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ロールモデルがいない問題を考えてみる

こんにちは。キャリアコンサルタントの松岡澄江です。

「社内にロールモデルがいないんです」というお悩み。昔からいろんな場所で聞いてきたし、今も将来に不安を感じている方からよくお聞きします。例えば、若い人は「どんなふうに今後のライフイベントを考えたらいいのか?」、中堅になれば「お手本にしたい上司がいない」、シニアになれば「定年後の働き方が見えない」等。どんな年代もロールモデルを求めています。今日は、そんな『ロールモデルがいない問題』を考えてみたいと思います。

ロールモデルは『役割のお手本』

ロールモデルのロールとは「役割」のことです。つまりロールモデルは『役割のお手本』のこととなります。

少し話がズレますが、RPG(ロールプレイングゲーム)って、ロール(役割)を担って遊ぶゲームなんですね。ゲームの中で勇者の役割を担い、冒険したり仲間を作ったり敵と戦ったりして楽しんでいる方も多いと思います。例えば、そんなロールプレイングゲームの中でも、ゲームをする人はロールモデルを探していくのでしょうか?
「いやいや、先が見えない中でいろんなことをするのが楽しいんだ」という人もいるでしょうし、「先が見えないのは不安だから、あるいはめんどくさいから、まず攻略法や進み方を知ってから進める」人もいるのではないでしょうか。もしかしたら、ゲームでも実社会でも、お手本を見て安心して役割を担いたい人が増えているのかもしれません。

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ところで、みなさんはどんなロール(役割)をお持ちですか?

会社の中では、リーダーやマネージャ、係長、課長、部長といった役職がその人の役割になっていることが多いです。他にも新人の教育係とかチームのムードメイカーとか、ご本人の個性や経験に応じて周囲から期待されていることも役割に入ります。

またプライベートでは、父や母、兄や姉といった家族内の役割、スポーツならあるポジションを担う選手としての役割、地域の自治会役員とかPTAの役員とか、誰かから期待されたり自分で獲得したり、いろんな役割があると思います。

私自身は、今、こんな役割を持っています。

仕事では、キャリアコンサルタント・会社役員・研修講師 等々
プライベートでは、母・祖母・ダイエッター・noteを書く人 等々

そもそも一人の人生にはいろんな役割があって、役割の重なりがその人のキャリアだというお話はこちらの記事を参考にしてくださいね。

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みんなロールモデルに何を期待しているのだろう?

十数年前のことです。私が40歳で入社したWEB制作会社の社員の平均年齢は29.5歳でした。とにかく社内には若い人が多くて、男性も女性もこれから結婚や出産・子育てといったライフイベントを考える世代。私の入社の際、ある女性社員から、「松岡さん、みんなのロールモデルになってください!」って言われ「いえいえ、そんなお手本になれるようなものではないので・・・」とちょっと腰が引けた経験があります。

ベンチャー気質がまだ残る会社でしたから、若い人が切磋琢磨して業績を上げていたので、仕事中心の生活をしている人ばかりでした。それでもそろそろライフイベントを考える年齢になった社員が、身近に産休育休を取得した人や子育てしながら働いている人がいないので、参考にできる事例が無いことへの不安が漂っていたように思います。自部署だけでなく他部署の女性社員たちからの相談もたくさん受けました。

相談から見えてきたのは、みんなロールモデルという言葉を使って、『生き方・働き方のモデル』を探しているのかもしれないということでした。

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本来ロールモデルは『役割のお手本』の意味です。でも「ロールモデルがいない」と悩む時、それは「生き方や働き方のモデルがない、この先どうしたらいいか教えて欲しい」と言っているように思いました。

それはまるで、ロールプレイングゲームの攻略本のように、このルートをいけば最短でたどり着けるとか、ここをいけば安心して進めるという『生き方・働き方のナビ』を求めているような感じです。

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ロールモデルはいない
人生のナビは自分でつくろう!

人の生き方に正解はありませんし、攻略法もありません。人それぞれ、その人にとっての正解が違うからです。

特に昨今は変化の激しい世の中です。親の世代では正解と言われてきたこと・・・例えば「いい会社に入れば安心」とか、「転職はしない方がいい」とか、「女性は子育て中は家庭に」とか、組織で中心的な仕事を担うのは男性だけとか、その昔に正しいと思われていたことがまったく変わってしまっています。価値観が変化しているのです。

新卒採用でたたき上げが当たり前だった会社も、中途採用で即戦力のスキルを持った人を積極的に受入れるようになったり、女性活躍推進で女性管理職の登用を増やしたり、副業がOKになったり、男性も育休が取れるような雰囲気を広げようという動きがあったり、60歳定年がどうやら65歳になりそうだとか、組織の中でもこれまでの「当たり前」が変わっています。

人生の役割も仕事上での役割も、常に激しく変化し続けている今、ロール(役割)のモデル(お手本)と思っていたケースは、ある人の経験でしかなくなってきました。となるとこれからは、人の経験を聞いたり参考にしながら、「自分はどうしたいのか?」を考えて、自分らしい生き方や働き方を模索していくことが重要になると思います。それは組織で役職を担う時も同じで、ある上司と同じ仕事の仕方をするのではなく、自分らしいその役職のあり方を考えていくことが求められると思います。

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まさに温故知新(昔の事をたずね求めて、そこから新しい知識・見解を導くこと)です。

この先の自分にロールモデルはいない。
自分らしいロール(役割)を描いていくために、自分の人生のナビをつくろう!

そのためにキャリアを描く機会(キャリアデザイン)が重要だと思っています。


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