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[5分連載小説]CARD MASTER

あらすじ

2040年代、国家は、公正取引委員会を、省庁横断の、組織へと、変えた。
記憶喪失の、17歳の、少女、マレは、バーで、働いていた。其処に、マレを、長く、見守って来た女性、ウェヌスタが訪れ、マレを、自分と同じ、公正取引委員会の審議官に、推薦する。
公正取引委員会直轄の、審議官になる為に、マレは、審議員審判という評議会に、望むが...

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マレ・インスラ・ウェルテックス

CARD MASTER

曇天の、上には、晴天が、ある。希望は、何時だって、困難の先にある。
此れは、私の回想。初めて、公正取引委員会の、審議官になった日の記憶。
私の名前は、マレ・インスラ・ウェルテックス。バーで、働いて居た、17歳の、少女。
私には、記憶が、ない。14歳の時、交通事故で、記憶を失ってしまった。
2040年。企業連合体の肥大化と共に、国家は、公正取引委員会を、省庁横断の組織へ変えた。
公正取引委員会の、審議官は、日々公正な取引が行われる為に、活動して居た
審議官は、公正な企業活動を支援する者。
企業の、裁定者。
私とは、縁もゆかりも無い、遠い、世界だと、思って居た。
そう。あの日まで、は。
始まりは、私が働く、バーに、あの人が、来店して来た日の事。
あの人、ウェヌスタさんが。

「マレ・インスラ・ウェルテックス、調子は、どう?」
「ウェヌスタさん。どうされたんですか?」
颯爽と現れた女性、ウェヌスタが爽やかな風をマレのバーに運ぶ。マレ・インスラ・ウェルテックスは、バーで、働く、17歳の、少女だった。彼女は、14歳の時、野良猫を助けようと、交通事故に遭い、記憶喪失になる。
そんなマレを、3年間、バーの客に紛れ、見守って来たのが、ウェヌスタたち、カジノ・賭博分野審議官カードマスターだった。ウェヌスタによると、どうやら、後日、マレに、話がある様だ。
「込み入った話が、あるの。明日、私の家で、話さない?」
一体、どんな話が、あるというのだろう?
マレは、翌日、ウェヌスタの家まで向かう。街を走る、city train®︎シティトレインに、乗ろうとしていた。city train®︎シティトレインは、2030年代に、登場した、バス車両5-6台を、自動運転で、擬似連結した、乗り物だ。
マレは、smart ring®︎スマートリングをかざして、乗車する。smart ring®︎スマートリングは、2025年頃に、生まれた、電子マネーや、交通クレカの決済が出来る、リング型や、キーホルダー型の、スマートウェアラブルだ。
city train®︎シティトレインでは、同じく、2030年代に、登場した、電車内でのみ、聞くことが出来る、電車内ネットラジオサービスtrain radio®︎トレインラジオが流れている。
目的地で下車して、マレは、pen phone®︎ペンフォンで、ウェヌスタに連絡を取る。pen phone®︎ペンフォンは、2030年代に、発売された、通話機能に特化した、折りたたみが出来る、ペン型のスマートフォンだ。ウェヌスタが、マレを、出迎える。
「よく来たわね。まあ、其処のテーブルに、腰でも掛けて。」
ウェヌスタは、farmer link®︎ファーマーリンクで届いた食材を料理しながら、話しかける。farmer link®︎ファーマーリンクは、2020年代に、リリースされた、オンラインで、直接、農家から野菜や畜産物を、毎月一定量、購入するアプリだ。

air concierge®︎エアーコンシェルジュが、到着したばかりのマレを、優しく包み込む。air concierge®︎エアーコンシェルジュは、2025年頃、登場した、気分体感から、アプリを使い、最適な温度を、選んでくれる、エアコンシェルジェンスサービスだ。ウェヌスタが答える。
farmer link®︎ファーマーリンクと、supermarket®︎スーパーマーケットを、使っているの。」
supermarket®︎スーパーマーケットは、2020年代に、開始した、毎月、定額分まで、オンラインで選択したスーパーの食材を、注文出来、配送してくれるサービスだ。
「食べながら、話しましょう。live house®︎ライブハウスが、うるさいわね。」
live house®︎ライブハウスは、2020年代に、始まった、アーティストの、ライブ動画の、ストリーミングサービスだ。
ウェヌスタは、声をかけて、スマートTVを、global news®︎グローバルニュースに替える。global news®︎グローバルニュースは、2020年代に、登場した、世界各国の、主要メディアのニュース番組が、字幕付きで、見れる、グローバルメディアサービスだ。
「私たちと同じ、カジノ・賭博分野審議官カードマスターになる気はない?」
「自分の物は、殆ど、持っていないわ。electronics®︎エレクトロニクスを使っているの。持っている物は、私が、カードマスターである事位よ。」
electronics®︎エレクトロニクスは、2020年代に、開始した、洗濯機や、冷蔵庫、電子レンジの白物家電一式の、サブスクリプションサービスだ。
「審議官の席が、1つ、空いているの。先ず、しっかりと、自己紹介をしないとね。カードマスターは、正式名称、公正取引委員会直轄の、審議官なの。公正取引委員会とは企業が談合やカルテル、不当独占など、違法な取引や、
活動を、を行っていないか、チェックする、機関。企業の、裁定者。」
「2030年代に入って、企業連合体が肥大化して、国家は、公正取引委員会を、省庁横断の組織に、変えたわ。」
「私たちは文部科学分野で、カジノ・賭博を司るから、カードマスターと、呼ばれているの。私たちと同じ審議官が、12分野に配置されているわ。総務。法務。外務。財務。文部科学。厚生労働。農林水産。経済産業。国土交通。環境。防衛。国家公安委員会。」

「この仕事では、時に、査察対象と、心理戦になる事もある。貴方の、カードの才能は、とても役立つと思うの。」
ウェヌスタの話を聞いていると、外は、暗くなってきた。energy control®︎エネルギーコントロールが、照明を自動で強くする。energy control®︎エネルギーコントロールは、2030年代に、始まった、電力使用料を、設定すると、上限に合わせて、冷暖房や、照明の明るさが、自動作動する、リモート電力サービスだ。
マレは、快諾した。

仕事に興味があった以上に、ウェヌスタと同じカジノ・賭博分野審議官カードマスターに成れることが、嬉しかった。
ウェヌスタの話によると、審議官になるには、審議官3人の推薦と、審議員審判という、評議会での裁決が、必要との事だった。
ウェヌスタは、同僚の、パッシオと、クレーメンスという、審議官の、推薦を、取り付けてくれていた。既に、カードマスター3人の推薦がある以上、1番の山場は、全会一致が求められる、審議員審判だ。
マレは、仕事の空き時間や、移動中の電車の中で、spot study®︎スポットスタディースポットスタディーをして会計、税務、法務、ITを学んでいた。spot study®︎スポットスタディーは、2020年代に、始まった、電車や、生活の、空き時間で、知識を補填してくれる、スポットタイム学習アプリだ。
審議員審判の日が、来た。
2030年代に、開通した、海中トレインaqua train®︎アクアトレインを抜けた、海洋都市、臨海副都心オーケアヌスに審議官議院は、ある。
マレは、潮風の匂いを感じながら、海洋遊歩道を歩き、ビルに入った。
時間になり、審議員審判が、始まった。
「マレ・インスラ・ウェルテックス。推薦人の、ウェヌスタ・レケンス・スプレンディドゥス。審議員審判を、始める。」
審判長が、開廷を告げる。審判員は、3名で、内2人は、2030年代に、登場した、holographic display®︎ホログラフィックディスプレイの遠隔審判だ。
ウェヌスタは、傍聴席で、マレの事を、見守っている。

審判所は、裁判所のような、物々しい雰囲気が、流れている。審議官の任命、罷免以外にも、審議官と企業連合体の係争も、この審判所で、決定されているのだ。
「先ず、審判のルールを、告げる。」

「此れから、審判員が、質問を始める。Yesイエスの場合はYesイエスを、黙秘の場合はSilent黙秘のタッチパネルを、押すこと。」
「それ以外の場合は、Answer回答を押して、回答するように。」
「最終的に、審判員3名の評決で、審議官任命の可否を決める。」
「なお、嘘の回答には、ペナルティーを、課す。」
「何か、質問はあるかね?」
「ありません。」

「それでは、質問を始める。」
「君は、記憶をなくしていた。」
マレは、核心をつく質問に、動揺しながら、Yesイエス、のタッチパネルを押す。
「君は、記憶を取り戻しつつある。」
Yesイエス
「だが、今も、記憶をなくしたままだ。」

Silent黙秘。マレは、黙秘をした。質問の、意図が、分からない。私に、プレッシャーを、与えようと、して居るのだろうか。
「君に、審議官が、務まるだろうか?」
「務まると、思います。」
即答したマレの、意表を付くように、審判長は詰問した。
「自分の記憶も、ないのに?何故?」
マレは、動揺した。またしても、質問の意図が分からなかった以上に、自分の核心を、突かれた気がした。この人は、私に記憶が無いことを、追求して居る。
マレは、唇を、噛み締めた。
「私を...試している!!」
動揺する心を抑えながら、マレは、この審判のルールを、整理していた。一見、理不尽に見える、この尋問に、規則性がある事に、気付いた
「これは...ポーカーだ。」
ポーカーは、コール(相手の賭けに、乗る)、チェック(相手の賭けに、乗らず、様子を見る)、レイズ(相手の賭けに、乗り、更に、賭け金を、釣り上げる)の3種類の、行動選択肢が、ある。逃げるというドロップ(ゲームを、降りる)は、この審判では、論外だ。
Yesイエスの場合は、ゲームを進める、コールに、該当し、Silent黙秘の場合は、様子を見るという、チェックと同じだ。

そして、相手の、質問に答える、Answer回答は、賭け金(審議官として務まるかどうかの期待)を上積みする、レイズだ。
この審判はYesイエス=コールだけを言っても賭け金(審判員からの期待)が上がらず、審議官としての、相応しさを、示せず、意味がないし、Silent黙秘=チェックだけをしていても、ゲームに、乗れず、審議官に、相応しい事を、示せず、意味がない。
Yesイエス=コールだけを、言っていては、嘘をついていると見做されて、誠実さに欠けると判断される。
Silent黙秘=チェックだけでは、交渉力が無いと、見做されて、不適格と判断される
見られているのは、誠実さと、交渉力だ。
つまり、このポーカーではSilent黙秘=チェックを、回避しつつ、Answer回答=レイズを増やし、審議官に、相応しい、期待値を、上げ、自らの誠実さと、交渉力を、示していくしかない。質問から逃げず、しっかりと自分で考え、答え、自らの、強い意志を、示す事が、重要なのだ。
「審判を、辞めるかね?」
此処で、降りたら、全てが、終わる。ドロップ=逃げは、ない。
マレは、歯を、食いしばる。
「...辞めません!!」
「君は、動揺している。」
「いいえ。動揺していません。」
「早く、審判を終わらせたいと、考えている。」

「思っていません。楽しんで、います。」
マレは、ブラフはったりを、使った。
「君は、ずっと、バーで働いてきた。一般的な、職種とは、少し、異なる。」
「バーでの、経験を、誇りに、思っています。」
「君は、ビジネスの、実務経験がない。バーでの、経験だけでは、様々なビジネスには、対応出来ない。」
また、本質を付く、問いだ。だが、此処で、引いてはならないと、マレの、直感が、言っていた。
「働きながら、少しずつ、学んでいきます。」
「君に、ビジネスの事は分からない。何も、知らない、少女だ。」
マレは、毅然と、返す。

「バーで働いていました。お客様の、多くは、様々な、ビジネスパーソンです。少しは、ビジネスへの理解も、習得しました。」
審判長が、微笑む。

「宜しい。小休憩と、しよう。15分後に、審判を、再開する。」
小休憩の間、休憩室で、ウェヌスタが、声を掛けてきた。
「動揺しているんじゃない?何か、嫌なことでも、思い出した?」

マレは、苦渋を、吐き出した。
「あの人たち、私に、記憶が、ない事を、熟知して居る...私を、試しているんです!!」
ウェヌスタが、冷静に、返す。

「貴方が、相応しいか、見ているのよ。人は、過去には、戻れない。変えられるのは、自分と、未来だけよ。過去ばかり、見ていては、駄目。前だけ、見ていなさい。記憶が、無くても、臆さないで。自分に、自信を持って。彼等も、その姿を、期待しているわ。」
小休憩が終わり、審判が、再開する。
審判員が、holographic display®︎ホログラフィックディスプレイから、問い掛ける
「君は、未だ、少女だ。」
Yesイエス
「君に、審議官は、早すぎる。」
「若くても、出来る事が、あると思います。」
「君は、両親と、離れて、暮らしていた。」
マレは、また動揺する。深呼吸をして、タッチパネルを押す。心臓の、鼓動が、体に、脈打つ。
Yesイエス
「君は、自立心が、強くなった。」

Yesイエス
マレは、見透かされている、と思った。
「では、最後の質問に、入る。君は、孤独だ。」
「孤独だとは、思いません。」
審判長が、畳み掛ける。
「君は、1人ぼっちだ。」
沈黙が、流れる。
審判長は、静かに、此方を見つめている。
マレは、審判長を真っ直ぐ見つめ返して、答える。此処が此のポーカー最大の山場だ。マレは、オールイン(全ての賭け金を賭ける)、する。逃げては、ならない。
「私は、逃げない。」
マレは、小さい頃より、気が強い、女の子だった。男子と、喧嘩して、小傷を、作る事も、しばしば、あった。14歳の時、記憶喪失になり、両親と、離れ離れで、暮らす事になるが、身の回りの事を、始め、基本的に、全部、自分で、やって来た。その事に、プライドを、持って居る、マレが、自負と、共に、大切にして居る、信念が、逃げない事である。どんな、逆境でも、屈しない。審議員審判を通じ、改めて、自らの、独立自尊の、原点に、向かい合い、成長を遂げた、マレだからこそ、紡ぎ出せる、強い決意だ。

「1人ですが、1人ぼっちでは、ありません。」
審判長が、微笑する。

「よろしい。審議に、入る。」
審議の時間が、流れる。
「審議の結果...マレ・インスラ・ウェルテックスを、反対1票の、裁決で、審議官には、任命出来ない。」
マレは、ギャンブルに、負けた。
その時、審議院に、拳銃を持った、暴漢が、入って来る。
「審議員共め、皆殺しにしてやる!!」
マレは、ウェヌスタに、スマート弾拳銃、smart handgun®︎スマートハンドガンをくれと、ハンドサインを、する。
ウェヌスタが、マレに、smart handgun®︎スマートハンドガンを投げ、マレが、両手で、受け止める。
射撃術の基本は、目と手の連動、グリップ、姿勢、トリガーコントロールだ。マレは、銃のフロントサイトに、ピントを合わせ、サイティングする。強すぎるくらい、グリップし、震えが止まった所で、抑え、指に、隙間を、作らず、ギュッと、握る。右手は、前方に、突き出し、左手で、引きつける様に、シューティングスタイルを取る。
マレは、トリガーを、真後ろへ、しっかり引く。
スマート弾が、暴漢の、腰を、貫通し、男が、倒れる。職員たちが、取り押さえる。
マレは、審判長に、問い掛ける。

「これでも、不適格ですか?」
審判長が、驚く。
「驚いた。再審議する時間が、欲しい。」
再び、審議が、行われる。
「再審議の結果...マレ・インスラ・ウェルテックスを、全員一致の評決で、審議官に、任命する。若くても、君の、胆力に、脱帽した。」
審判が終わり、マレは、カジノ・賭博分野審議官カードマスターになった。
マレは、ウェヌスタと別れ、1人、海洋都市オーケアヌスの海辺を、歩いていた。
ウェヌスタは、別れ際に、審議官の就任祝いとして、猫をくれた。
体の、上半分が黒く、下半分が白い、2色模様の、猫だった。
観光都市でもある、オーケアヌスの、海辺は、1人の、マレとは、対照的に華やかで、smart light®︎スマートライトが、遊歩道を照らしていた。smart light®︎スマートライトは、2030年代に、登場した、ソーラーパネルを持つ、街路灯だ。
オーケアヌスの海は、2030年代に、始まったocean projection®︎オーシャンプロジェクションのプロジェクションマッピングで、7色に、輝いていた。
マレは1人、夜景に、腰を下ろし、呟いた。

「綺麗だね。」

寄せては返す波を、ただ、静かに、1人、眺めていた。
「はじめまして。お嬢さん。」
猫が、喋った。
マレは驚いたが、よく見ると、猫の首に、smart necklace®︎スマートネックレスが付いていた。smart necklace®︎スマートネックレスは、2030年代に、登場した、超小型のAI内蔵、スマートスピーカーだ。この、スマートスピーカーの、人語猫語自動翻訳ソフトウェアの、おかげで、猫が、人語を、話しているかの様に、会話できるのだ。
猫は、快活に、喋り出した。
「俺は、審議官サポートが役目だ。此れからは、君を、補佐するよ。」
マレが、素朴な、疑問を、口にする。
「貴方に、名前はないの?」
「名前?そんな物は、ないな。」
「じゃあ、名前をつけてあげる。オーケアヌス。この街の名前。ラテン語で、海洋、という意味。」
「有難う。お嬢さん。君は、ずっと、1人で、頑張ってきた。これからは、俺も、いる。もう、1人じゃないよ。」
マレは、オーケアヌスと共に、海を、眺めていた。smart light®︎スマートライトに照らされた少女と猫の影が、海辺に、長く、伸びていた。

1ヶ月後──カジノ・賭博分野審議官カードマスターとなったマレは、オーケアヌスと、共に、審議官として、働いていた。マレたちの暮らす、島国ソルは、南北に長い、列島だ。首都は、東に、ある。首都からは、蜘蛛の巣状に、高速道路が、伸びている。此の国の、大動脈だ。首都から、近郊へ続く、首都大道路ウィアを、1台のsmart car®︎スマートカーが、走り抜ける。smart carスマートカー®︎は、2030年代に、登場した、フロントガラスに、ナビや、経路を、自動表示してくれるARカーだ。
smart car®︎スマートカーの中で、マレは、国内最大の、公営カジノpublic casino®︎パブリックカジノとの、資金環流に関する内部告発を受けた、国内最大手自動車企業、carカー社について、調べていた。今回は、内部告発資料を、受け取りに、内部告発者との、待ち合わせ場所まで向かっている。マレが、感心する
「金融サービスまで、しているのね。」
マレの相棒、AI内蔵スマートスピーカーsmart necklace®︎スマートネックレスで、喋る猫、オーケアヌスが、説明する。
carカー社はcar investment®︎カーインベストメントや、car bank®︎カーバンクも手掛ける国内No.1の、自動車企業だ。」
car investment®︎カーインベストメントは、2020年代に、生まれた、不動産のように、車を売買し、賃料のように、使用料収入を得る、P2Pの、カーインベストメントサービスだ。
car bank®︎カーバンクは、2020年代に、開始した、自動車を、担保に、銀行借入れ、個人間融資が出来る、P2Pの、金融サービスだ。
マレたちの、乗る、smart car®︎スマートカーの、navigation®︎ナビゲーションが、報告をする。navigation®︎ナビゲーションは、2020年代に、始まった、運転状況や、渋滞を、音声で知らせてくれる、Siriのようなアプリだ。
「まもなく、高速移動路フルフィウスに、到着します。」
マレたちは、最新高速道路、高速移動路フルフィウスに、入る。
遥か、後方から、一つの黒点が、近づいて来る。爆速で、高速移動路を、駆け抜ける、車だった。茶髪翠玉色の眼の謎の美女が、運転して居る。
クォーターウィンドウを半開きにし、謎の美女が、マレたちに、話し掛ける

「カーチェイスを、しましょう。」
マレたちの、車の、横に、着いた所で、突然、マレたちの車に、横から、体当たりした。
マレが、悲鳴を、出す
「きゃっ!!何なの!?」
オーケアヌスが、声を上げる。
「激突されているぞ!!」
「普通じゃ、ないわね。」
マレは、調べ物をしていた、car space®︎カースペースのサイドテーブルを、閉じる。car space®︎カースペースは、2030年代に、始まった、サイドテーブルや、PCディスプレイなど、車内空間を、自由に、構築出来るサービスだ。
謎の美女の車は、再び、サイドより、マレたちの車に、ぶつかって来ていた。波状攻撃だ。彼女の車は、一見、普通のスポーツカーなのに、見た目にそぐわない、馬力をして居る。
マレが、分析する。
「この車、expansion parts®︎エクスペンションパーツremake®︎リメイクを使っている...!!普通の馬力じゃない!!」
expansion parts®︎エクスペンションパーツは、2025年頃、登場した、PCのように、顧客が、自分で、拡張・メンテナンスが出来る、自動車部品だ。

remake®︎リメイクは、2020年代に、リリースされた、中古車を、自分好みに塗装、整備して、リユース出来る、中古車リユースアプリだ。
マレは、自動運転モードを終了して、手動運転に、切り替える。
喋るカーパーツ、notice tool®︎ノーティスツールが、通知をしてくる。notice tool®︎ノーティスツールは、2025年頃、始まった、消耗や、使用状況を、スマートフォンに、知らせてくれる、スマートカーパーツだ。
「エンジン出力が、80%を超えます。」
マレが、身構える
「また、激突してくる...!!」
マレは、急ブレーキを、踏んだ。謎の美女の車は、空振りをして、大きくスリップする。
「遊びは、終わりね」と言うと、弧を描き、謎の美女の車は、反対車線へ、行ってしまった。
オーケアヌスは、安堵の溜息を、出した。
「なんだったんだろうな...?」
「オーケアヌス、まだ、終わっていないわ!!」
後方から2台、横から2台、車が迫り、マレたちの車は、包囲された。高速移動路フルフィウスにて、危険なカーチェイスが幕を上げる──

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