見出し画像

YouTubeロープレ想定ケースの舞台裏

読了目安:約7分(全文2,917文字)※400文字/分で換算

 今回は、現在You Tubeで公開しているロープレの想定ケースについて、実はこういう風に考えて設定していましたという裏話的なコラムです。

 ●You Tubeチャンネル「ジャン・一のキャリコン研究所」
  https://www.youtube.com/channel/UCgTGsNBWlPMlXWTQb25rrpw

1.相談者の想定ケースの設定

 現時点でYou Tube上で公開している18名(第0回~17回)の相談者のロープレが公開されています。その相談者18名をどのような観点で設定したのかこれから解説します。参考までに想定ケースの一覧表は以下よりダウンロード可能です。

(1)氏 名
(2)年 齢
(3)属 性
(4)職種・勤務歴等
(5)学 歴
(6)家族構成等
(7)来談の経緯

(1)氏名:相談者の名字は、名字由来netの「全国名字ランキング」の上位にある名字の中から選択しています。その理由は、普段耳にしないような珍しい名字の相談者は試験では出てこないからです(一部例外はあるかもしれません)。ただ、名前がかぶらないように今回気をつけていましたが、うっかりして「佐藤」さんが重複しています。ちなみに相談者の名前は何となく(適当に)つけてしまいましたが、セカンドシーズンではきちんと考えて設定するつもりです。

(2)年齢:まず18名は全て違う年齢に設定していますが、年代は以下の通り、満遍なく配置しています。

10代:2名
20代:4名
30代:4名
40代:4名
50代:4名

(3)属性:面接試験で最も多い、「社会人」が中心で次いで学生、失業者と設定しています。

社会人:15名
学 生:  2名
失業者:  1名

 なお、キャリ協では過去に論述・面接試験で学生の設定はあるものの、JCDAでは一度も設定されていないはずです(少なくとも論述試験では過去に一度もない)。その理由は2つです。(1)演じ手である10~20代のキャリコンが少ないこと。(2)学生の支援は、一般の就労支援よりも専門的な知識と技能を求められるため。以上によりJCDAは学生を除外していると思われます(個人的には両団体で擦り合わせるべきと考えています)。

(4)職種・勤務歴等:過去の論述・面接試験の傾向をふまえつつ、以下のような書籍やネット上、周囲からの情報収集等による業界分析に近年のトレンドや実技試験の出題傾向を加味し、様々な業種・職種で設定しています。端的にいうなら実技試験で出題されやすい設定ということです。

画像1

(5)学歴:面接試験で最も多い、4年制大学卒を中心に高卒、専門卒、短大卒等、一通り設定しています。

(6)家族構成等:相談者の年齢に応じて、子供の年齢や属性を設定し、単身者の場合、一人暮らしか両親と同居なのか等を考慮しています。なお、面接試験で出てきそうな家族構成を一通り設定していますが、今回「シングルマザー」の設定がなかったので、セカンドシーズンでは取り入れる予定です。

(7)来談の経緯:相談者の第一声にあたる来談目的から相談者が抱えている問題として、以下のように幅広いバリエーションで設定しています。

転職・退職
セカンドキャリア
コミュニケーション
人事制度
雇用形態
先行きの不安
職場の配置転換
学生の悩み
仕事の不満・・・etc

 キャリコン視点で捉えた相談者の問題としては、論述・面接試験でもよくある一般的な「自己理解不足」「職業理解不足」「コミュニケーション不足」「思い込み」を中心にそれ以外の問題も含め、試験対策だけでなく実務的な観点からも様々な課題に取り組めるよう設定しています。

2.ロープレ時の相談者役の設定

 これからお伝えする内容はもちろん試験対策も考慮していますが、資格取得後の実務(キャリアコンサルティングの仕事)的な観点で設定しています。つまり単なる試験に合格するための学習ではなく、実務のスキル向上にも有効であるという方針です。これから以下の2点について解説します。

(1)相談者の発話量
(2)相談者の傾向

(1)相談者の発話量:相談者が話す分量と態度=発話量を以下のように数値化し、試験でもよく出てくるレベル6の設定にしています。なお、一部技能のバリエーションを広げる方策(経験)としてレベル5やレベル9ぐらいの難しい相談者もあえて設定しています。

画像2

 なお、実務でも失業給付金を受け取るだけの事務的な手続きを行う求職者や人事部から呼び出されて疑心暗鬼になっている従業員等、レベル6に近い相談者は割といます。一般にロープレの勉強会ではレベル7~8以上の協力的な対応しやすい相談者が多いと思いますが、レベル6で慣れておかないと試験当日のギャップに戸惑うことだけでなく、資格取得後にキャリコンの現場で現実を目の当たりにして苦労することになります。

 (2)相談者の傾向:当チャンネルで公開しているロープレの動画は何よりもリアリティを重視しています。たとえば、実務と同じようにキャリアコンサルタントの質問が相談者に通じなければ当たり前のように抵抗されますし、相談者が「RPA※」のような専門用語を普通に口走ることもあるわけです(※の意味は別コラム「面接試験に出そうなビジネス用語」ご参照ください)。なお、公開しているロープレは原則として台本・取り直し・編集はありません。一度だけ取り直したロープレもありましたが、代わりに「ロープレ間違い探し」のコンテンツとして公開していますので、これはご愛嬌ということでお許しください。

まとめ

 単に試験対策としてロープレを視聴するのはもったいない。どうせ視聴するなら実務的なスキルも向上できるやり方で取り組みましょう。それが結果的に受験団体の意向とも合致する学習法です。

 次回はYou Tubeや推奨教材にあるロープレの活用法や視聴方法についてお話します。もちろん試験対策だけでなく、実務的にも有効な学習法の解説です。現在、第16回の受験生がキャリコン役をつとめるセカンドシーズンの準備を進めています。どうぞお楽しみに。(ジャン・一)

引用・参考文献

名字由来net「全国名字ランキング」https://myoji-yurai.net/prefectureRanking.htm (2020.12.29アクセス)

東洋経済オンライン「会社四季報 業界地図」https://str.toyokeizai.net/magazine/gyoukai/ (2020.12.29アクセス)

note「【キャリコン試験対策】面接試験に出そうなビジネス用語」https://note.com/career_counselor/n/n8655c7e00d69#xN49J (2020.12.30アクセス)

ジャン・一のキャリコン研究所「【キャリコンあるある】ロープレ間違い探し【中級編】」https://www.youtube.com/watch?v=NtEPb0c21yk&list=PLemU-AZAJUBsnYDTO4tREQ2KpvHFy2Aku&index=3 (2020.12.30アクセス)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?