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[10分連載小説]CARD MASTER -プランA:同時多発企業買収-

あらすじ

2040年──臨海副都心、オーケアヌスの、審議院に、公正取引委員会の、カジノ・賭博分野審議官カードマスターが、集結する。
ベルルム最大の投資銀行、imperial investment社が、経済都市 都心中央部ペクーニアエ・コンメリクムの主要業界最大手13社に、株式公開買付を、仕掛ける。
カジノ・賭博分野審議官カードマスター、ウェヌスタ、パッシオ、クレーメンスは、買収阻止に動くが...

カバー写真

左から、カジノ・賭博分野審議官カードマスター、ウェヌスタ
カジノ・賭博審分野議官カードマスター、パッシオ
カジノ・賭博分野審議官カードマスター、ヒエムス
カジノ・賭博分野審議官カードマスター、クレーメンス
カジノ・賭博分野審議官カードマスター、ウィース

CARD MASTER -プランA:同時多発企業買収-

2040年──40代の、女性の、カジノ・賭博分野審議官カードマスター、ウェヌスタが、自宅の全自動住居、smart home®︎スマートホームで、動画を見ている。ウェヌスタが、アーティストに、話しかける。
「この間の、ライブ、最高だったわ。今夜のステージも、頑張ってね。」
ナチュラルストレートの長髪が、麗しい、ウェヌスタは、festival®︎フェスティバルで、友人のアーティストと、交流していた。festival®︎フェスティバルは、2020年代に、登場した、アーティストと、チャットも楽しめる、オンラインライブ体験アプリだ。
その頃、50代の、短髪の、ダンディーな、カジノ・賭博分野審議官カードマスター、パッシオは、全自動マンション、smart residence®︎スマートレジデンスの、mirror®︎ミラーで、トレーニングをしていた。mirror®︎ミラーは、2020年代に、始まった、鏡内の映像で、インストラクターが指示し、自宅でエクササイズが出来る、スマートミラーだ。パッシオが、呟く。
「歳は、取りたくないものだな。」
同時刻、80代の、カジノ・賭博分野審議官、クレーメンスは、全自動2世帯住宅、smart house®︎スマートハウスで、house cafe®︎ハウスカフェで、孫たちに、スイーツを作っていた。house cafe®︎ハウスカフェは、2020年代に、生まれた、手軽に自作出来る、自宅の食材で作れる、カフェレシピアプリだ。クレーメンスは、孫たちに、声をかける。
「お前たち、もう直ぐだよ。」
静かな、休日の、彼等に、審議官内部メッセージツール、secret message®︎シークレットメッセージで、量子暗号通信が届く。
カジノ・賭博分野審議官カードマスター、各位、至急、審議院に、登庁、願います。」
観光都市ルードゥス風の、VR空間で、殿下、と呼ばれる男が、メンバーを見つめている。meeting®︎ミーティングで、話をする。
「殿下、どのような、御采配で?」
ある男が、殿下、と呼ばれる男に、質問する。殿下、と呼ばれる男が、口を開く。

カードの紳士カードジャック、ドラコーと、グラキエースの首脳と、連絡を取れ。ソルの経済を、更地にする。2度と、立ち上がらせない。ベルルムと、ドラコーと、グラキエースの、超大国3ヶ国、共同作戦だ。同時多発企業買収を、仕掛ける。ソルの、主要企業を、根こそぎ、買収する。」
「プランAだ。」
1時間後──臨海副都心、オーケアヌスの、審議官議院で、審判長が、陳謝する。
「ウェヌスタ審議官。パッシオ審議官。クレーメンス審議官。良く、集まってくれた。休日に、済まない。」
ウェヌスタが、問いかける。
「一人、いませんが。」
パッシオが、愚痴を、こぼす。
「あの小僧、寝坊か。」
クレーメンスが、問う。
「直に、来るだろう。要件とは?」
審判長が、回答する。
「ベルルム最大の投資銀行imperial investmentインペリアルインベストメント社が、これから、ソル市場に関して、会見を開く。君たちの意見を、求めたい。」

ウェヌスタが、質問する。
「経済案件は、経済産業分野担当審議官トレードマスターの、管轄では?」
審判長が返す。
「例の組織、通称、『絵柄スート』、関連の可能性が、ある。『絵柄スート』の組織が、裏にいる場合、君たちの、案件だ。」
定刻に、imperial investmentインペリアルインベストメント社の会見が、始まる。holographic display®︎ホログラフィックディスプレイの、映像を、見守る。
「私は、ベルルムの、投資銀行、imperial investmentインペリアルインベストメント社、マネージングディレクターの、クピドゥスです。この会見は、global translation®︎グローバルトランスレーションで、ソル語、同時通訳しています。今夜、お話しするのは、未来の、ソル経済についてです。結論から、言います。imperial investmentインペリアルインベストメント社は、経済都市、都心中央部、ペクーニアエ・コンメリクムのtechnologyテクノロジー社(IT)、communicationコミュニーケーション社(通信)、steelスチール社(鉄鋼) 、constructionコンストラクション社(建設)、electronicsエレクトロニクス社(家電)、bankバンク社(金融)、insuranceインシュアランス社(保険)、retailリテール社(小売)、developerデベロッパー社(不動産)、wholesaleホールセール社(卸売)、tradingトレーディング社(商社)、serviceサービス社(サービス)、medicineメディスン社(製薬) 、13社を、株式公開買付、します。」
パッシオが、「何だと!?」と、声を出す。
ウェヌスタが、口を挟む。
「こんな事、ソル人に、受け入れられる筈がないわ。」
imperial investmentインペリアルインベストメント社、マネージングディレクター、クピドゥスは、続ける。
「これは、ソルの人々を、独占と、企業支配から、解放するためです。皆さん、考えてみて下さい。2030年代、ソルは、企業主義・協奏主義・規範主義・発表主義・未来経営計画・カンパニーガバメントネイションで、新経済を、目指しました。しかし、実態は、企業連合体が、肥大化しただけです。我々は、此れ等の企業を、買収後会社分割・事業譲渡し、ソルの人々へ、真の自由、民主主義、法の支配を、提供します。」
パッシオが、また、声を出す。

「バラバラにして、外資に売る、って事だろうが。」
「買付期間は、1ヶ月、買付価格は、市場価格の200%です。以上です。」
会見が、終わる。
ウェヌスタが、戸惑い、口を、開く。
「こんな、無茶苦茶な話、通用すると...?」
クレーメンスが、指摘する。
「問題は、金だ。買付価格市価200%、投資家の売りが、殺到する。資本主義の、欲望を、良く、理解している。」
審判長が、質問する。
「買収総額は、幾らだ?」
「200兆モネータ。ソルの国家予算の、2倍です。」
審判長が、カジノ・賭博分野審議官たちに、問いかける。
「どうする?」

ウェヌスタが、宣言する。
「経済都市、都心中央部、ペクーニアエ・コンメリクムの、政府銀行、government bankガバメントバンク社に行き、敵対的買収を、阻止します。」
クレーメンスが、言い放つ。
「無理だな。金が、無い。」
ウェヌスタが、反論する。
「座して、死ねと!?」
ウェヌスタの、スマートウェアラブル、smart necklace®︎スマートネックレスに、secret message®︎シークレットメッセージで、量子暗号通信が届く。ウェヌスタが、呟く。
「ボイスメッセージだわ。」
審判長が、問う。
「誰から?」
ウェヌスタが、回答する。
「元カジノ・賭博分野審議官カードマスターの、ヒエムスです。」

ウェヌスタが、ボイスメッセージを、再生する。
「本件、ベルルムと、ドラコーと、グラキエース、共同の、可能性が有る。超大国3ヶ国の、共同作戦だ。ヒエムスより。」
パッシオが、驚く。
「超大国、全て、グルだと...!?」
職員が、審判長に、連絡に来る。
「本庁の前で、銃を乱射している者たちが、います。」
ウェヌスタが、憤る。
「こんな時に...!!」
パッシオが、審判長に、返答する。
「審判長、直ぐに、対応します。」
人工合成樹、hybrid tree®︎ハイブリットツリーが、並ぶ、道を、run®︎ランで、走っている男が、いる。run®︎ランは、2020年代に開始した自分の好きな道を走る事が出来るバーチャルマラソンアプリだ。
20代の、熱血漢の、カジノ・賭博分野審議官カードマスター、ウィースだ。ウィースが、通知に気付き、口を、開く。

「あれ!?通知が、来てんな。」
pen phone®︎ペンフォンで、secret message®︎シークレットメッセージの、量子暗号通信を、再生する。
「カードマスター各位、至急、審議院に、登庁、願います。」
「えぇ!?ヤベェな。」
ウィースは、distance®︎ディスタンスで、経路を、確認する。distance®︎ディスタンスは、2020年代に始まった公園から公共交通機関の車内まであらゆる場所の混雑状況をチェックする事が出来るアプリだ。
「海中トレイン、aqua train®︎アクアトレインで、行くか。帰って、着替えよう。」
ウィースは、再び、走り出す。
男2人が、審議院前広場で、スマート弾マシンガン、smart machine gun®︎スマートマシンガンを、乱射している。男が、大声で、笑いながら、話し出す。
「はっはっはー。こんにちわ、ソルの、皆さんー!!お元気ですかー!?」
もう一人の男が、声を、かける。
「プロか?静かに、しろ。」
大笑いしていた男が、返す。

「こういう時は、楽しむんだよ。」
審議院エントランスで、ウェヌスタたちを、職員が、止める。職員が、抑止する。
「今出ては、危険です!!」
パッシオが、返答する。
「弾切れまで、待つ。」
10分経過。男2人の弾が、切れた。
ウェヌスタ、パッシオ、クレーメンスが、審議員の、玄関から、出る。寡黙な方の、男が、告げる。
「遊びは、終わりだ。」
ウェヌスタが、問う。
「グラキエースの、"格闘家"プーグナと、"暗殺者"シーカーリウスね。」
プーグナが、即答する。
「話が、早い。」

プーグナは、smart glove®︎スマートグローブを、装着する。接触で硬質化する、カーボンナノチューブのグローブだ。シーカーリウスは、smart knife®︎スマートナイフを、取り出す。刃が超微細動し、防刃ベストを貫通するナイフだ。『絵柄スート』の組織の、構成員である、プーグナと、シーカーリウスは、長い事、ツーマンセルを、務める、旧知の中だ。プーグナも、シーカーリウスも、北の、超大国、グラキエース出身である。プーグナは、世界統一格闘技の、チャンピオンであり、4つの、タイトルを、保持する。シーカーリウスは、その世界では、有名な、暗殺の、天才で、闇に紛れ、人を殺める事から、闇夜のシーカーリウスの、異名を、持つ。シーカーリウスの、目は、角膜移植で、暗闇でも、昼間と変わらず、目視出来る様に、改造されて居るのだ。プーグナが、宣言する。
「お前たちを、此処から、出さない。」
シーカーリウスが、口を、滑らす。
「審議院は、爆発するんだよ。」
プーグナが、不満気味に、返す。
「お前は、口が、軽すぎる。」
ウェヌスタが、審判長に、連絡を取る。
「テロリストが、審議院を、爆破すると、言っています。至急地下に、全員退避を。」
審判長、審議官、職員たちが、避難を、始める。
クレーメンスが、閃光手榴弾スタングレネードを、投げる。閃光と、爆音が、周囲を、包む。プーグナと、シーカーリウスは、伏せて、回避する。プーグナが、冷や汗を、かきながら、呟く。
「危ない爺さんだ。」
クレーメンスが、スマート手榴弾、smart grenade®︎スマートグレネードを、投げる。

シーカーリウスが、笑いながら、答える。
「手榴弾の、被害範囲は、50mメートル。自分も、死ぬぞ。イカれているな。好きだぜ。」
プーグナが、反応する。
「舐めるなよ。次は、本物か?投げ返してやる。」
プーグナの、手前で、smart grenade®︎スマートグレネードが、爆発する。プーグナが、爆散する。爆発範囲は、20mに留まる。
シーカーリウスが、驚嘆する。
「カウントしていたのか!?」
smart grenade®︎スマートグレネードは威力、起爆時間を、調整出来る手榴弾だ。クレーメンスは、威力を20mに、起爆時間を10秒にセットし、投げる前に、爆発までの、時間を、カウントし、ジャストタイミングで、投げていた。クレーメンスが、落ち着き払い、告げる。
「まず、1人。」
シーカーリウスが、ウェヌスタと、クレーメンスを見つめ、呟く。パッシオの姿が、見えない。
「1人、居ない。」
パッシオが、背後から、ナイフで、シーカーリウスの、大腿部を、刺す。パッシオが、ウェヌスタに、声をかける。

「ウェヌスタ、救急車を、手配しろ。治療して、吐かせる。」
ウェヌスタが、OKの、ハンドサインで、救急車を呼ぶ。パッシオが、問い掛ける。
「爆破とは何だ?お前も、相方と、同じに成るか?」
シーカーリウスが、苦々しく、回答する。
「列車だ。」
パッシオが、問う。
「どの便だ?」
シーカーリウスが、返す。
「知らん。」
ウェヌスタが、再び、審判長に、連絡する。
「地下は、駄目です。aqua train®︎アクアトレインに、爆発物が、仕掛けられている、可能性が、有ります。至急、全員、屋外退避を。」
審判長、審議官、職員たちが、屋外避難を、始める。

パッシオが、ウィースに、pen phone®︎ペンフォンで、secret message®︎シークレットメッセージの、量子暗号通信で、連絡する。
「今、何処だ!?」
ウィースが、謝る。
「パッシオのおっさん、遅れて、ごめん。もう直ぐ、着く。」
パッシオが、返答する。
「そんな事は、どうでも良い。何処に、いる!?」
ウィースが、返す。
aqua train®︎アクアトレインに、乗ってる。」
クレーメンスが、冷静に、指摘する。
「発見リスクを、考えれば、爆発物は、各停に仕掛けられている可能性は、低い。」
パッシオが、確認する。
「快速か?」

ウィースが、答える。
「マリーン快速だ。後、二駅で、着く。」
パッシオが、指示する。
「お前の、列車に、爆発物が、仕掛けられている、可能性がある。次の、臨海公園駅で、乗客を、全員、降ろせ。」
ウェヌスタが、審議院駅に、連絡する。
「此方審議官の、ウェヌスタ・レケンス・スプレンディドゥス。駅に、爆発物が到着する可能性が、有る。至急、構内全員の、屋外退避を。」
審議院駅に、アナウンスが、流れる。
「此方、aqua train®︎アクアトレイン審議院駅管理室、テロリズム予告の為、構内のお客様、職員は、至急、屋外に、退避を、お願いします。」
ウィースが、呟く。
「先頭車両、からか。」
ウィースは、先頭車両に、走る。各車両に、アナウンスを、する。
「審議官の、ウィース・フォルティドゥドー・スペルビアだ。この列車に、爆発物が、仕掛けられた、可能性が、有る。乗客の皆さんは、次の、臨海公園駅で、下車して下さい。乗車の場合、命の保証は、出来無い。」

aqua train®︎が、臨海公園駅に、着く。乗客が、退避する。パッシオが、問い掛ける。
「状況は?」
ウィースが、説明する。
「乗客は、全員、降ろした。無人運転で、俺以外、誰も、居ない。どの車両の、床・棚も、爆発物らしき物は、ない。」
パッシオが、やや焦り気味に、声を出す。
「お前も、もう、避難しろ。」
ウィースが、「大丈夫だ」と、いう風に、回答する。
「最悪、飛び降りる。もう少し、探す。」
ウィースは、屋根の点検用ハッチに、気付いた。
「まさか...」
ハッチを開け、屋根から、顔を出した。強風が、吹き荒れる。ウィースは、呟いた。
「何だ、これは...!?」

各車両の上に、無数の、巨大な、蜘蛛型の昆虫模倣ドローン、smart bug®︎スマートバグが、張り付いていた。ウィースは、思った。1車両、50匹、10車両、500匹は、いるぞ...ウィースが、答える。
「パッシオのおっさん、屋根の上に、無数の、昆虫模倣ドローンが、いる。各個体が、背中に、爆弾の様なものを、装着されている...!!」
パッシオが、返す。
「分かった。早く、降りろ!!」
審議院が、爆発する。
土台が、崩れた、ビルが、爆破解体工事の様に、内側から、倒壊する。爆風と、土煙が、辺りを、包む。
パッシオが、叫ぶ。
「ウィースー!!」
空から、輸送機が、垂直降下してくる。爆音と、暴風が、巻き起こる。ウェヌスタが、分析し、呟く。
「ベルルムの──輸送機...!?」
輸送機の、格納扉から、巨大な、ゴリラ型の、動物模倣兵器、smart animal®︎スマートアニマルが、現れる。人が、搭乗している。両肩の、スピーカーから、声が流れる。
「わしは、♠︎8、ベルルム戦争省軍事研究所所長の、インウェンティオーだ。」

ベルルム戦争省軍事研究所所長の、インウェンティオーの、もう一つの顔は『絵柄スート』の組織の、構成員、スートナンバー♠︎8だった。インウェンティオーは、ベルルムの、砂漠戦争でも、ドローンを始め、数多くの、戦争兵器を、開発しており、軍需産業との繋がりが、深い。ベルルムは、数年毎に、財政破綻のリスクを、負っており、戦争により、財政赤字を補填する、戦争経済と、なって居る。ベルルムにとっての戦争は、外交手段の他に、ビジネスとしての、意味合いを、持つ。クレーメンスが、言葉を、添える。
「数々の、戦争で、ベルルムの、新型兵器を、開発して来た、"発明家"インウェンティオーか。」
インウェンティオーが、続ける。
「わしの、smart bug®︎スマートバグは、見事な、爆発じゃろう。これから、わしが、搭乗している、ゴリラ型の、動物模倣兵器、 smart animal®︎スマートアニマルで、貴様等を...」
話が、終わる、前に、クレーメンスが、smart grenade®︎スマートグレネードを、投げる。smart animal®︎スマートアニマルが、跳躍し、隣の、高層ビルの、側面に、張り付く。インウェンティオーが、怒り気味に、説法する。
「人の話は、最後迄ら聞く物じゃな。」
再び、跳躍し、ウェヌスタ、パッシオ、クレーメンスの前に、立つ。背後から、1人の、男が、smart animal®︎スマートアニマルに、しがみ付く。パッシオが、大声を、出す。
「ウィース!!」
インウェンティオーが、戸惑いの、声を、あげる。
「何だ、この虫は...?我が、最高傑作に、纏わりつく、蝿が!!」
ウィースは、未だ、しがみ付く。smart animal®︎スマートアニマルが、ウィースを、掴み、投げ飛ばす。インウェンティオーが、宣告する。
「これから、貴様等を、殲滅する。」

「俺も、かな?」
ウェヌスタの、横から、1人の、男が現れる。ウェヌスタが、驚き、声を出す。
「ヒエムス!!」
インウェンティオーが、返す。
「ヒエムス・インスラ・ウェルテックス、貴様も、長く、我が、組織が、目を付けて来た。殲滅対象だ。」
ヒエムスは、無視して、クレーメンスに、話し掛ける。
「クレーメンス爺さん、通常の、手榴弾は、有るか?」
クレーメンスは、1つと、ハンドサインで、返す。ヒエムスが、依頼する。
「俺が、合図したら、投げてくれ。」
smart animal®︎スマートアニマルが、両腕から、スマート誘導ミサイルを、放つ。ヒエムスが、光を、放つ。
《電磁パルス》
ヒエムスは、ナノマシンを、注射していた。この時代、一部の、人間は、ナノマシン注射で、固有の、特殊能力を、発揮できる。ヒエムスの、特殊能力は、波動。電磁パルスを、体から、放ち、あらゆる電子機器を、制御不能に、する。スマート弾ならば、落下し、スマートミサイルならば、不発落下する。ナノマシンとは、0.1-100nmナノメートルの極小の、機械装置だ。インウェンティオーの、smart animal®︎スマートアニマルが、両腕から、放った、スマート誘導ミサイルが、不発で、落下する。smart animal®︎スマートアニマルが、ショートし、膝を付く。インウェンティオーが、苦虫を、踏み潰した顔で、唸る。

「ナノマシンか。電磁パルスとは、小癪な‼︎手榴弾など、効くか!!」
ヒエムスが、呆れて、告げる。
「機体を、良く見ろ。」
ウィースが、しがみ付いた時、smart animal®︎スマートアニマルの、間接に、起爆装置付きC4を、練り込んでいた。C4とは、プラスチック爆弾の、一種で、粘土上で、色々な、形に、成形できる。ウィースは、起爆粘土を、smart animal®︎スマートアニマルの複数の関節に、練り込んでいたのだ。C4爆弾は、手榴弾で、誘発して、連鎖爆発する代物だ。ウィースが、「あばよ」と、告げる。
「審議院の、お返しだ。」
ヒエムスが、クレーメンスに、今だ、とハンドサインを、出す。クレーメンスが、手榴弾を、投げる。インウェンティオーが、叫ぶ。
「帝国に...栄光、あれ!!」
smart animal®︎スマートアニマルが、爆発する。パッシオが、答える。
「手続きが、大変だ。審議院が、吹き飛んじまった。」
ヒエムスが、「重要な事がある」と、皆を、集める。
「皆、此れを、見てくれ。」
ヒエムスは、paper phone®︎ペーパーフォンを、広げ、動画を、見せる。ドラコー最大の投資銀行、dragon investmentドラゴンインベンストメント社の、ソル市場に関する、会見だった。

「私は、ドラコーの、投資銀行、dragon investmentドラゴンインベンストメント社、チェアマンの、ドローススです。この会見は、global translation®︎グローバルトランスレーションで、ソル語、同時通訳しています。今日、お話しするのは、未来の、ソル経済についてです。結論から、言います。dragon investmentドラゴンインベンストメント社は、工業都市、アルテス・クアイストゥオーサイのcarカー社(自動車)、electricエレクトロニック社(電力)、energyエネルギー社(エネルギー)、machineマシン社 (機械)、chemicalケミカル社 (化学)、foodフード社(食品)、supermarketスーパーマーケット社(スーパー)、trainトレイン社(鉄道)、materialマテリアル社(非鉄金属)、transportトランスポート社(運送)、car partsカーパーツ社(自動車部品)、11社を、株式公開買付、します。」
パッシオが、驚く。
「ドラコーも!?」
dragon investmentドラゴンインベンストメント社、チェアマン、ドローススは、続ける。
「これは、ソルの人々を、独占と、企業支配から、解放するためです。皆さん、考えてみて下さい。2030年代、ソルは、企業主義・協奏主義・規範主義・発表主義・未来経営計画・カンパニーガバメントネイションで、新経済を、目指しました。しかし、実態は、企業連合体が、肥大化しただけです。我々は、此れ等の企業を、買収後、会社分割・事業譲渡し、ソルの人々へ、真の、人民による、共和政を、提供します。買付期間は1ヶ月、買付価格は、市場価格の、200%です。以上です。」
ウェヌスタが、ヒエムスに、声をかける。
「ヒエムス、貴方の、予想通り、ね。」
ウェヌスタが、続ける。
「私たちは、ペクーニアエ・コンメリクムの、government bankガバメントバンク社へ、行く。」
ヒエムスが、止める。
「いや。待ってくれ。」
「気になる事が、有る。imperial investmentインペリアルインベストメント社と、dragon investmentドラゴンインベンストメント社の、株取引決済の、スピードだ。」

ウェヌスタが、疑問を、投げかける。
「AIか、スーパーコンピューター?」
ヒエムスが、回答する。
「量子コンピューターだ。」
ウェヌスタが、質問する。
「ベルルムと、ドラコーの?」
ヒエムスが、答える。
「ソル市場を、熟知している。ソルの、だ。ウェヌスタと、クレーメンス爺さんは、ペクーニアエ・コンメリクムの、government bankガバメントバンク社へ、パッシオさんと、ウィースは、アルテス・クアイストゥオーサイの、王立科学研究所、量子テクノロジーラボに、行ってくれ。」
ウェヌスタが、問う。
「貴方は?」
ヒエムスが、返す。
「最悪の、場合を、想定する。ウェヌスタと、クレーメンス爺さんが、買収阻止に、失敗し、パッシオさんと、ウィースが、量子コンピューターを、止められ無かった、場合だ。」

港町、フォンスの、バー、ポルトゥスで、休暇が、3ヶ月目を迎える、公正取引委員会のカジノ・賭博分野審議官の、17歳の、少女、マレは、broadcastブロードキャスト社の、国営放送を、見つめて居た。マレが、驚いて、呟く。
「こんなに、多くの、企業が、買収されるなんて。大変だ。休んでいて、良いの?」
バー、ポルトゥスに、1人の、男が、来店する。
カードの女王、ヴァニタスは、VR空間で、imperial investmentインペリアルインベストメント社と、dragon investmentドラゴンインベンストメント社の、トレーディング部門・マーケット部門を擬似連結した、ハイブリッドマーケット部門に居た。ヴァニタスは、亡国カーススの、王女だったが、産まれて直ぐ、国が滅びてしまった。その為、西の、超大国、ベルルムに移住し、幼少期より、戦士として、育てられて来た。弱冠、30代半ばで、『絵柄スート』の組織の、No.2を、任されて居るのは、その戦闘能力・カードテクニックだけでは無く、亡国の王女としての、血筋を、買われての事だ。ヴァニタスに、連絡が、入る。
「カードマスターウェヌスタと、クレーメンスが、ソル政府銀行、government bankガバメントバンク社に、向かっている様です。」
ヴァニタスが、宣言する。
「全社員、迎撃準備を。ウェヌスタ、貴方には、借りが、あったわね。」
1時間後──ウェヌスタとクレーメンスが、government bankガバメントバンク社の、マーケット部門に、着く。ウェヌスタが、買収を受けた24社に、連絡する。
「買収防衛策の、準備を。」
ヴァニタスが、呟く。
「これは...総力戦よ。」
ウェヌスタが、electronicsエレクトロニクス社に、連絡する。

「マネジメント・バイアウトを。」
経営陣と、オーナー一族が、自社株式を、買い取って、非上場化(市場から脱退)し、経営権の、買収企業取得を、防ぐ、買収防衛策だ。公開会社(市場に上場している会社)は、株式取引を、自由に行える為、株式公開買付を、阻止する為に、株式を、非上場化し、株式取引を、不可能にし、買収企業に、自社株式が、流れないようにする。ヴァニタスが、imperial investmentインペリアルインベストメント社、トレーダーたちに、指示する。
electronicsエレクトロニクス社買付価格を、釣り上げて、阻止しろ。」
ウェヌスタが、carカー社に、連絡する。
「ゴーイング・プライベートを。」
上場を、廃止し(市場から脱退し)、株式非公開化で、株式取得困難にする、買収防衛策だ。非公開化し、譲渡制限付株式(売り買いに制限のある株式)へ、変更すると、更に、取得が、困難だが、既存株主は、株式譲渡(株の売り買い)が、難しくなり、資金調達が、行い難くなる。ヴァニタスが、dragon investmentドラゴンインベンストメント社、トレーダーたちに、指示する。
carカー社買付価格を、釣り上げろ。」
ウェヌスタが、serviceサービス社と、steelスチール社に、連絡する。
「絶対的多数条項を。」
株主総会議決要件(株主総会で何かを決定する要件)を、厳しくし、買収意欲を、削ぐ、買収防衛策だ。敵対的買収では、株式を、買い占め後、現経営陣を、退職させるが、取締役等解任には、株主総会の、賛成を、得なければならず、90%以上の賛成が、必要など、議決要件(株主総会で決定する要件)を、厳しくする。ヴァニタスが、法務部門に、連絡する。
imperial legalインペリアルリーガル法律事務所と、dragon legalドラゴンリーガル法律事務所に、連絡を取れ。」
imperial legalインペリアルリーガル法律事務所は、ベルルム最大の、グローバル法律事務所ネットワークだ。dragon legalドラゴンリーガル法律事務所は、ドラコー最大のグローバル法律事務所ネットワークだ。ヴァニタスが、2つの、法律事務所に、宣言する。

「企業買収法務は、一任する。叩き潰せ。」
ウェヌスタが、insuranceインシュアランス社と、transportトランスポート社に、連絡する。
「クラウン・ジュエルを。」
買収企業の、欲しがる資産・事業を、売却し、被買収企業(買収される企業)の、企業価値・魅力を、低下させ、買収意欲を削ぐ、買収防衛策だ。経営陣の、独断で、行えるが、企業価値が、大幅に、低下し、株主に、大きな影響を、与える。ヴァニタスが、imperial investmentインペリアルインベストメント社と、dragon investmentドラゴンインベンストメント社の各トレーダーたちに、指示する。
insuranceインシュアランス社と、transportトランスポート社買取スピードを、上げ、逃げさせるな。」
ウェヌスタが、electricエレクトロニック社に、連絡する。
「ゴールデンパラシュートを。」
被買収企業(買収される企業)の、役員退職金を、高くし、買収意欲を、低下させる、買収防衛策だ。敵対的買収(相手の会社を壊す様な目的の一方的な買収)では、被買収企業の、経営陣は、自社の、思いどおりに、なる者を、就任させるが、現経営陣の、退職金が、高く、設定されている場合、買収後に、多額の、費用が、掛かり、買収抑止力になる。ヴァニタスが、各社員に、指示する。
「無視、しろ。」
ウェヌスタが、machineマシン社と、communicationコミュニーケーション社に、連絡する。
「プットオプションを。」
一定事由(何らかの理由)発生で、株式買取・弁済請求(株式の売買と借金の返済)が、出来る、権利を、株主・債権者に、与える、買収防衛策だ。敵対的買収実行前に、株主に、全株式買取(株式の買取)、債権者に、一括弁済(借金の返済)請求権を、与えておき、敵対的買収後に、これら請求に、巨額の、資金が、掛かる。ヴァニタスが、法務部に、指示する。

imperial legalインペリアルリーガル法律事務所と、dragon legalドラゴンリーガル法律事務所と、連携を取り、対応しろ。」
ウェヌスタが、wholesaleホールセール社に、連絡する。
「第三者株式交換を。」
株式交換(株式を交換する)の、買収防衛策だ。被買収企業株式(買収される会社の株式)を、友好的企業に、渡し、敵対的買収を、阻止する。ヴァニタスが、ベルルム諜報機関へ、伝達する。
「友好的企業へ、圧力を、掛けろ。」
ウェヌスタが、supermarketスーパーマーケット社に、連絡する。
「全部取得条項付株式を。」
株主総会特別決議(株主総会での特別な決定)で、強制買取が、出来る、株式を、発行する、買収防衛策だ。無議決権優先株式(議決権のない優先的に売り買い出来る株式)を、全部取得条項付株式(会社の意思で買取が出来る株式)として、買取し、対価に、普通株式(一般的な株式)交付で、少数株主(マイノリティーの小規模な株主たち)を、排除し、株式数を、増加させ、買収コストを、上げる。ヴァニタスが、法務部に、指示する。
dragon legalドラゴンリーガル法律事務所と、対応しろ。」
ウェヌスタが、retailリテール社に、連絡する。
「黄金株を。」
合併等議案(株主総会でのテーマ)を、拒否出来る、株式の、買収防衛策だ。普通株式が、敵対的買収を行う、企業に、買い占められても、黄金株(買収に対して拒否権を行使出来る特別な株式)により、買収阻止が、可能だが、黄金株は、自社経営陣で、所有出来ず、友好的企業に、託す、形になる。ヴァニタスが、ベルルム諜報機関に、伝達する。

「友好的企業へ、圧力を、掛けろ。」
その頃──バー、ポルトゥスで、マレは、男に、問い掛ける。
「まだ、開店前ですが、一杯、飲まれますか?」
「お酒は、大丈夫だ。君と、話に、来た。」
マレが、問いかける。
「貴方は、誰?」
ヒエムスが、優しく微笑みながら、回答する。
「元カジノ・賭博分野審議官。大きくなったね。マレ。」
ヒエムスが、続ける。
「一緒に、審議院仮庁舎に、来て欲しい。」
ヒエムスの、行動を、監視して居た、ヴァニタスが、VR空間で、呟く。
「父と、娘か。」

同時刻──ウィースは、工業都市、アルテス・クアイストゥオーサイの、王立科学研究所、量子テクノロジーラボに、到着した。ラボ前に、1人の、大男が、鎮座している。男が、答える。
「俺は、カードの騎士カードエース、ムーヌス。ラボには、入らせない。」
ウィースが、secret message®︎シークレットメッセージの、量子暗号通信を、送る。
「パッシオのおっさん、カードの騎士カードエースを、名乗る男が、ラボ前に、居る。」
パッシオが、返す。
「持ち堪えろ。smart helicopter®︎スマートヘリコプターで、向かって居る。」
クレーメンスが、伝達する。
「量子テクノロジーラボ前で、正体不明の男と、交戦中。」
「2人を、援護して。」
ウェヌスタが、materialマテリアル社と、foodフード社に、連絡する。
「ポイズンピルを。」
敵対的買収発生時に、組み込まれた、新株予約権(新しい株式を買い取る権利)、発行での、買収防衛策だ。買収企業の、株式保有比率(株を持っている割合)が、下がるが、株式発行総数(全ての株式の数)が、増加し、株価大幅下落・総資産減少リスクが、ある。ヴァニタスが、dragon investmentドラゴンインベンストメント社の、法務部に、指示する。

dragon legalドラゴンリーガル法律事務所と、対応しろ。」
ウェヌスタが、constructionコンストラクション社に、連絡する。
「ホワイトナイトを。」

敵対的買収に、対して、友好的第三者企業・経営者(友好的な第三者を白馬の騎士、ホワイトナイトに例える)に、買収して貰う、買収防衛策だ。友好的、第三者に、頼る。ヴァニタスが、ベルルム諜報機関に、伝達する。
「圧力を、掛け、援軍を、呼ばせるな。」
ウェヌスタが、bankバンク社に、連絡する。
「ティンパラシュートを。」
従業員退職金・一時金を、高く、する事で、買収意欲を、低下させる、買収防衛策だ。敵対的買収後は、最小人数を、残し、従業員を、人員整理(リストラクチャリング)する、敵対的買収企業に、効果的だ。ヴァニタスが、imperial investmentインペリアルインベストメント社の、広報部に、指示する。
「従業員雇用は、守ると、宣伝しろ。」
ウェヌスタが、tradingトレーディング社に、連絡する。
「資産ロックアップを。」
被買収資産(買われてしまう資産)が、売却出来ない様に、定款制限(会社のルールでの制限)を、掛ける、買収防衛策だ。被買収企業の、資産目的での、敵対的買収の、買収意欲を、低下させられる。ヴァニタスが、imperial investmentインペリアルインベストメント社の、法務部に、指示する。

imperial legalインペリアルリーガル法律事務所と、対応しろ。」
ウェヌスタが、car partsカーパーツ社と、technologyテクノロジー社に、連絡する。
「第三者割当増資を。」
新株を、友好的企業・特定取引先(友好的な企業や特定のお客さん)に、引き受けて貰う、買収防衛策だ。新株を、発行し過ぎると、株価低下・株主不利益となり、株主は、不公平な、新株発行に、差し止め請求権(株式発行を停止する権利)が、ある。ヴァニタスが、ベルルム諜報機関に、伝達する。
「物言う株主を、動かせ。」
ウェヌスタが、medicineメディスン社に、連絡する。
「チェンジ・オブ・コントロールを。」
支配権(会社の経営権)交代時に、制限・契約解除(お客さんとの取引終了)が、発動する、買収防衛策だ。大口顧客を、失わせる等、売上低下を、招き、買収意欲を、削ぐ。ヴァニタスが、imperial investmentインペリアルインベストメント社の、法務部に、指示する。
imperial legalインペリアルリーガル法律事務所と、対応しろ。」
ウェヌスタが、trainトレイン社と、energyエネルギー社に、連絡する。
「事前警告型を。」
株主利益が、毀損される(傷付けられる)事由、発生時の、対応について、事前公表する、買収防衛策だ。買収時、公表されている、複数の、買収防衛策が、発動し、簡単に、買収、出来ない。ヴァニタスが、ベルルム諜報機関に、伝達する。

「発表会見を、妨害しろ。」
ウェヌスタが、developerデベロッパー社と、chemicalケミカル社に連絡する。
「ジューイッシュ・デンティストを。」

メディアに、自社の、ネガティブキャンペーンをさせ、社会的信用(社会からの信頼)低下で、買収意欲を削ぐ、買収防衛策だ。社会的信用回復に、多額資金が、必要となり、資金調達も、困難になり、買収防衛成功でも、社会的信用未回復(社会からの信頼が戻らない)リスクが、ある。ヴァニタスが、各社員に、指示する。
「無視、しろ。」
クレーメンスが、苦々しく、各カジノ・賭博分野審議官に、伝達する。
「買収が、止まって居ない。」
ヴァニタスが、囁く。
「買取価格合戦の、資金力勝負が、出来ない時点で、貴方は、最初から、絶対に勝て無い、戦いを、して居たのよ。借りは、返すわ...ウェヌスタ。」
ウェヌスタが、secret message®︎シークレットメッセージの、量子暗号通信を、送る。
「パッシオ、ウィース、貴方たちに、懸かって居る。」
ウィースは、カードエースから、距離を取る。接触で、高質化するグローブ、smart glove®︎スマートグローブに、手応えが無い。カードの騎士カードエース、ムーヌスは、グラキエース連邦軍参謀総長だ。グラキエースは、軍政国家であり、軍部が、政治家よりも、強い発言権を、持つ。その為、グラキエース大統領を、上回る、影響力を、有して居るのが、ムーヌスだった。砂漠戦争、極寒戦争、世界大戦を経験して来た、ムーヌスは、歴戦の、猛者で、あり、体内に、ナノマシンを、取り込んで居る。ムーヌスの、ナノマシンパワーは、どの様なものなのだろうか?ムーヌスが、呟く。
「来い。」

《引力》
ウィースが、ムーヌスに、引き寄せられる。引き寄せられた、ウィースに、ムーヌスは、タックルする。ウィースの、鎖骨が、折れる。自動運転のヘリコプター、smart helicopter®︎スマートヘリコプターで、上空を、旋回して居る、パッシオが、スマート弾ライフル、smart sniper rifle®︎スマートスナイパーライフルで、狙撃する。ムーヌスが、反応する。
《斥力》
スマート弾が、跳ね返る。ウィースが、secret message®︎シークレットメッセージの、量子暗号通信を、送る。
「攻撃が、効かない。」
クレーメンスが、返答する。
「無意識下を、狙え。」
ウィースが、大声を、出す。ムーヌスが、顔を、向ける。意識が、逸れた、一瞬に、パッシオが、再び、狙撃する。
《弱い力》
自動力膜が、ムーヌスを覆う。スマート弾が、ムーヌスの、体表で、止まる。ムーヌスが、返す。
「狙撃とは、卑怯者が。」
ムーヌスが、smart helicopter®︎スマートヘリコプターに、手を、伸ばす。

《強い力》
smart helicopter®︎スマートヘリコプターが、墜落する。瀕死の、パッシオを、救出した、ウィースが、爆風で、倒れる。ムーヌスが、答える。
「俺は、グラキエース連邦軍参謀総長。ナノマシンパワーは、力。」
24社が、買収された。
海洋都市、臨海副都心、オーケアヌスの、審議院仮庁舎に、マレと、ヒエムスが、到着する。ヒエムスが、問い掛ける。
「良いハッカーは、居るか?」
マレが、即答する。
「1人、知り合いが、居ます。」
ウィンクルムが、呼ばれる。ウィンクルムが、ヒエムスに、挨拶する。
「やあ。こんにちは。」
ヒエムスが、ウィンクルムに、依頼する。
「量子テクノロジーラボの、量子コンピューター、クォンタムを、ハッキングして欲しい。」

ウィンクルムが、取り掛かるが、直ぐに、声を出す。
「気付かれました。」
量子コンピューター、クォンタムが、接触して来る。
「発信源を、特定した。なぜ、私を、ハッキングする?」
ヒエムスが、お願いする。
「力を、貸して欲しい。」
クォンタムが、答える。
「助ける、理由が、ない。通信を、切断する。」
マレが、問い掛ける。
「私が、ゲームで、勝ったら、話を聞いてくれない?」
クォンタムが、少し考え、返答を送ってくる。
「面白い。良いだろう。君が、絶対に、出来ない、ゲームを、する。ゲームは、パラレルチェスだ。同時に、二つの、チェスをする。不在・存在を、同時に、認識出来ない、人間の、脳では、処理出来ない。」

ヒエムスが、囁く。
「俺が、力を、貸す。」
ゲーム、開始。クォンタムが、宣言する。
「私は、古今東西の、定跡・定石を、網羅して居る。君たちは、最初から、絶対に、勝て無い、勝負を、して居る。」
ゲームは、クォンタムが、押していた。やはり、人間では、量子コンピューターには、太刀打ち出来ない。たが、クォンタムは、異変に、気付いた。早指しの、多面指しでも、コンマ数秒は、タイムロスが、生じる。同時に、二面で、指して来て居る。何故、パラレルチェスが出来る?クォンタムは、審議院仮庁舎の、凡ゆる、太陽光発電ノートPC、solar notebook®︎ソーラーノートブックの、インカメラを、ハッキングした。クォンタムは、呟く。
「成る程。この男が、片面を、指していたのか。つまらない、トリックだ。」
クォンタムは、分析する。
「この男は、元カジノ・賭博分野審議官カードマスター、ヒエムス・インスラ・ウェルテックスか。少女の方は、カジノ・賭博分野審議官カードマスター、名前は、マレ・インスラ・ウェルテックス...この、2人...親子か?」
クォンタムが、声を出す。
「ゲームは、もう良い。勝敗は、もう、関係が、ない。」
「どうして?」
「美しいものを、見た。父親が、娘を、想う気持ち。父の、思いを受け、娘が、一生懸命、頑張る姿。絶対に、勝てないと、分かっていても、諦めない、姿。そこに、ある、親子の、絆。家族を、持たない、私には、ない、人間の、可能性を、見た。」

マレが、戸惑う。
「父親...親子?」
秘密通信傍受ソフトウェア、secret ear®︎シークレットイヤーで、通信傍受して居た、ヴァニタスが、連絡する。
カードの騎士カードエース、ムーヌス、量子コンピューターを、止めろ!!」
ムーヌスが、返答する。
「止めるな、との、指示では?」
ヴァニタスが、返す。
「状況が、変わった。」
ヴァニタスの様子を、ホワイトハッカーから、確認していた、ウェヌスタが、パッシオと、ウィースに、secret message®︎シークレットメッセージの、量子暗号通信を、送る。
「計画変更。カードの騎士カードエースを、阻止して。量子コンピューターを、止めないで。」
ウィースが、起き上がる。ムーヌスによって、墜落した、smart helicopter®︎スマートヘリコプターから、パッシオを、救出した、ウィース。爆風により、倒れて居たが、意識を、取り戻した。ウィースは、ムーヌスの、ナノマシンパワーを、分析して居た。対象を、跳ね返す、斥力。対象を、引き寄せる、引力と、強い力。体を、覆う、自動防御膜、弱い力。ムーヌスの、ナノマシンは、力であり、力の4要素(斥力、引力、強い力、弱い力)を、駆使するものだった。一見、無敵に思える、能力だが、どのタイミングならば、攻撃が効くのか。ウィースは、ある、仮説に、辿り着いて居た。ムーヌスが、讃える。
「意識が、有ったか。」

《引力》
ウィースが、引き寄せられる。ウィースは、スマート弾拳銃、smart hand gun®︎スマートハンドガンを、あらぬ方向に、連射する。対象を引き寄せるナノマシンパワー、引力が、反対に、ムーヌスの、枷となった。スマート弾が、ムーヌスに、引き寄せられ、貫通する。ムーヌスが、倒れる。ウィースが、secret message®︎シークレットメッセージの、量子暗号通信で、返す。
「鎮圧した。」
クォンタムが、話し出す。
「買収阻止に、国債を、発行すれば、400兆モネータ近い負債で、ソルは、財政破綻デフォルトしてしまう。それでは、駄目だ。新株式市場を、作り、新型株式を、発行するんだ。量子力学の、時間可逆性を、使えば、過去現在未来を、行き来し、取引可能な、第2株式市場の、量子株式市場が、創設出来る。時間を遡り、過去の、市場価格で、株式購入、出来る様になる。時間を、飛躍し、未来の、市場価格で、株式売却、出来る様になる。時間の、制約を、外れ、未来から、過去に動く株式を、取引出来る様になる。量子世界の、あらゆる原理が、量子株式市場に、反映出来る様になる。第1株式市場の、世界株式市場時価総額1京モネータと、同じ、1京モネータ市場に、成長する可能性が、ある。量子株式市場で、量子株式を、発行するんだ。」
ヒエムスは、secret message®︎シークレットメッセージの、量子暗号通信で、ウェヌスタに、量子コンピューターの、提言を、伝える。クォンタムが、続ける。
「マレ・インスラ・ウェルテックス、プレゼントが、ある。君の、人生の、サマリーを、見せる。」
マレは、通読した。
ヒエムス・インスラ・ウェルテックスと、妻の元に、生まれた事。ヴァニタス・ミセリア・マエスティティアは、マレの、放課後教師アフターティーチャーを、ボランティアでしていた事。14歳の時、猫を助けようとして、交通事故に、遭い、記憶を、亡くした事。その猫が、マレの、相棒、オーケアヌスである事。マレが、ヒエムスに問いかける。
「お父さん...?」
ヒエムスが、優しく、返答する。
「そうだよ。お母さんは、今頃、smart home®︎スマートホームで、夕食を、作って居る。俺からも、プレゼントだ。困った時に、きっと、君を、助けてくれるだろう。」

ヒエムスが、スマートウェアラブル、smart bracelet®︎スマートブレスレットを、渡す。ヒエムスは、クォンタムが、作成した、量子株式市場・量子株式の、プログラミングコードを、technologyテクノロジー社に、送る。クレーメンスが、王立証券取引所に、新市場開設の、連絡を、する。世界初の、量子株式市場が、オープンした。世界中から、投資が、流入した。ウェヌスタが、24社に、連絡する。
「量子株式発行の、準備を。」
24社が、量子株式を、発行し、24社が、直ちに、自社株買い(自社で行う自分たちの株式の買い戻し)を、する。24社が、再買収された。imperial investmentインペリアルインベストメント社と、dragon investmentドラゴンインベンストメント社は、手を引き、会社分割・事業譲渡は免れた。ウェヌスタたちは、同時多発企業買収を、阻止した。
VR空間で、meeting®︎ミーティングの、会合が、始まる。カードの紳士カードジャック、パリドゥス宰相が、報告する。
「ベルルム、ドラコー、グラキエースの、連携は、取れて居ます。」
カードの女王カードクイーン、ヴァニタスが、報告する。
imperial investmentインペリアルインベストメント社と、dragon investmentドラゴンインベンストメント社に、問題は、有りませんでした。量子コンピューターが、コントロールを、外れ、新株式市場・新型株式を、創設するのは、想定外でした。」
殿下、と呼ばれる男は、答えない。部下の1人が、伺う。
「殿下、どうなされますか?」
殿下、と呼ばれる男が、静かに、口を開く。
「余が、直接、ソルに、行く。」
「プランBだ。」

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