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【ケアマネ日記】看取り家族に教えてもらったこと

週一回は、ルーティンにしよう、と思っているのにもう日曜日!

私、このところ内観していました。

正月早々、大好きな人といろいろあって、距離を置くことと同時に、もっと私を深く掘り下げたいって思っていました。

先日、私の利用者さんが自宅で亡くなりました。
末期がんでした。
お嫁さんがつきっきりで介護。夜昼なく…

利用者さんは、いわゆる「明治の人」でした。
息子に優しく、嫁に厳しい。息子には介護をさせない。「お前は、まだ出てこなくてよい、嫁がやればいいのだ」と。

テレビで千葉の梨の番組をやっていれば、お嫁さんに「千葉に買いに行ってこい」と言ったり、
本人が失禁してシーツを汚せば、「ちゃんと手洗いしたか?!」と念押し。
また、だるいと話し、「足をさすれ」と。お嫁さんが腕が疲れ、手を止めようとすると、「そうはさせるか。」と言わんばかりに
話し始める。テレビの音がうるさいとずっと無音。その中で毎日ひたすらお嫁さんは足をさすり続けたそうです。

私はお嫁さんに、「もう十分やりました。病院での看取りを考えてもいいんですよ」と、話しました。
しかし、お嫁さんは「いいえ、家で看取ります。私も意地っ張りなんです。みんなが付いてくれている。ケアマネさん、訪問診療の先生、看護師さん、訪問入浴、マッサージ師さん。それに、私は全く友達とも会うこともできないですが、いい友達がたくさんいて、欲しいものは友達が買って持って来てくれます。会えない時は自転車のカゴに買ったものを入れておいてくれる。だから私は寂しくない。お義母さんを最後まで看ます」と。
私も、「じゃあ、最強のチームを作りましょう!」と伝えました。

お嫁さんとは、出会って半年くらいの付き合いでしたが、本当に濃いつながりでした。

訪問以外に、電話、メールを使って気持ちの共有をしていました。

お嫁さんは、本当に素晴らしい方す。
私、このお嫁さんは、優しさでできているって思っていました。
義理も責任も全て取っ払った純粋な優しさです。
彼女は、私に会うたびに涙を見せていました。思いの丈を私にぶつけてくれていました。怒り、苦しみ、喜び…そして、退出する頃には笑顔になる。

側から見たら、「何やってんだよ、大変なら、さっさと病院に入れて楽になればいいのに…」って思う人もいるかもしれません。

でも彼女は、お義母さんの思いにも気づいていたんでしょうね。
お嫁さんに看取ってほしいこと。
利用者さんは孤独な方だったと思います。たまにお姉さんがお見舞いに来てくれたこともあったそうですが、利用者さんから小遣いをもらうとさっさと帰ってしまう。人との交流がない方だった。孤独な方でした。

私、寂しいね、って思っていました。

お嫁さんがいてよかったねと。

お嫁さんは、いつも気持ちに素直な方で、素直な中から溢れる本当の優しさで接していました。
ご本人には彼女が必要。
それをお嫁さんも分かっていたのです。また、私の推測ですが、この経験をお嫁さん自身が選びとったように思います。彼女の人生において「この経験は必要」と本能的に感じているかのような気がしました。

亡くなる一週間前くらいは、15分おきにお嫁さんの名前を呼んでいたそうです。息子さんが顔を出しても「お前じゃない!」って話したそうです。(笑)

もうじきですって、訪問診療の先生から言われた後、私にメールをくれました。

みーしゃさん、先生から今日かもしれないし、一週間後かもしれないって言われました。みーしゃさんには感謝しかない。大好き。うちのケアマネは最高です!
って書いてありました。
私、泣けてしまいました。

亡くなって、お嫁さんも一時気が抜けるかも。気持ちのコントロールが効かなくなるかもしれません。まずは休んでほしいです。
でも、この経験は尊いものだった。介護していた時のお嫁さんももちろん輝いていましたが、これからより一層輝きを増すでしょうね!

私は、彼女が羨ましいです。
不要な鎧をまとっておらず、そのままで、ただ優しさしかない彼女。今後はお友達になりたいな。

彼女を見て、私の体に精巧な鎧を身に着けていることを実感する。

教えてくれて、私の方こそ、ありがとう🍀

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