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『聴けずのワカバ』(キャリコン資格取得編)-51

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試験は満点とらなくていい(1)

「低い志というのは何でしょう」

「試験に合格するためには100点狙わねえとダメだろうが!」

「100点?満点ということでしょうか」

「当たり前だ。失敗ゼロを目指せ!ミスを容認する甘っちょろい考えじゃ試験に受からねえんだよ!」

「ミスをしないか・・・これだから素人は」

「誰が素人だって!」

「いや、申し訳ない。あまりにも試験制度を理解していなかったので」

「試験制度!?それがどうしたよ!」

「面接試験の合格基準は何点か分かってるんでしょうか」

「当たり前だろ。60点だ」

「そうですよね。60点です。それで合格できるのに何故それをはるかに上回る点数を取らないといけないのでしょうか?」

「てめえはバカか。合格基準ギリギリなんて甘っちょろい心構えじゃ合格できねえだろ」

「まあ、答えになっていないですけど、少し考えてみてください。100点満点で60点が合格基準ということは、逆にいうと40点分は失敗しても良いということになりませんか」

「だから何だよ。そんなのただの引き算じゃねえか」

「そう小学生でも分かる簡単な計算です」

「小学生・・・バカにしてんのか、てめえ!」

「・・・この試験は実務経験のない人たちも受験します。それに満点を取ることが必須であれば、面接試験の合格率があれほど高止まりしているわけがありません」

「合格率は関係ねえだろ。俺は気持ちのことを言ってんだ」

「根拠のない精神論ほどタチの悪いものはない」

「なんだと!言わせておけば・・・」

「まあ、まあ、イチジョウさんの言うことも分からんでもない。が、受験生の自己効力感を上げることが悪いことなのかね」

「それで上がればいいのですが」

「上がるように心掛けているよ、我々は」

「現状を見る限り、そうはなっていない。むしろミスを恐れてぎこちなくなっている。さらにそのプレッシャーに押しつぶされそうになっているようにも見えますが」

「それは練習だから仕方ないのだよ」

「でも練習で不自然なのに本番だけ自然体で臨めるものでしょうか。それで苦しんできた受験生を私はたくさん見てきましたが」

「それはあくまで受験生によるでしょう」

「おそらく資格保持者のそういう考えが受験生を追い込んでいるようにも思えます。現に口頭試問でもその影響は現れている」

「口頭試問?」

次回の更新は10/24予定です

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