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『聴けずのワカバ』(キャリコン資格取得編)-51~52更新

本日、以下の2話分を公開しました。

【51話】試験は満点とらなくていい(1)

【52話】試験は満点とらなくていい(2)

読了目安:約4分(全文1,462文字)※400文字/分で換算

試験は満点とらなくていい(2)

「受験団体によっては口頭試問でこんなことを聞かれることがあります」

「どんな質問かね」

「【今回のご自身のロープレに点数をつけるとしたら100点満点中何点でしたか?】と自己採点を問われる質問です」

「確かに過去、質問されている受験生はいたね。10点満点の場合もある」

「それでは、その時どう答えるのが【セオリー】なのでしょうか」

「・・・セオリーね、一般的には高い点数を答えるよう指導しているけどね」

「たとえば何点ぐらいが望ましいのでしょうか」

「そりゃあ、高ければ高いほど良い。最低でも70点、90点以上でも良いくらいですね」

「そうですか。どうやら試験制度だけじゃなく、受験団体や試験官の意図も汲み取れていないようですね」

「てめえ、どこまでも調子に乗りやがって!」

「さすがに言葉が過ぎますよ」

「あくまで事実を言ったまでですが、そもそも自己採点の質問はどんな受験生にすると思いますか?」

「そんなもん試験官の気まぐれだろ」

「試験官をバカにしない方がいい。キャリコンと同じように意図性のない質問は、まずしない」

「ではイチジョウさん、どんな意図性があると言いたいのかね」

「試験官の視点で考えてみてください。この質問をされた受験生はどんなロープレをしていたのか」

「そんなもん考える必要も・・・」

「それはロープレにおける受験生の自己評価と試験官による他者評価が一致していないと推測された場合だろうね」

「さすがサオトメさん、その通りです。試験官としては、評価の一致の確認を目的として質問しているはず。では自己採点がどのぐらいの点数の受験生を対象としているのでしょう」

「そうだね・・・もし私が試験官なら・・・80点とか90点の高い点数の受験生には質問しないね」

「そうですよね。その質問をしなくてもどのみち合格基準をクリアしているわけですから」

「あとは・・・40点とか50点とか、そもそも合格基準に満たない受験生にも聞かないか・・・」

「そうだと思います。聞いても合否に影響はないわけですから」

「ということは・・・60点前後の受験生か・・・」

「そうなんです。つまり合格基準のボーダーラインギリギリの受験生に対して、自己評価と他者評価が一致するかを確認するための質問だと私は考えています」

「そうか・・・それでは口頭試問で自己評価を問われた時は【60点】と答えるのが望ましいということか」

「試験官の視点に立てばそうなります」

「まあ、分からんでもないが、セオリーとは全く違うがね」

キャリコンは、常に自問自答する謙虚さが必要です。自分の面談が満点だと過大評価するようでは、キャリコンとしての資質も今後の成長もありません。ただ、満点を目指すことが悪いわけではありません。悪いのは、それを受験生に強制し、無理難題を押し付ける資格保持者の方です」

「おいおい、黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって!このや・・・」

ピピピピピーーーー!ここで1回目のローテーションの終了を告げるタイマーが鳴った。

「命拾いしたな。次はてめえのロープレだから覚えてろよ!」

そして会場にいる全員がしばしの休憩に入った。

(ん、結局ワタシのフィードバックって・・・)ほぼ3人のやり取りで終わってしまったこの時間。何だか腑に落ちない気持ちを抱えていたワカバであった。

次回の更新は10/29予定です

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