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心理検査ってどうなの?

はじめに

4月から一念発起して、50歳を過ぎて大学院で保育を学び始めました。
入ってまだ3ヶ月ほどですが、膨大な研究と本の海に溺れそうになりながらもなんとか学生を続けています。
勉強と、研究と、仕事・・・。大丈夫かな??
それにしても、大学の先生方の授業は本当に面白い。
膨大な研究があるのに、現場の保育者には届いていないものがまだまだたくさんあると感じます。

研究者の言葉を、保育現場の言葉に翻訳して伝える役割が必要だと痛感しています。

授業で感じたことを記録を残しておかないと、忘れちゃいますね。

今日は「心理検査」に関する授業で感じたことについて、整理したいと思います。

心理検査って実際どうなの?

公認心理師の資格は持っているのですが、子どもの発達検査は実務では経験がありません。
試験勉強をした時に一通り名前と概要は勉強しましたが、実際に質問紙を手に取るのは初めて。
中には、受験するのに1時間以上かかるようなものもあり、大変でした。
幼児の受験は、お子さんにとっても保護者・検査者にとっても大変な負荷ですね。

WISC-IV

WISC-IVは小学生に対して良く実施される知能検査です。5歳~となっていますが、内容を見ると小学生以上じゃないと、精度が出ないんじゃないかなと感じました。
未就学のお子さんには、この試験だけで障害に名前をつけることは難しいでしょう。

処理速度、ワーキングメモリー、知的推理、言語理解の4種類と総合IQが数字で出ます。
以前も聞いたこともあったのですが、同じ検査をしているとIQの平均は年々上がっていくそうです。
通常検査は、100が平均になるように作られていますので、定期的に見直しが必要なのだそうです。
人類の脳も少しずつ変化・進化しているということでしょう。

田中ビネー知能検査

この検査とWISC-IVの違いは、結果の表し方の違いですね。
たとえば、4歳6か月の子どもがこの検査を受けて、精神年齢「2歳6か月」という結果が出たとします。
保護者がこの結果を聞いたら、ショックですよね。どう受け止めていいのか、戸惑いが大きいのではないかと思います。
一方、保育士がこの結果を知ると、2歳半の子どもの活動や介助を念頭において保育を行えばよいということになります。
日頃からたくさんの子どもをみて、年齢月齢に応じた発達段階を良く知っている保育士にとっては、こちらの結果の表現の方が保育に役立てやすいと思います。

他にもまだまだたくさん検査はあります。

検査でみている能力は「一部だけ」

これらの検査は、すべて測定可能なもので、能力の「一部」に過ぎないのです。
これらはいわゆる「認知能力」とよばれるものになります。
創造性、感性、忍耐力、表現力、率直さ、、そういったものはみていません。
ですから、検査だけでは、その子の一部しか分からないということになります。

非認知能力はどう評価するの?

そもそも、数値化しにくいものを「非認知能力」と呼んでいるので、社会性や感情面の発達を「数字で評価」することは、できないということになりますね。

困りごとを感じていない保護者にどう伝える?

これが一番の悩みです。
「障害」とは、その人の特性が極端すぎて、生活に制限がかかってしまっている状態をいいます。ですから、困っていないということは、それは障害という状態ではないということになります。
園と保育者の多大なる努力の結果、その子と保護者が困りごとを感じずに生活できているとしたら、それはその園生活はとても良い環境にあるということです。
保育園の先生方が、本当に良い保育をされているということだと思います。

問題は、それをいつまでも続けられないということと、子どもが成長していくということです。

困っていない保護者に「発達検査を受けてきてもらいたい」と突然言っても、まず受け入れてもらえないでしょう。突然すぎると感じて、不信感が生まれてしまうかもしれません。

保護者と園で未来を見据えた子育てチームを

保護者と園は、未来を見据えて「この子にとってどんなサポートをしていくのが良いのかを考える」子育てチームです。
まずはこの目線を合わせることが大切です。

  • 今、園でどんな配慮をしているのかを共有(その結果、生き生きと園生活を送っている)

  • 子どもの姿を共有―同じ場面を見ていても、気づくことは保護者と保育士で異なります。それを丁寧にお互いに言葉で伝え合います。

  • 今後予想される困難を伝える

手帳をとるため、特別支援学校に行くために必要な検査という場合もありますが、そうでない場合は、心理検査は日常の困りごとを減らすこと、子どもの長所をどう伸ばすかを周りの大人が考えていくためのものです。

これを忘れてはいけないなと思いました。



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