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断酒を断つ

 先週の土曜の夜の振り返りに関連して、そろそろ断っても良いかな、と。でも、断酒中の(元)酒飲みが断酒をヤメるてな話、どう書いたって言い訳にしか見えそうにない。どうなんだろう。今日は一種のムリゲーとして。

なぜ酒をヤメようと思ったのか

 酒絡みでは割としくじっている。キツいのからチョットした失敗まで、いろいろ。でも、それが断酒を決意した直接の理由ではなく。かと言って健康上の理由でもないし、禁断症状が出るほど深刻な依存症に悩んでいた訳でもないし、もちろん酒が嫌いになったからでもない。単に、飲酒に付随する人間関係が面倒くさくなったから。いきなり厭世的なフレーズを使ってしまったが、さほど深刻なものでもなく、とにかく「メンドくさいから」ヤメた。
 例えば、ちょっと飲みに行かないかと誘われた場合、今あなたと酒を飲む気分じゃない。と思ったとしても、そのまま口に出すのは憚られる。そんなもん自分のコピーテクニックまたは性格の問題やろ。と、言ってしまえばそれまでなんですが、何の問題であるにせよ断酒で解決するであろう見通しはクリアに立つ。
 あるいは、もっと酷いことがあった。
「主人をバーに誘ったり、無理矢理連れて行ったりしないでください」
 はあ?
「断れない彼が悪いのはわかってます。でも、そこに突け込むあなたのやり方も、結構卑怯って言うか卑劣って言うか……」
 ちょっと待ってよ。初対面の女性から何でそこまで言われんとアカンのかマジで意味わかり難く。
 「ご主人」に心当たりはあったが、誘ったことも拉致した覚えもなかった。ふらっと立ち寄った店のカウンターにその姿を見つけ、やあ元気? みたいな場面は何度かあったが。要するにダシにされていたということ。別に大したことでもないが、同様に見ず知らずの女性の恨みを買っているケースが、ほかにもあったりするのかも知れず。これは嫌ですよ。やっぱり。

断煙/断酒/その他の断ナントカ

 私の場合、断酒は断煙より遥かに簡単だった。心理的依存と、即フィジカルの禁断症状が出てしまう依存(症)を一緒にしてはいけないということだろうか。実は煙草よりアルコールの方が依存性が強いのだという話も聞くので、自覚できている「禁断症状」だけから依存性の強さを判断することはできないということらしい。そんなこんなありつつ、私は明らかな「依存症」と「依存症じゃないけど好きで結構入れ込んでいる状態」を一緒に、ではないにせよ地続きに考える方です。グラデーションのない貧しい世界は好きじゃないので。
 依存/耽溺、依存/嗜好、(以下省略)これらの境界に、あなたはどんな根拠をもってどんな線を引かれるのだろう。酒なり煙草なりギャンブルなり薬物なりをどうやってヤメるか、という話とは直接関係ないし、いきなりそこ突っ込むとややこしいから取り敢えずヤメとくけど、「/」の部分には、「なかったことに」されている何かの正体を垣間見ることができる。

なぜ断酒をヤメようと思ったのか

 アナログディレイによるエフェクトのように、先ほどのフレーズをある種の公案としてリピート。

 依存/耽溺、依存/嗜好、(以下省略)これらの境界に、あなたはどんな根拠をもってどんな線を引かれるのだろう。

 気が向いたら、世界の余白を見つめ「/」の部分を可視化するゲームにチャレンジしてみてほしい。
 ここだけの話だが、私は、断酒によって、世界が例えば般若心経のように展開しはじめることを知っている。色即是空空即是色。テキトーに意訳すると、カタチあるものはすべからくアル中(及びその他数多のナントカ中毒者)が見る幻覚のように、実体のないもの即ちシニフィエなきシニフィアンである。早い話、このこと≒虚無の素顔に24時間バシッと向き合うのが怖かった。または、それほどストイックにはなれなかったということ。
 町田康さんは『しらふで生きる』の中で、「酒の怖さ」のみならず「断酒の怖さ」の正体にも、さらっと簡潔に触れられている。
 Dr.ハインリッヒさんは、『砂漠』において「この世にはねえ、伏線を回収しない物語があるのです」とやり、更に「般若心経」で落とすというおよそこれまでの漫才では考えられなかったネタ動画を、あろうことかYoutubeで無料公開して下さっている。
 ということで私の断酒断ち、<他者性>との関連で言うなら、私が酒をコントロール「する」のでもなく、酒にコントロール「される」のでもない中動態的(※この言葉、無茶苦茶いい加減に使ってます)スタンスでそれと関わっていこう。という決意でもあるのです。

関連コンテンツ紹介

断酒の怖さにまでさらっと触れた断酒本


「般若心経やからもうええわ」で終わる漫才
(幸さん「ひねり座」のポーズ)


「 Starman=他者性の象徴」説。話の成り行き上
※実は、自分のHGAに付けたニックネームやったりしてな(Fr.C.S.談)


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