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いわゆる5年ルール。良かったのか悪かったのか。

30年前、同じゼミだった友人の卒論のテーマは「少子化」でした。
東京都は第2子以降の保育料無料や給付金の一括支給などを少子化対策で行いますが、子どもをこれから産み、育てる世代が、結婚や出産を前向きにとらえられない状況があり、その理由の一つは低賃金だったり雇用条件の悪さだったりする。
そこはどうして見て見ぬふりをするのかなぁ・・・。5年ルールも全然機能していないなぁと思うのですが、どうでしょう?

いわゆる5年ルールとは

同じ会社で有期労働契約が更新されて通算5年を超えると、労働者の申込みによって、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールのこと。 2013年4月1日以降の契約からこのルールが適用されることになった。

「ただし更新回数は4回まで」という文言

2015年10月に、某法人に契約職員として転職したとき、契約書の契約期間は2016年3月31日までとあったが、「ただし更新回数は4回まで」という但書はなかった。
雇用保険で、再就職手当をもらう書類に契約期間に関する項目があって、そこに「契約更新を前提とする契約」というような記載があり、そこに☑が入っていたことも覚えている。

でも、2016年度から採用した契約職員の契約書から「ただし更新回数は4回まで」という文言が記載されるようになった。私のように、それ以前から働いていた人の契約書にはその但書はない。

そして、求人票にも「ただし更新回数は4回まで」と明記し、採用面接の際にも口答で説明するように、と人事関係の部署から指導が入るようになったた。

念のため、早めに契約終了するケースも

最近、驚く話を耳にした。
従来は、5年ルールを回避するために採用時に更新回数を4回と明記したり、更新時に「今回が最後の更新です」と予め伝えるなどしてきたが、4回更新したという実績があると裁判でまけるケースがあるから早めに契約終了することもある、と。

そんなに、無期雇用の職員(しかも時間給だったり日給だったりの)を抱えることを回避したいんだ…と唖然としました。

ルールの恩恵を受けた人も

もちろん、このルールを契機に、パート職員を正職員化した企業もたくさんあります。でも…おそらくですが、このルールが「後押し」になっただけではないかと。つまり、現場を支えているパートさんがいなくなると困る、何とかしなければ…と長年思っていたところに、法改正という後押しがあり、人件費増になったとしても「法順守ですから」と通せたのではないかなぁ。あくまでも個人的な推測ですが。

人材力を軽視する企業・団体はいずれ痛い目に合う

5年ルールの抜け道を駆使する企業・団体は、労働力はこれから減少の一途で、優秀な人材は取り合いになる、という事実をわかってないのでしょう。

オーナー企業・団体には、社員・職員を「使用人」のように思っている方も少なからずおり、「替えはいくらでもいる」と本当に思っているようだ。

いえ、もういないんです。円安で外国人労働者さえ日本に来なくなる事態なのに…。

ほしいのは無期雇用? いえ働き続けられることでは?

不当な低賃金や長時間労働は別として、いわゆる正職員ではないけれど契約で働き続けてきた人にとっては、急に「5年」と区切りをつけられてしまって、本人も職場も困っているケースのほうが多いように思う。

かえって不安定になった人のほうが多いように思うのですが、どうでしょう? 「雇止め」という言葉もすごーく嫌な言葉ですが、5年ルールができる前はそんな言葉はあまり聞かなかったように思います。


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