見出し画像

パラレルキャリア、複業、アグリゲーターといわれる人たちの働き方

「複業」という人たち

さて、ここまでの流れにとはまた異なったスタンスの人が登場します。

自分はそもそも、本業、副業ということではなく “複業” なんです。

といいはる人たちが出現することになります。

副業ではなく、複業だというタイプの人は、どの仕事から金銭的報酬の多くをもらい、どの仕事からはそれほどもらわないかといったことはあまり気にしません。

自分が果たすべき役割が複数あれば、複数の仕事をする。

自分が学ぶべきこと、自分のやりがいが複数あるから、それによって仕事が増えるんです。

など、ごくごく自然に自分が仕事に求めることと、仕事や社会が自分に求めてくることを鑑みながら、新しい仕事を増やしたり、時間の流れとともにそれが必要なければ止める、といったことをするのが、このタイプの方々です。

自分の人生の目的や実現したい世界観に向けた活動は、金銭の大小はあっても、いずれすべて自分にとって本業となるものだと思います。

自分という資源を目的に沿って多重利用することで、個人の中に強みの多様性が生まれていくイメージです。

事業活動はシンプルに捉えると「問題」の「解決」だと考えています。

ですので、本業か副業か、仕事か趣味かの区分けをせず、小さい活動からでも自分の強み、関心を活かした取り組みをすることで、問題の本質の理解や解決の発想が広がっていきます。

対応に追われていく企業

このように、個人のさまざまな「副業(複業含む)」に対する捉え方を聞いていくと、

・「副業」をせずに自分の仕事だけに邁進する

・外部での「副業」を本業の糧にする

・副業ではなく複業として「副業」を捉える

など、個々人によって「副業」の活かし方、捉え方は一様でないことが分かります。

であれば、組織側は、こうした副業に対する捉え方、取り組み方を本人に委ね、情報漏えいや職権の悪用などをクリアした上であれば、自由に「副業」に取り組めるようにするのがあるべき姿なのではないか、とも考えられます。

実際に、サイボウズ、リクルート、ロート製薬を始めとした大企業でも、公式に副業を認めることを制度に織り込む動きが活発化しています。

政府も、「働き方改革」の中で、企業が就業規則を定める際に参考にする厚生労働省の「モデル就業規則」から副業・兼業禁止規定をなくし、「原則禁止」から「原則容認」に転換するという姿勢を打ち出しています。

そのため、制度として「副業」への捉え方を織り込む本業企業側にとっては、自社の働き方をどうするのか、大いに試される局面が訪れていると言えます。

ある「副業」を容認している企業人事は、赤裸々に内情を話してくれました。

コンセプト上、副業を容認してるのですが、本業に対する時間や熱意が下がっていて、毎日定時に帰り、副業してる人が1人出てきました。

手伝っていたベンチャーに転職すると言い出す人も出てます。

本業に集中したいと思える環境を作りきれていないというわれわれの反省とともに、集中力が分散するということはあるな、と正直思いました。

本来は、組織側として「本業」の価値が高まるように副業への取り組みを推奨したものの、実際には、副業のほうが本業よりもさまざまな側面で魅力的に感じ、本業への集中が落ちる。

そして、最終的には社員が退職してしまう。

これは副業を容認する組織側からすると、「副業をしていたとしても社員が自社に留まりたいという魅力ある環境を作らなければならない」ということを突きつけられるとともに、「社員を失うリスク」についても考えなくてはならないことを意味します。

移るべき組織へ入ることが必要な時代

企業側からすれば「脅威」ともなりうる副業経由の転職ですが、これは個人からすれば、これからの時代にあるべきパターンなのかもしれません。

ある女性は、自分個人としては一つのことに集中しなくなるという観点で、「副業否定派」と言いながらも次のような指摘をしていました。

私は副業経験があります(正確に言うと、個人事業主として複数の仕事を同時並行)。

個人事業主としての経験から感じるのは、 自分自身の志向/特性を確かめるために一時期は副業をしていてもよいと思いますが、それを見極めた後はいずれ本業に絞るのがよいということです。

「本業から別の本業へのシフトを何回か続ける」というのは、これからの潮流になる気がします。

こうした「本業」を何回かシフトしていくというスタンスについては、ロンドン・ビジネス・スクールのリンダ・グラットン教授も、その著書『ワーク・シフト』『ライフ・シフト』の中で次のような指摘を行っています。

未来の世界では、専門分野の脱皮を遂げる重要性が高まっていくだろう。

(中略)第一は、新しいチャンスが目の前に現れたとき、未知の世界にいきなり飛び込むのではなく、新しい世界を理解するために実験をすること。

そして、これらの書籍でリンダ氏が「フリ―エージェント」と呼ぶ人びとが自分の状況に応じて新しい仕事へとシフトを続けていくことが、結果的に社会全体の活力を高め、変化に対応することにつながるのかもしれません。

これからの時代の変化、そして自分自身の仕事の変化を見据え、今一度「副業」について考えてみてはいかがでしょうか?


よろしければサポートをお願いいたします!頂いたサポートについては、製作費として使わせていただきます。