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『聴けずのワカバ』(キャリコン資格取得編)-49

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主観はダメだというけれど(3)

「なんかさー、てめえの言ってることはまどろっこしくて全然分かんねえわ。サオトメさんもそう思いますよねー!」

 サオトメは少し考え込んでいた。イチジョウの発言がこれまでの勉強会でのやり方・考え方と全く違っていたからである。

「・・・ほら、みろ。サオトメさんも考え込んじまってるじゃねえか。だいたい誘導も見立ても結局一緒なんだよ」

「・・・どうやらもう一度説明する必要があるようだな。見立ては面談にとって必要な考え方なんだよ」

「はは、そんなもん肯定したら誘導になっちまうじゃねえか」

「それはおそらく面談の経験がないからそう思うんだろう」

「!!!なんだと!俺が経験ないって!俺は試験に合格してるんだぞ!」

「試験に合格していることと面談の経験があることは別問題だ」

「なにをー!こいつ調子に乗りやがって」

「まあ、まあ、一応聞いてみようじゃないか。イチジョウさん見立てが面談に必要というのはどういうことかね」

見立てが必要になってくるのは相談者の問題をキャリコン視点で考える段階からです

「口頭試問でも聞かれる2番目の質問のことかね」

「はい。相談者が抱えている問題は、来談目的から変化していくものですから、割と把握しやすいかもしれません。しかし、第三者視点の問題となるとここではキャリコンの主観に基づいた見立てが必要になってくるわけです」

「うーん、何となく分かる、が。さっき言ってた面談の経験というのは?」

「それは試験制度の前提である15分の面談ではキャリコンが見立てをする場面が少ないことと関連します」

「関連するとは?」

見立てを前提として面談を進めるのは、時間軸でいうと中盤から後半にかけてです。先ほどお伝えした問題を把握・共有したうえで目標設定を合意形成し、最後に方策を提示する。つまりクロージングにあたる部分まではキャリコンの見立てが必要になります」

「試験上の15分だけでは、通常クロージングまで至らない。つまり実務経験がない限り、見立てを意識したロープレはしていない、ということかね」

「はい。その通りです。実務をやっていれば普通に理解できることをどうもこちらの方はご理解されていないようでしたので、あえてご説明申し上げました」

「なんだとー!俺がロープレやったらてめえなんて恥ずかしくなってできねえからな!そんなことより時間がねえんだ、次のダメ出しいくぞ!」

次回の更新は10/22予定です

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