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③ 大事なのは今の自分に「意味づけ」すること

キャリアコンサルタントの松岡澄江です。
自分らしい人生を考えるやり方だって、人それぞれ自分らしくていいと思っています。自分のキャリア・人生について考える時に使って欲しい、キャリア理論や心理学的なアプローチをわかりやすくお伝えしていきます。


一日の太陽の動きを人生になぞらえてみる

キャリア研修やワークショップなどで、参加されている皆さんが自分を考えるために、自分自身へ意識を向けてもらう導入として実施するワークがあります。心理学者ユングの理論「人生の正午」をベースにしたワークです。

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質問:あなたの人生を、日の出から日の入りに向かう太陽の動きになぞらえてみると「今、何時あたりにいると思いますか?」

みなさんはいかがでしょう?
この世に生を受けて生まれた時を日の出、自分が与えられた人生を全うするのが日の入りだとして、今の自分の位置を考えてみます。

季節によって日の出や日の入りの時間は違いますし、人の一生がいつ終わるかは誰もわからないから、不確定要素ばかりの中で考えるワークになります。だから正解はありません。自分がどうとらえているのか?が大事です。

中には平均寿命を日の入りと設定して逆算して今の位置を割り出す論理的な方もいますが、その通りに生きるかどうかもわからないですし、平均寿命もこの先伸びていくことを考えると、ロジカルではなくできれば少しふんわりとしたイメージでとらえてもらう方がいいと思います。

実際に同じ年齢層が集まっている研修では、似通った時間になることが多いですが、それでも個性が表れています。
20代だと午前10時前後が多くなります。中には明け方5時や6時に設定する方もいます。逆に午後1時ぐらいになる方もいます。個々人の感覚ですから、かなり幅があります。30代では午前から正午を挟んで午後1~2時あたり、40代~50代に実施すると午後~夕方を指す方も増えていきます。
正解もなく個人差が出るので、グループ内のお互いの時間を見合って話が盛り上がります。

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どうしてその時間を選んだのか?その意味を味わう

ちなみにユングによれば「人生の正午」は40~50代と設定されています。人生100年時代と言われるようになったし、「半分と考えればそうかも」と思いますが、一方で「40~50でやっと正午なの?」とびっくりする方もたくさんいます。私も、40代ならもう少し午後に入っていてもいいのでは?と思った一人です。
でも、40代で正午と考えることに少し納得するところもあります。私は40代で管理職を担いましたが、その時「情報の質と量」が変わったと感じました。今まで見えてなかったことがよく見えるようになったような感じです。正午は影が一番小さくなります。影がなくなるのが40代、当時はそんな風に意味づけをしたことを思い出します。
今はというと、だいたい14時頃に自分を置いています。まだ日が高くエネルギーがある時間です。そして、いずれ来る「キレイな夕焼けをつくるために、やるべきことがいっぱいあるんだ!」と自分を励ましています。

あなたが考えた時間に、いいも悪いもありません。それぞれがとても大切な答えだと思います。
せっかく考えたのですから、「どうしてその時間にしたのか?」を味わっていただきたいんです。

午前に設定している方は・・・
・まだまだ学ぶことが多いから
・元気だから
・やっと社会に出たばかりだから
等のコメントが並びます。午前中は陽が昇っていく勢いを感じますね。
正午あたりに設定した方は、お昼ご飯をイメージして「ちょっと一息のタイミング」と話す方もいます。
午後に設定している方は・・・
・自信がついてきたから
・家族を持ったりしてステージが変わったから
・仕事が安定してきたから
等、落ち着いた方がいる一方で、「ちょっと疲れている」「もう十分がんばった」といったコメントも聞かれます。

大事なのは、自分の今に「意味づけ」すること。
私は、今の自分をどう思っているのか?
このワークは、そこが大事だと思っています。


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人生の時間は有限だから、自分にとってのよりよいを考える

私が20~30代の頃、自分の人生全体を捉えて何かを考える機会は無かった気がします。その頃は、『今の自分』にフォーカスしていた時期でした。
40歳になった時に、「人生折り返しだ!」と考えました。その時、人生で初めて自分に高価な贈り物をしました。ブランドものに興味がなく、物欲も薄い私が、自分にプレゼントしたのは腕時計でした。
これまでの人生の時間を振り返り、ここまでがんばってきた自分をねぎらう気持ちと、これからの自分の時間を大切にしたい、そんな想いだったのだろうと思います。

一日の時間はみんな同じ24時間で、人生の時間は有限であること。
その時間の使い方が、一人ひとりに任されていて、その積み重ねが「人生=キャリア」になります。
自分の人生の時間、その時間をよりよい時間にするために、誰と過ごすのか?何を考え、何をしていくのか?、あるいは何をしないのか?。
折々に、選びながら積み重ねていくことが「自分らしい人生」につながっていきます。


・著書紹介



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