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訪問看護とハラスメント

訪問看護関連ハラスメントと思える事例紹介。

訪問看護の難しいところは、病院と違い、患者さんのお宅に「上がらせていただく」という点。

神経難病の男性とその家族と関わって15年以上。人工呼吸器を装着後に、訪問看護を導入された。6歳で発症し、訪問看護開始当初は、20代後半、母が主介護者だった。すでに母流の介護方法が確率していた。こういう場合、科学的根拠に基づかないやり方が多く、医療従事者は、目に??マークが出てしまう事が多い。それはそれで尊重しながら、科学的根拠に基づいた方法へ導くには、数年かかることもある。

とにかく全てにおいて、ルールができている。
患者さんのケアに関わる事以外に、ドライヤーのコードのまとめ方、ベッド下の尿瓶を置く位置、軟膏類、清拭用のバケツの置き方、石油ストーブのやかんの向き、床上用便器を拭くトイレットペーパーは別、水道の蛇口の閉める強さ加減、バケツや洗髪器の水滴は全て拭き取る、それを干す位置や向き、玄関のドアを閉める力加減……こう書き出すだけで、当時のストレスが蘇ってくる。
とにかく、新しく訪問し始めた看護師が標的になりやすい。担当の美容師さんに、後頭部の円形脱毛を指摘されたのは、私がちょうどこのお宅を訪問し始めて3ヶ月頃だった。

その後、15年位、前職場を退職するまで、訪問。その頃には、私の方に主導権があった感じで、もちろん、科学的根拠に基づいた方法に移行していった訳だが。

今思えば、立派なハラスメントだったな、と。
あの時、あのお宅に意見する者がいなかった。言いなりだった。当時の所長は、そのお宅の訪問すら避けていた。
これではいけないんだよ、メスを入れて改善しないと。尊重しながら改善していく。アサーティブネスが必要なんだ。訪問看護師を育てたいなら、看護師にそんな思いをさせてはいけない。それが、このお宅の訪問で唯一得たことである。

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