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カウンセリングを学ぶとき、オブザーバーは何をみる?

カウンセリングを学ぶとき「オブザーバー(観察者)」になったことはありますか?

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オブザーバーとは、カウンセリングを体験的に学ぶときに、その場を観察する人。第三者の立場でそのカウンセリングの場面をみて、主にカウンセラー役に気づいたことをフィードバックします。

クライエント役とカウンセラー役は、カウンセリングを体験しているときに客観的に自分をみる余裕がない。そんなときこそ、オブザーバーの出番。
それぞれの役をやってるときには気づかないことも、第三者の立場だと「あ、こんな感じなんだ」と気づけることも多い。

そんな「オブザーバー」が観察するポイントを3つにまとめてみました。

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1.クライエント役の動き

来談者中心療法」という名のとおり、カウンセリングの主役は、クライエント。このクライエントが、カウンセリングを受けて「楽に生きられるように」、「より成長できるように」、「自分らしく生きる」など、一人ひとりの問題が解決されることを目指します。
では、オブザーバーとして、クライエント役を観察するポイントはどこにあるか。

①クライエント役は何を伝えたいのか?

まずは、クライエント役が一番、伝えたいことを観察します。

もちろん、相談の最初に話すこともありますが、必ずしもそのことが、クライエント役が一番、伝えたいこととは限らない。

その伝えたいことは、言語化されていないこともある。
ときには、クライエント自身も気づかずに、潜在的な思いになっていることもある。なかなか奥が深い。

クライエント役が自分でもわかっていなかったり、曖昧な場合は、どの場面で伝えたいことが見えてくるかわかりませんが、全体の観察を通じて、感じるところかもしれません。

②クライエント役の気持ちはどう変化したか?

クライエント役が話を進めるなかで、気持ちにどのような変化が出てくるかもしっかり観察したい。

最初は、冷静に話をしていても、話が展開していくなかで、怒りや悲しみ、とまどい、あきらめなど、いろいろな感情が出てくる場合も多い。

クライエント自身が、その感情を言語化して表現することもあれば、表情など非言語の部分で表出化することもあるので、注意して観察したい。

カウンセラー役は、カウンセリング中にメモを取ることは難しいが、オブザーバーはメモを取ることが許されている場合も多いので、気づきはしっかりメモに残すようにしています。

気持ちが含まれたクライエント役の言葉をメモすることで、そのカウンセリングの間での気持ちの変化を時系列に確認することもできます。

③自分がクライエント役だったら、どう関わってほしいか?

仮に自分が、クライエント役の立場だったら、カウンセラー役にどう関わってほしいかを考えてみる。

例えば、自分のつらい気持ちをまさに語っているときに、カウンセラー役が違う視点で、質問を投げかけてくると、きっと「自分の話をもっと聴いてほしい」と不満に感じるだろう。
カウンセリングの体験セッションが終わったときに、クライエント役に「振り返ってみて、あの場面でクライエント役はどう感じていたか、どのようにカウンセラー役から関わってほしかったか」を確認し、自身がカウンセラー役を引き受けるときに役立てるようにできるとよいでしょう。

2.カウンセラー役の動き

オブザーバーの2つ目の観察するポイントは、カウンセラー役の動きです。自分がカウンセラー体験ができる機会も限られているため、別の人のカウンセラー役から学べることも貪欲に吸収したいですね。

①カウンセラー役の姿勢や関わり方はどうか?

カウンセリングの基本ですが、受容や共感的理解など、カウンセラーとしての傾聴の姿勢や関わり方を観察します。

カウンセリングの勉強になれてくると、クライエント役の課題解決を優先してしまい、傾聴の姿勢や寄り添った関わり方が、不十分になることもあります。
例えば、なんとか課題を解決しようと、周りの事柄や環境の確認が中心となり、クライエント役の気持ちが置き去りになってしまうこともありえます。

オブザーバーとして、カウンセラー役のクライエント役に対する姿勢は常に意識していたいところです。

②カウンセラー役の技法はどうか?

カウンセリングの技法には、あいづちなどの応答、言葉の伝え返し、感情への応答、質問など、さまざま。

カウンセラー役は、技法の意味や使い方を認識していても、カウンセリングの実施中にはそれが適切な使い方だったかわかりにくいものです。

オブザーバーは、クライエント役の受け答えや表情などから、カウンセラー役の技法が適切だったか観察します。自分がそのカウンセラー役であれば、同じ場面でどのような技法や関わり方をするかも、合わせて考えてみたいところです。

気になるところはメモに記録し、カウンセラー役が自分が思っていた技法や関わり方と違うアプローチをしていたときは、カウンセリング後の振り返りのときに、カウンセラー役にその意図を確認するのもよいでしょう。

③カウンセリングのプロセスを意識しているか?

カウンセリングは、そのプロセスを意識することも大切だと思います。
オブザーバーは、カウンセラー役がどのような見立てをして、今後のカウンセリングを続けようとしているか、目標をどこに置いてクライエント役に関わっていくか、といったところも着目します。

1回限りの勉強会の場面では、クライエントの課題の解決までの見通しは立ちにくいですが、継続的な場面では、今後どのようにカウンセリングを展開していくか、は気になるところです。

3.カウンセリング全体の動き

最後に、クライエント役とカウンセラー役という個人を見るだけでなく、カウンセリングの場(雰囲気)や全体の流れを観察します。

「信頼関係を築いた場になっているか」、「クライエント役とカウンセラー役は同じ風景を見ながら、一緒に歩んでいるか」などカウンセリング全体を意識します。

このあたりは、自分でもうまく言語化しにくいのですが、カウンセリングがうまくいっているときは、クライエント役とカウンセラー役の話が二人三脚で歩むような一体感が強く感じられ、温かい雰囲気が醸し出されている印象があります。

最後に

カウンセリングの勉強会では、クライエント役とカウンセリング役に比べ、オブザーバーの負荷は小さいかもしれませんが、学べば学ぶほど、観察すべき視点が増えていく気がします。

カウンセリング後の振り返りで、オブザーバーのフィードバックが、カウンセラーの成長を助けるのではないでしょうか。

「良きオブザーバーになることは、良きカウンセラーになる近道」だと思っています。


感じて、考えて、表現します。「そんな考え方もあるね」と思ってもらえたら幸いです。