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うつ病と私(母親②)

当時父親はバングラデシュの現場で仕事をしていました。
洪水が起こってね〜と、
電話でよく話していた事を覚えています。

すぐに帰国の手配をすると言ったそうですが、
父親は他県に住んでいた祖母に連絡し、
一足先に私達の家に様子を見に行って欲しいと
頼んでくれました。

様子のおかしい母親ですが、
翌日祖母が来れば
やはり気が張るのかもてなします。
当時は気付けませんでしたが、
今となれば、母親が気兼ねしない
母方の親族に相談したら良かったと…
もう少し考えてあげられたら良かったと思ってます。

その日の夜、
私と妹は祖母と和室で寝ました。
敷居を挟んで隣の部屋には母親が寝ました。
姉は年頃と言うこともあり自室で寝ました。

でも私はなかなか寝られず、
母親が寝ている方向を見て様子を伺っていました。
黒いシルエットでしか姿は見えなかったけれど、
ぶつぶつ何かを言っているのはわかりました。

母親の独り言はどんどん声が大きくなっていきました。
「ごめんなさい」
「こんなんで申し訳ない」
「消えてしまいたい」
「居なくなってしまいたい」

「…殺して下さい…殺して…」

「俺を殺せ!」
ガタン!

ここからは本当に地獄絵図のような記憶です。
暴れ回る母親。
母親を押さえつけ何かお経を唱える祖母。
救急要請を出すように指示され電話する姉。
必死に母親に声を掛ける私と妹。

あの時の母親は、
一人称が「俺」で、
普段では発することの無い乱暴な口調…
別人でした。
知らない人でした。

そのうち救急隊が到着し、
祖母が状況の説明をしていたのですが…
私はその時母親が口から血を吐いたのを見ました。

「お母さん口から血が出てるよ!」

そこから母親の更なるショックな姿を
目にする事になります。

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