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怪奇、虚飾の吊り橋!渡るヤツらは鬼ばかり!『チャオチャオ』

こんばんは、きゃらべのワタルです。

世の中には「嘘」に関して言及している言葉がたくさんあります。「嘘つきは泥棒の始まり」「嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれる」など、大抵は嘘をつくことを戒めたり正直に生きることの美徳を謳ったりしたものが多いのですが、一方で「嘘も方便」といった言葉もあります。これはもともと仏教由来の言葉で「仏さまでも衆生を教え導くために時には嘘をつくこともある」といった意味の言葉です。つまり根底では「自分ではない別の誰かの益となること」に注目している言葉なんですね。

なので自分が嘘の正当性を主張したい時とかに「嘘も方便って言うだろ!」と半ば逆ギレ気味に言うのは本来間違った使い方になるわけですね。気をつけたいものです。そもそも嘘をつくにしてもバレないように嘘をつきたいものです。いえいえ、ワタシは決して嘘つきではありませんとも。ええ、決して。

今回ご紹介する『チャオチャオ』はそんな嘘をつくことが自分の利益にもなるかもしれないし、相手の利益になるかもしれないという駆け引きのあるゲームです。虚実ないまぜの激闘を超えた先で果たしてあなたが掴み取るものとは!?

それでは今回も、レッツプレイ!


どんなゲーム?

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『チャオチャオ』はレース要素のあるブラフゲームです。以前『ハゲタカのえじき』の記事の中で紹介したボードゲームデザイナーの巨匠、アレックス・ランドルフによって世に解き放たれた作品の一つとなっております。
今回の『チャオチャオ』『ハゲタカのえじき』と同様、
ルールがシンプルで遊びやすい!わかりやすい駆け引きが遊びやすい!息が詰まるような窮屈さがほとんどなくて遊びやすい!
というどう転がしても遊びやすいゲームなのでとても遊びやすいゲームです。遊びやすい!これは遊びやすい!遊びやすい!(字余)

「嘘をつく快感、嘘を見破る快感」をお手軽に楽しみたいという欲張りな方は早速本記事を読んで遊んでみましょう。

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このゲームは駒やサイコロだけでなく、アイテムの入っていた箱も使って遊ぶというちょっと珍しい特徴があります。中に入っている必要なものをすべて取り出したら上の写真のように箱を組み替えておきましょう。これでゲームが入っていた箱は「川の上に渡された吊り橋」へと姿を変えました。この吊り橋の上で騙くらかし合いかけっこを行うのがこの『チャオチャオ』というゲームになります。

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その後それぞれのプレイヤーにどれか一色の駒×7個を手元に集めたらそのうち一つを吊り橋のスタート地点に配置します。これで準備は完了です!


都合の悪い未来にサヨナラ、それが俺のやり方さ

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まず適当な方法で親を決め、親の人から順番にサイコロを振ります。といっても普通にコロリンチョするわけではなく、写真にあるように筒の中にサイコロを入れて振ることになります。こうやって振ることによって、後のルールにも関わってくることですが、周りの人からサイコロの目が見えなくなるようにしているわけですね。

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その後、親の人は筒の中を覗き込みサイコロの出目を確認します。確認が終わったら「1~4」までの好きな数字を宣言しましょう。この宣言は、「今確認したらサイコロの目は4でした!なので誠に僭越ながら、ただいまからワタクシは吊り橋を4歩分進ませていただきます!」という意味を持ちます。言葉通りならば特に大したことではないように聞こえるかもしれませんが、何度か説明している通りこの『チャオチャオ』騙し合いのゲーム。宣言する数は実際の出目とは違う数字でも全然問題ありません。『チャオチャオ』はレースの要素も持っている関係上、1歩進むのと4歩進むのとどちらが有利であるのかは比べるまでもありませんよね。自分にとって都合のいい数字を宣言しましょう!

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さて、ここからはサイコロを振らなかった人たち目線でのお話となります。このままだとライバルである親プレイヤーが悠々と歩みを進めてしまいますが、果たして親は本当に宣言しただけの出目を出せているのでしょうか?もしかしたら出目とは違う数字を宣言してズルしようとしている可能性が残されています。その「親が本当のことを言っているのか?嘘をついているのか?」の判定を行っていくのが親以外の人たちのお仕事になります。

親の左隣の方から時計回りに親の宣言した数字が出目と同じなのか、それとも出目とは違うのかの回答をしていきます。

もし「出目と同じ」と思った場合にはそのまま親の宣言をスルーし、次の人に真偽を回答する権利が移ります。親以外の全員が「出目と同じ」と判断して回答権が一周した場合には親は嘘をついていないと満場一致で承認されたことになり、大手を振って親は宣言しただけの数字分だけ自分の駒を進めます。
しかし、もし誰かが「出目とは違う!親は嘘つきだ!」と思った場合には「ダウト!」と宣言し、そのまま親とのバトルに移行します。バトルと言っても決着の方法は非常にシンプルで、筒の中の実際の出目をその人に確認してもらうことでの決着となります。こういう処理を行う都合上、親の人は自分の番がすべて終わるまで筒の中のサイコロの出目が変わらないように注意しましょうね

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実際の出目を確認して「親は本当のことを言っていた」ことがわかった場合、ダウト宣言をした人が負けとなります。親の人は改めて自分の駒を数字分だけ進め、同時にダウトを宣言した人は無実の罪を着せようとしていたことを悔い改める意味をこめて「チャオチャオ~」と言いながら自分の駒を吊り橋から落とします。
ちなみに「チャオチャオ」とは我々で言う「バイバ~イ」という意味の言葉です。なかなかかわいらしい響きの言葉ではあるのですが、その結果訪れる結末は「吊り橋からの転落=死」なのでなかなかエグイことをやっております。
吊り橋上から自分の駒を落とした後は、別の駒をスタート地点に再配置しておいてくださいね。次のあなたはきっと上手くやってくれることでしょう。

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逆に出目を確認して「親が嘘をついていたことが判明した」場合には、ダウト宣言をした人が勝ちとなります!親の人はケジメ案件という意味で自分の駒を吊り橋から突き落とします。このときも「チャオチャオ~」と言うのも忘れずに。だんだんクセになってくるような気がしないでもないです。そして見事親の嘘を見破ることに成功した人は、その功績を称えられ親が嘘でコールしていた数の分だけ駒を進めることができます!これは嬉しい!

この「嘘をつく側にも見破る側にもわかりやすいリスクとリターンがある」というのが『チャオチャオ』というゲームの醍醐味になります。


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で、このように書くと「親は嘘をつく必要があるのか?ずっと本当のことを言っていれば良いのでは?」と思うかもしれませんが、そこは抜かりなく。実はサイコロの出目は「1~4」までの数字しかなく、残り2つの面には「」が書かれています。

この「✕」は何なのかと言うと何の数字でもない出目ということになります。何の数字でもない出目ではありますが、この「✕」が出てしまった時にも親はもちろん「1~4」の数字を宣言しなければなりません。つまるところ親は「」の時には絶対に嘘をつかなければならず、必然的にダウトをされたら橋の上からチャオチャオ〜(=死)ということになります。これはキツイ!単純計算でも3回に1回は親は嘘をつかないといけないわけですね。「✕」の目が出たときには何としてもそれを悟られないようにしましょう。
もちろん、自信があるなら3回に1回と言わず何度でも嘘の宣言をしていただいても構いませんよ?その辺りは腕の見せ所兼良心とのせめぎ合いといったところでしょうか。

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そして吊り橋を駆け抜けて9マス分歩みを進むことができたコマはゴールしたことになります。このゲームの終了条件ですが、ゴールしたコマの数が2つの条件のどちらかを満たした時に即座に終了となります。

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まず、「誰かが3人目の駒をゴールさせた時」です。これは「3人目をゴールさせた人がそのまま優勝!」という流れとなります。実にわかりやすい勝利条件ですね、出目のコールで嘘をついてでも前に進んだ方がいい理由はここにあります。単純に早くゴールさせることができれば他の人に対してプレッシャーになりますからね!

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もう一つの条件は「誰も3人目の駒をゴールさせることができずに、吊り橋を渡らせる駒が全部なくなってしまった時」または「3人目が出ずに8つあるゴールがすべて埋まってしまった時」です。上記の3人目勝利の条件で決着がつかなかった場合の処理というわけですね。この場合は、「すでにゴールしている駒の足元に書いてある数字を合計し、それが一番高い人が勝ち!」という処理になります。こちらの条件まで勝負をもつれこませた場合は「大きな数字が書いてある後の方にゴールした人」の方が有利になります。
(上の写真の場合は合計が15である緑のプレイヤーの勝ち)

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ちなみにゴールした駒を除いてすべての駒が無くなってしまったという人も「親の宣言が嘘かホントか?」の回答には参加することができます。その場合はすでに宣言している駒の魂を賭けることでの参加となります。他の人の逆転の一手を潰すことができるかもしれないので非常に魅力的である一方で、もしダウトを外してしまった時にはせっかくゴールした駒が1つ丸々なくなってしまうことになります。この辺りのご利用は計画的に。

最後にちょっとしたワンポイントアドバイス。
駒をリセットしたときには必ずスタート地点に戻されることになってしまうので、そうなると当然「ゴールに近いプレイヤーほど、嘘をつくのを嫌がるし嘘を見破る役目もやりたがらない」ということになります。吊り橋全体から見て誰がどこの地点にいるのか?、それを把握することはすなわち嘘かホントかの判断材料にもなるでしょうし逆に裏をかくこともできるようになるでしょう。

「親は今嘘をつきたいのか?そしてそれを見破るのはワタシでなくてもいいのでは?」という考えが持てるようになれば、あなたはこのゲームのもう一段階上の面白さに足を踏み入れたことになります!慣れてきたら、この次元での戦いまで追究してみてはいかがでしょうか!?

真実と虚偽とは本来等価なものである
言葉を発した者の状況だけがその価値を決め得る


さいごに

『チャオチャオ』、いかがだったでしょうか。敷居は低く、奥行きは深くという要素を持ちつつも、「結局サイコロで4を出し続ければ勝ち」という理不尽さ(?)も兼ね備えた良ゲーです。嘘をつくことが許されるブラフゲームの中でも入門編に位置するとも言えるでしょう。

いつものお話ですが、今回紹介した『チャオチャオ』もきゃらべの店頭でも販売しております。興味がある方はぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。

それでは今宵はこの辺で、失礼。

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