ボリビア・チリ探訪記【タリハ編】
前回
前回の記事では、ボリビアの中心に位置する都市、コチャバンバについて触れました。
今回はボリビアの最南端、葡萄の名産地でもあるタリハについて。
タリハについて
タリハはボリビアの最南部に位置する県及び市の名称
南側はアルゼンチン、東側はパラグアイと面しているのが特徴です。
特にグラン・チャコと呼ばれる両国との隣接エリアは、およそ100年前にはボリビアとパラグアイの間で領土の奪い合いの戦争を行っていたこともあります。
このグラン・チャコは先住民でチリ系グアラニー族である、チリグアノ人の言葉ではセドロ・デ・マターラとも呼ばれていたそうで、ケチュア語では狩猟地も意味する広大なエリアです。
地図で見るとわかりやすいですが、ちょうど高地と渓谷が交わるエリアで、高地から流れてくる雨水や雪解け水がたまって、谷のあたりでは肥沃な土地が形成されています。
特に、ボリビアの中でも果物や野菜が美味しいと有名なエリアで、ワインやシンガニを含めた葡萄の名産地としても知られています🍇
コチャバンバの人に聞いたところ、「タリハ人はのんびりで陽気な人種さ!」と言っていたのが印象的で、ボリビアの中でも物価が高く、時間の流れがゆっくりなリゾートエリアといったイメージ🏝️
なんでもこの地方特有の方言で「La Chura Tarija(ラ・チュラ・タリハ)=タリハ最高」という言い方も。
このチュラは琉球語の「美ら」とも共通点がありそうなのが興味深いです。
名前の由来
ちなみにこのエリアは元々“Villa de San Bernardo de Tarixa”(タリハのサンベルナルドの村)と呼ばれていました。
このサン・ベルナルドはスペイン侵略時代に先住民のチリグアノ人との戦いのためにこのエリアを任せられたスペイン側の軍人で、この都市の建築を指揮した人物だとか。
今も昔も、境界線であるが故に争いと変化の絶えない地、それがこのタリハなのです。
地形について
そして、もう一つタリハで触れておきたい部分、地形の話です。
人類が現れる遙か太古、タリハは湖であったそうです。
恐竜の化石が多く見つかることから、かつては陸地であったエリアが氷河期を経て、周りの山脈からの雪解け水を谷が運び、湖となっていたんだとか。
そんな湖が陸地になったきっかけの場所を見せていただきました。
それがこの“アンゴスチュラ”
アンゴスチュラとは、樹木やお酒の名称でも使用されますが、地形としての意味も持っています。
かつては封鎖され、湖であったタリハは、太古の昔、このアンゴスチュラの裂け目が生まれ、水が流れ出ていったことで陸地として生まれ変わったそうです。
そんな元湖であったタリハは、乾燥して冷涼なアンデス麓の地形の中では随一の緑の豊かさ。
チリ側では騒がれている水不足も、このタリハには影響がないんです。
旅路
前置きが長くなりましたが,私たちの旅路に戻ります。
飛行機でタリハに到着すると、早速我々の第一目的地
このタリハの地での拠点となる「ロス・パラレス・ホテル」の案内が。
聞きなれない単語ですが、日本へも輸入されているシンガニの名前を冠した、蒸留所経営のホテルなんです。
ホテルの雰囲気はいかにもリゾートホテル
タリハがリゾートエリアなんだということを改めて実感します。
ガーデンは広大で、豊かな自然とプールにスポーツエリア
屋内プールにサウナまで。
アンフォラなんかも飾ってあったり、素晴らしいホテルでした。
気になる客室も大きめなお部屋
なんといっても、ベランダからの景色がたまりません。
目覚めてからの朝の景色なんかはとても素晴らしかったです。
ランチ
お昼は街に出向いて、ボリビア南部の名物料理、“チャンチョ・アラ・クルス”をいただきました。
日本語では情報が全然ないのですが、チャコ地方の伝統的な料理で、塩水に漬けた豚肉を、丸ごと十字架にかけ、炭火でカリカリに焼き上げるのです。
外側はもうベーコンよりもカリカリ
中側はトロフワ
これがビールにとても合うんです。
そんなビールのボリビア南部らしい飲み方の一つが、“チョレアーダ”
ビールのコーラ割りのことで、日本では“ディーゼル”なんて呼ぶ時もありますが、ボリビアではチョレアーダと呼ぶそうです。
似た話でいうと、赤ワインとコーラのカクテル、“カリモーチョ”はチリやボリビアでは黒いハゲタカを意味する、“ホテ”と呼ぶそうです。
タリハには2泊して、蒸留所を5箇所まわったので、次回からは各蒸留所の紹介をしていく予定です。
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