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【トヨタ・MIRAI】すぐそこまで来ているミライは、楽しさと驚きに満ち溢れたFCVだった!

「燃料電池車でも"運転の楽しさ"を感じられる、トヨタのクルマ作りに感動する」


初代登場から6年の時を経て、2代目となったトヨタ・MIRAI。
水素使用による燃料電池搭載により、カーボンニュートラル&クリーンエネルギーに対するトヨタの出した1手は、現在のクルマ社会において重要な位置づけとなる1台と言える。


単にエコなだけじゃない。

「車としての魅力を高めた」新世代FCV(燃料電池車)は、上質さとスポーティさをうまくミックスした驚きの仕上がりとなっていた!

[表紙画像引用:トヨタ自動車(株)]

試乗協力店
トヨタカローラ栃木株式会社 宇都宮上横田
https://www.corolla-tochigi.co.jp/store/utsunomiyakamiyokota

■低重心+躍動感=新たなFRセダンの形を表現


未来的とはいえプリウスを抽象したような外観だった初代に比べ、新登場の2台目はスタイリングも大幅な変更が行われた。

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[画像引用:トヨタ自動車(株)]

新たなFRセダンを表現したというロー&ワイドな外観は、意外な程にスポーティーさが取り入れているのが個人的にも喜ばしいポイント。

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簡単に細部を見ていく。まずはフロントセクション。
逆スラントノーズ気味となっている事に加え、張り出したコーナーも相まって、マッシブな印象を受ける顔つきとなっている。

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横から見ると、いかにロングノーズ・ショートデッキになっているのかが分かる。
この”セダンでありながらクーペ的フォルム”を実現しているのは、後輪駆動を採用したのも大きく起因している。

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また、リアフェンダーから前方下部にかけて絞り込み形状を採用する事により、躍動感を表現しているとトヨタは語っている。

リアセクションでは、スポイラーと一体形状となったトランク部が斬新だ。

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パーツ追加ではなく、あえてボディと同一化する事で低重心を強調する効果があるらしい。

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欲を言えば、アフターパーツで追加のトランクスポイラーが出てくれないかなー。

そうすれば、「スポーティーさが引き上げられてカッコいいじゃんっ!」と考えてしまう。
(トヨタさんorパーツメーカーさん、どうかご検討をっ)

■一般ユーザーにグッと寄り添った内装レイアウト

ソフトタッチな本革が使用されている内装は、上質さに満ち溢れている。(THE・高級車~♪♪)


しかし大柄な外観を持ちながら、室内はメチャ広いという訳ではない。むしろ、もうちょっと広さがあっても良いと思える程だ。

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まず乗り込もうとした時に気になったのは、サイドステップの高さだ。一般的な車よりも高さがあり、”段差感”がある。これはプラットフォーム自体の特徴なのか、水素タンクを床下に積んでいる副産物なのかハッキリした回答は貰えなかったが、乗降時に気になる点なのは確かだ。

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ドライバーズシートに腰掛けると、かなりコックピット感がある。
理由としては、センターに鎮座した12.3インチモニターがドライバー側に角度がついている事や、フロント液晶モニターの配置もあるが。

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決定的なのは、個性的なインパネ造形だろう。

「集中と開放」のテーマに基づいている。まさにドライバーが運転に集中できる環境を整えつつ、助手席側は開放的な“もう一つの空間”を演出している。

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快適さを高めたというリアシート。

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センターのアームレストには格納式のカップホルダーに加え、コントロールユニットが設けらえているのが先進性を感じられる。(Zグレードのみ)

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また、インナールーフには見慣れない「彫り」があった。

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リアシート後端を始点・終点とし、ちょうど室内中央で折り返しの弧を描いているという造形は、初めて見た。
これは視覚的にも前席・後席のセパレート効果に起因しているのだろうと予想される。
装備内容も細かなギミックも、まさに「おもてなし」の意識が感じられる空間だ。

しかし、如何せん広さはない。

「ゆったり快適に~」というイメージではなかった。

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足元の余裕がもっと欲しいところ

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身長183cmの筆者では頭が天井に当たる

ラゲッジにおいても9インチのゴルフバック3つ分とはいえ、格別に広いという感じではない。

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ショーファードリブン(運転手付き)やフリートカー(公用車・社用車)で使うには、もっとリアシート・ラゲッジの広さは必須だろう。

ゆえに、あくまで一般ユーザー向けに設定された快適領域と筆者は考えている。

■「静か、上質、滑らか」が乗り味のキーワード


いざ、公道試乗へ。モーター駆動特有の抵抗のないスムーズな動きだし。
そして、一般道の流れに乗って加速した際に、まず思う。

「超っ!!静かだなー」

なんだろう。これまで経験した事のない静粛性にまず驚いた。
過去にもモーター駆動の車には乗った事はあるが、MIRAIの静かさはレベルが違う。「澄んだ静けさ」という表現がピッタリだろう。
もちろん、燃料電池発電・モーター駆動・社内へのノイズ対策への賜物なのだが、いい意味での違和感をものすごく感じた。

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車全体に施された静粛性対応により、今までのクルマにない静かな車内空間を実現した

[画像引用:トヨタ自動車(株)]


そしてMIRAIの驚きは、まだまだ止まらない。

適度な減速を終え、交差点を左折しようとハンドルを切ったその時。
思わず「おぉ~っ」と声が漏れてしまった。

そのハンドリングのダイレクトさに。

ハンドルの切れ角と車体の動きの連動間が強い、まさにオン・ザ・レールなコーナーリング感覚。
また、旋回中に”車体のよれ”が一切感じられない。いかにボディ剛性が高いのか、誰が運転しても容易に体感できると思う。

しかし、ただハンドリングだけに感情が反応したわけではなかった。

コーナーリング中に伝わってきた、上質と表現したくなる足回りの仕上がりにも驚かされた。
路面のギャップ(段差)を全く感じさせない、どこまでもフラットで”滑らか”な乗り味。

余談だが、今回試乗したコースは筆者も日常的に使用している一般道で、路面の凸凹がそれなりに点在している。

その凸凹上を走っていても"いかにも今、いなしてます”という感覚を、ドライバーに全く感じさせない。何事もなかったかのようにMIARIは走り抜けていく。

これも前述の静粛性同様、筆者は過去に経験した事の無いドライブフィールだった。

おまけにこのクラスではトレンドであるエアーサスペンションではなく、機械式サスペンション(メカサス)とボディ&プラットフォームでこれを再現しているのがホントに凄い。

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低重心化と車両バランス設定にこだわり抜いたボディ&プラットフォームが、驚きの乗り味を生み出した。

[画像引用:トヨタ自動車(株)]

■"ドライバーとクルマの共生"を形にしたクルマ


燃料電池車であるミライには、従来のエンジン車同様に扱えるギミックがいくつか搭載されている。
その1つがドライブモードセレクトだ。車のキャラクター性もあり、実はカタログなどでもあまり語られていない機能ではあるが。
クルマの持つ”走りの楽しさ”を求める筆者としては、注目しておきたいポイントでもあった。

正直なところ、モードを変更した際の内部メカニズムはハッキリと説明できないが。(FCスタックの充電量?駆動モーターの出力制御?)


一般的なドライブモードセレクト同様、トルクフィール・加速フィールが変わるといった内容。
まぁ、モーター駆動という点だけで、シームレスな加速は味わえるのだが。

結果としては、一般道ではECOかNORMALで十分と考える。
仮に筆者だったら、常時NORMALモードで走りたいと思った。
ECOモードだと、燃費走行には確かに向いているが。NORMALモードに比べて加速のモッサリ感・かったるさが少し感じられた。
残念ながら、今回の一般道試乗ではNORMAL・SPORTSの棲み分けをうまく把握できなかったのが反省点だ。

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セレクトレバー下に備わるDRIVE MODEスイッチにて切り替えを行う。

その他にも、MIRAIには様々なギミックが搭載されている。

ドライバーの高揚感を高める機能として、アクセル操作に応じたサウンドを演出してくれるアクティサウンドコントロール
(噂によれば、SPORTSモードではLEXUSのスーパーカー・LFAのエンジン音が流れるらしい)

トヨタ最新のセンシング技術である「TOYOT TEAMAMATE」も搭載されている。

環境性能に優れた燃料電池車と言っても、ドライバーへの運転の楽しさを感じさせる要素は失わずに、且つ安全機能にもぬかりがない。

ドライバーとクルマの共生を、まさに形にしたクルマ。

この2代目・MIRAIでトヨタがコンセプトとした「車としての魅力を感じたものが、たまたまFCVだった」とおり、クルマの魅力と1歩先の未来への可能性を強く感じさせてくれる1台だった。

■結局の決め手は、インフラ環境


エコでありながらも、上質且つスポーティーなフィーリングを味わえる。期待以上に「クルマとしての高い魅力」を有していた2代目・MIRAI。

水のみを排出する水素燃料は、日本でも普及に力を入れているのもあり、今後発展を遂げていくでしょう。

そう、今後ね。

じゃあ、今現在はどうなの?と聞かれると、まだまだ認知度が低く、課題が山積みです。
筆者は環境インフラ系の専門家ではない為、あまり多くは語れませんが。(すみません)

居住地である栃木県の現状では、県内に水素ステーションは1件しかありません。(2021年4月時点)

ましてや、筆者の住んでいる宇都宮市ではなく、県南部にある栃木市に。


仮に水素充填をしたいと思っても、片道50kmは走らないといけない事となります(約1時間)。

これが地方部の水素環境のリアルです。
(ディーラーでも、試乗車をわざわざ積載車に載せて、水素ステーションへ運搬しているんですって!)

MIRAIのスペック上では、水素の充填時間は約3分。満充填で走行可能距離850km(カタログ値)など、かなり興味惹かれる中身なのですが。

結局は国・自治体によるインフラ整備がいつ整うか、それが問題でしょう。

「インフラがまだ発展途上の車に、わざわざ乗る必要があるのか?」
「やはり、先取り過ぎた技術なのでは?」

そんな感想を抱いてしまうのも、ムリはない。

しかし、このMIRAIが表現した”新たなクルマ“の1つの形(手に入るFCV)は、今後の車社会・モビリティ社会に大きな影響を与えていくと考える。

その点を踏まえて、現時点では注目しておきたい1台と言えるだろう。

まだまだ先だと思っていた未来は、”ちょっと先のミライ”に、すでになり始めている。

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