくのか楽しみでなりません。



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