言葉は魔法#11 記号としての職業

村上春樹さんの「世界の終わりと、ハードボイルドワンダーランド」には、職業の名前で呼ばれる人が出てきます。
「世界の終わり」に住んでいる人は、それまでの名前を失い、何かの役割が与えられ、「門番」「大佐」などと呼ばれます。

こういうことは、素敵だなあと、わたしは思います。

職業が、その人を表すアイコンのように使われるのは、長くその職業に就いて働いてきたからでしょうか。
それとも、その人にあまりに職業がピッタリあっていると見えるからでしょうか。

同じ会社の中でも、その道のベテランは、「人事」とか「経理」とか職種で呼ばれたりするのこともあるのでしょうか。

わたしは、わたしとして周りから認めてもらいたいので、個人の名前で読んでもらえると嬉しく感じます。(特に、ファーストネームで呼んでもらえると)
その一方で、わたしの職業が、わたしを象徴するアイコンとしてわたしの呼び名になったとしたら、それはそれでわたしは嬉しかったりします。
映画「千と千尋の神隠し」の中では、主人公の千尋が湯婆婆(ゆばーば)から名前を奪われ、「今日からお前は千だよ」と言われるシーンもありましたね。
他人から、勝手に名前を押し付けられるのは、あまり気持ちのいいことではありません。それは、囚人が、「今日からお前はここでは842号だ」と言われてるようなものです。

映画のタイトルにも、職業の名前が付けられた名作があります。「鉄道員」「郵便配達夫」「仕立て屋」などが思いうかびます。
童話や絵本の中でも、「王様」「大臣」「兵士」「僧侶」など象徴的な職業の登場人物がみられます。

そこで、質問。
あなたを職業で呼ぶとすれば、どんな呼び方になりますか?
それは、あなたにとってしっくりくるものですか?

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