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『「保育の質」を超えて』(ミネルヴァ書房)

「保育の質」の概念を批判的に対象化することから、これからの保育のあり方を議論する新たな視点を提示する、”幼児教育・保育学の古典”と言われる本。

大学院の授業で、今読み進めています。
保育学というより、哲学の本です。
読み進めるのは、先生と一緒じゃないと難しいです。

この本を読んだことで、これまでのモヤモヤした霧が晴れたことがいくつかありました。

キャリアカウンセリングも保育も、対人援助という枠組みの中に入ります。
その源流となるモダニズム、そしてポストモダンの流れ。

この流れの上にキャリアカウンセリングの理論も、保育も、乗っているのだと感じます。

あれも、これも

哲学は、正解が無くて、「あれも、これも」と書き連ねる。この本も同じく、一つのことを、あんな考えも、こんな考えもある、と書く。
不確実性の中にいることを受け入れることが大切だと。
せっかちな私は「結論は何なんだ!?」とつい突っ込みたくなるけど、それがないのが、対人援助の世界。
保育も、キャリアカウンセリングも、哲学から学ぶことは、とても多い。

「保育の質」って、結局何なんだ?

スケールの無い評価は、カオスだ。
研修でPDCAをする時、必ず目標にはスケールを設定するようにと伝えている。
保育においての目標は、あくまで「目安」として考えるべきだろう。
そこに向かって保育者が無理強いすることは、子ども中心ではなくなってしまう。
子どもがその目標に向かうように関わるが、それが到達しなかったときは、もう一度目標を見直す。
業務のPDCAより、保育のPDCAは、より頻繁に見直しが入るだろう。

スケールによる評価

保育の質のスケールを見た。それを評価したという論文を読んで、この保育施設の向こうにいる人は、受け取った評価をどう感じたのかと思いをはせた。
日本にあっているのか、その地域に合っているのか、今の時代にあっているのか?
ちょっと苦しくなった。子ども中心の評価なのかな?
得られたスコアを、どう解釈するか。
「スコアが未達だから補助金を減額する」というのが英米の取っている方法だけど、それをあてはめるのは、とても危険なような気がする。
保育がますます商業ベースに乗っていくような。
評価の解釈には、「あれも、これも」があってもいいんじゃないかな。

まだこの本、あと半分近く残ってます。
さてこの先はどんな思いが押し寄せてくるのか。

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