見出し画像

8.がん治療でお悩みの方へ綴る《手術》

三大療法の基幹療法です。内科vs外科、この構図は性格が大きく影響しています。外科系はせっかちで内科系は悠長の傾向があり、外科医は切るのが好きです。内科医は抱え込んで外科に回さないこともあります(私の父がそうでして、どんなに
QOLを説明して理解を求めても外科に回してくれず、外科に紹介されるのに2週間を要しました)。私も脳外科医として長年頭を開け続けてきましたが、手術は、、、好きでした。アハ! 血を見ると興奮する変態が多い ような気がする(偏見妄想)。

よく儲けたいから手術を勧めるのでは?と思っている方もいるようですが、実質的には、、、いないんじゃあないかなと思います。儲け主義で必要のない手術をして子宮を取りまくって逮捕された医者を報道で見てしまうとそう思うのかもしれませんが、真摯な気持ちで手術に向き合っています。

転移がなく癌があるのだから、切ってこの世から消し去ることができる、そうすれば転移の元を絶てる、であれば早いに越したことはないじゃないか、さあさっさと切りましょう! という感じではないでしょうか。売り切れる前に買いに行かなきゃ!的な焦りを持っています。ですから、余り待つのは好きではありません。

かと思えば、では手術は2ヶ月後のいついつに予定しましょう。ん?おそくね?と思うこともあります。ともかく真意を確認しましょう。この場合は、そんな先でも大丈夫なのですか?と。

外科医は手術が好きだけれども、無意味に切ることは基本いたしません。

100%とは言えないので、それを確認する意味も含めて主治医に確認する必要があります。手術をしないとどうなるのか? 提示された内容の確率はどうか? 心の準備ができていないから待てるとしたらどれくらいの期間待てますか? などなど

手術の基本コンセプトは、手術を行う以外に最善の方法が無い場合に限ります。

あと、手術という作業は臓器を失うことを意味します。それは厳密な意味からすると治癒とは言えません。ですから、臓器を失う代わりに元気に生きることができるのかが重要なポイントとなります。そこも主治医とよく話し合う必要があります。

今なら部屋がたまたま空いているし、手術室も抑えられますから直ぐに入院しましょう、というパターンは気をつけましょう。気が変わらぬうちに自分の敷いたレールに乗せようとする主治医もいます。慌てずに「一度持ち帰らせて家族と話し合いたいです」として、冷静さを取り戻し、納得のいく結論を出せるようにしましょう。

という訳で、私は手術に対して否定的ではありません。安全に取れて、術後もそれほど人生を謳歌できて安心できるのであれば、手術を躊躇う必要はないと考えています。そこを主治医と膝を突き合わせて話し合い納得することが何よりも重要になるのです。

人生の一大事ですから慌てて結論を出しませんように。

…つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?