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食中毒予防のキホン【こども食堂向け食品衛生講習会に参加しました】

渋谷文芸食堂の第1回・7月31日(水)開催に向けて
先週、渋谷区こどもテーブル係主催の食品衛生講習会に、船岡さんとふじもんとで参加してきました。
今回は復習を兼ねて記事の前半には講習会で学んだ食中毒予防の内容を、後半は渋谷文芸食堂の食中毒対策を書いていきます。

ご家庭でもできる対策ですので、暑い夏の時期・冬のノロウイルス対策にもご活用頂ければ幸いです。

記事の最後にも参加お申込みフォームのリンクがありますので最後までご一読していただければ幸いです。



食中毒とは…?

食中毒とは、細菌や自然毒(フグ毒や毒キノコなど)、化学物質や寄生虫など、有毒な物質がついた食べ物を食べることによって、げりや腹痛、発熱、吐き気などの症状が出る病気のことです。

食中毒の原因によって症状や発症期間はさまざまですが、後遺症が残ってしまったり、時には命にも関わるとても恐ろしい病気です。

そんな食中毒を予防するためには基本3原則を調理工程で実施する必要があります。


食中毒予防の基本3原則

①つけない【洗浄・消毒】と【二次汚染の防止】

②増やさない【迅速な扱い】と【食品の温度管理】

③やっつける【加熱】

以下で1つ1つ詳しく説明していきます。


①食中毒菌をつけない

「食中毒菌をつけない」とは食材や調理環境を清潔に保つということです。
そのためには【洗浄・消毒】と【二次汚染の防止】がポイントになります。

【洗浄・消毒】

洗浄とは材料を洗浄し、表面から汚れ(油やタンパク質、ほこり等)を物理的に除去することです。
流水や温水で材料を洗い、食中毒菌を除去します。
ただし、消毒とは異なり病原性のあるものを完全に殺すことはできず、どうしても細菌が残存してしまうため他の食中毒予防の対策と併せて行うことが必要です。

消毒は、物理的あるいは科学的方法によって病原微生物を不活性化したり除去したりすることです。
例えば指先や調理器具の消毒がこれにあたります。
アルコールや次亜塩素酸ナトリウムが代表的な消毒液で、特に次亜塩素酸ナトリウムは用途によって濃度を使い分ける必要が出てきます。

【二次汚染の防止】

二次汚染とは、原材料(魚、肉、野菜など)に付着している食中毒菌が手や調理器具を介して、食中毒菌に汚染されていない食品や調理器具に付着し汚染されてしまうことです。

例えば、食中毒菌がついている魚を触った手を洗わずにそのまま野菜を切ったり他の作業を行い、それが原因となって食中毒菌が増殖してしまうといったようにです。
原材料に食中毒菌が付着しているのは避けられませんが、二次汚染を防ぐためにこまめな手洗いをはじめ、できることはたくさんあります。


②食中毒菌を増やさない

食中毒が起こる原因は、食品に残存した食中毒菌が人体に影響が出るほどにまで増殖することにあります。
食中毒菌の増殖を防ぐためには【迅速な扱い】と【食品の温度管理】がポイントです。

【迅速な扱い】

付着した細菌の増殖を防ぐうえで重要なポイントになるのは時間です。
細菌は瞬時に増殖するわけではなく、時間の経過とともに増えていくため、調理・加工した食品を速やかに食べられるように作業手順を考えて調理することが必要です。


【食品の温度管理】

食中毒や食品の腐敗を起こす細菌は一般に5~60℃が発育可能温度と考えられています。
そのため加熱調理品は、63℃以上の温度で保管、または、急速冷却させたのちに5℃以下で冷蔵することが重要です。

特に、大量調理したものは温度が下がりにくく、細菌が増殖可能な温度帯が長く続くことになるため小分けなどにして、流水などで温度を下げる工夫も必要になります。


③食中毒菌をやっつける

食中毒菌をやっつけるために必要なのは【加熱】です。
加熱によって微生物が死滅し、酵素も不活性化されます。(加熱殺菌法)

微生物が死滅する条件は肉や魚などの中心部を75℃で1分間以上加熱すること、二枚貝などノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85℃で1分間以上加熱することになります。

また調理の後、温度が下がってしまったあるいは冷却保存したものに関しては、芽胞菌による食中毒を防ぐために提供前に必ず十分に再加熱する必要があります。

以上が食中毒予防の基本の対策です。
それらを踏まえて、渋谷文芸食堂で行う食中毒予防策を3原則に対応させながら以下で述べていきます。


渋谷文芸食堂の食中毒予防の対応策

食中毒菌をつけないために…
・お米や野菜を流水でしっかり洗ってから、調理を開始します。

・化学薬品を使って食材を消毒する方法もありますが、今回実施する予定はありません。

・手洗い後のアルコール消毒、調理器具の消毒を行う計画です。

・正しい手洗いの励行、使用する調理器具を目的に応じて使い分けます。

・肉や魚を扱った後は必ず手洗いと調理器具の洗浄を実施します。

・調理の順番を工夫するなどを調理計画に組み込みます。


食中毒菌を増やさないために…
・調理・加工した食品を速やかに食べられるように作業手順を考えて調理を行います。

・細菌が増殖しやすい温度帯にできるだけ食品を放置しません。

・菌が増殖する時間的余裕を作らずに、手早く料理を完成させてすぐに提供します。


食中毒菌をやっつけるために…
・肉、魚は必ず火を十分に通して調理し、生での提供はしません。

・調理の後、温度が下がってしまったあるいは冷却保存したものに関しては、提供前に必ず十分に再加熱します。

以上が渋谷文芸食堂で取り組む食中毒予防対策です。
詳細な調理計画・工程や緊急時対応マニュアルは保健所の方からフィードバックを頂いてからどこかで公開できたらと考えています。
安心・安全なお食事をお出しできるよう尽力してまいります。

今後も渋谷文芸食堂の活動をよろしくお願いいたします。

参加お申込みフォーム

Googleフォームよりお申込みいただけます。
7月31日(水)
8月31日(土)
両日ともに参加申し込み受付中です。詳細はフォームに記載しております。

スタッフ一同お待ちしております。

参考文献

・子どもテーブル運営者対象食品衛生講習会資料
・食品衛生責任者テキスト(公益社団法人神奈川県食品衛生協会 発行)
厚生労働省HP
農林水産省HP

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