『聴けずのワカバ』(キャリコン資格取得編)-8
試験制度の前提を再確認しよう(2)
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「ええっと、どこまで話したっけ」
「イチジョウさんのあだ名、いや愛称が【おっさん】になったとこまでです」
「そこじゃない、試験制度の前提だよ。改めてもう一度この図を見てくれ」
「うーん、やっぱり受験料高いなあ」
「そのくだりはもう終わった。親方は学科を合格してるから実技のことを確認するぞ。覚えてたらでいいが、今までの実技の試験結果教えてくれるか」
「最初の試験が論述:28点、面接:55点、合計83点で不合格。前回が論述:25点、面接:53点、合計78点で不合格でした・・・」
「どっちも点数下がってんじゃねえか」
「あんなに勉強したのになあ。せめて論述でカバーできるように一生懸命勉強したのに・・・」
「カバーしようという姿勢がダメなんだけどな」
「なんで!ロープレ苦手だから論述で挽回することの何がいけないの!」
「じゃあ、聞くけど挽回できたのかよ」
「いや、できませんでしたけど・・・」
「そうだろう。学科は努力と成果が比例しやすいが、実技は論述も面接も不確定要素が多すぎる。学科は4択問題だから明確な答えがあるが、実技は記述式と面接なんだから採点者の裁量が大きく影響する。採点者や試験官によって評価が異なることがあるわけだ。それが良い悪いではなく機械じゃなく人間がやってるから仕方ない。だからそれを無視して必死に勉強したところで直接成果に結びつくわけがない」
「じゃあ、どうしたらいいのよ」
「頑張るんだよ」
「何を」
「両方だよ。論述も面接も。あとで悔やまないように、試験結果で一喜一憂しないように、【自分は試験までに精一杯努力はしたんだから、あとは採点者や試験官に任せよう】と思えるまで最善を尽くすしかない」
「そんな精神論いわれたって・・・」
「でも試験の採点内容が非公開である以上、実技に正解はないだろ」
「確かにそれはみんな言ってるけど・・・」
「とにかく今できることをやるんだ。でもやり方が間違うとマイナスの効果にしかならないがな。そうしないとこんなこともある」
イチジョウは先程書いた図の下に「足切りライン」と「評価区分」を追加して見せた。
「学科は7割以上が合格だから当然69点以下は不合格。実技は論述と面接の合計の6割以上が合格基準だが、論述の配点、面接の評価区分で4割未満の点数があった場合、不合格となる。その4割未満の評価を所要点未満という」
「えっ、何それ?」
「やっぱり知らんのか。たとえば面接が90点だったとする。この場合は既に6割以上だから合格かと思いきや、論述が19点だったら不合格というわけだ」
「ええと、合格で109点(150点中)なのに!」
「過去に91点だったが、不合格になった受験生に合格通知を見せてもらったことがあるから本当だ。その受験生は論述は合格基準点を超えていたが、面接の【展開】が所要点未満だった」
「かわいそう」
「このルールがある以上、どっちかでカバーしようなんて考えは捨てた方がいい。結果的にカバーできたらラッキーぐらいにな。だから論述・面接両方とも最善を尽くすんだよ」
「はい、分かりましたよー」
「まあ、分かればよろしい。それでは次は面接試験の前提条件を再確認しとくぞ」
次回の更新は8/29予定です
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