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短編小説:蝶々

ワタクシ、蝶々。
正式名称は、アカタテハ。
アゲハチョウの一種でございます。

ワタクシの美しさに皆が感動し、世界各国でワ
タクシ切手に採用されておりますの。
ダークブラウンに艶やかなオレンジの差し色とホワイトのドット。
ワタクシの優美さは、ヨーロッパでは知れ渡っておりましてよ、ほほほ。

にもかかわらず、日本人はセンスがありませんわ。
ワタクシの優美さがちっとも理解できないんですもの。

なんなのかしら、失礼な!ワタクシのことを地味とか気持ち悪いとか。
ホントに、センスのないかたばかりでうんざりしますわ。
それにワタクシ、蛾じゃありませんことよ。アゲハチョウの一種でしてよ。

というか、皆様、蝶と蛾の違いをご存知でして?
よく夜飛ぶのが蛾で昼飛ぶのが蝶とか、羽根を開いて止まるのが蛾で、羽根を閉じて止まるのが蝶、とかおっしゃいますでしょ。
アレ、ウソですの。
夜飛ぶのが好きな蝶もおりますし、羽を開いて止まる蝶もおります。たくさんの例外があって蝶と蛾をそのように区別することは難しいのでしてよ。
だから他国では蝶と蛾を区別していない国も多いのです。

皆さまが普段なにげなく信じて行っている区別も実はただの偏見にすぎないのですわ。
ほほほ。ご反省なさいませ。

では皆さまごきげんよう。


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