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古いトランプからイタリアの歴史をのぞいてみる

お久しぶりです

はじめまして、と書いてから随分と時が経ってしまいました。

季節は巡り巡って次の初夏に突入しかかっております。

そして何より世界は大きく揺さぶられています。

世界では早いうちに大きな試練に立ち向かうこととなったイタリアは、

ようやく第2フェーズを目前とするところまで来ました。

ようやくです。

とイタリアを慮るばかりの余裕もなく、

自国ジャッポーネも出口のわからないトンネルの

どのあたりにいるのかわかりません。

3月以降、骨董市もご多分にもれず開催中止となり

日の目をまだ見ていない「時のかけらたち」がいます。

いろいろな物資が不足する中で今の時期に実用とはほど遠いものたち。

ちょっと話のたね程度におつきあい願えたらと思います。

出会ったトランプを見入っていたら

仕入れを重ねていると気がつくとトランプや

トランプ柄のものが揃っています。

この度、オーストリアのPiatnikがイタリア市場に向けて作った

トランプに出会いました。

ディーラーもめずらしいものだよと興奮気味。

イタリアのデザインにはない華やかなトランプです。

別のヴィンテージのトランプたちと一緒に眺めていると

納税のスタンプの図柄は同じだけれど文字が違うことに気づく。

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改めてイタリアと一言で言うけれど

今のイタリアの政体はそんなに古いものではないことに

思い巡らせ始めました。

古いトランプは時代がわかりやすい

トランプは税金がかかっていたためトランプ本体に

印や年月がすでに印刷されていたり

スタンプが押印されていたりします。

1931年のPiatnik社のイタリア向けのカードには

イタリア王国

1962年のカードには

イタリア共和国

見比べた二組のカードは

30年と少しの間で政体が違っています。

1962年のイタリア共和国は今日のイタリアと同じイタリアで

第二次大戦後の1948年に共和国となりました。

今のイタリア共和国になってまだ100年も経っていません。

一方で1930年代のイタリアはイタリア王国とはあるものの

ファシスト政権が力をつけ始めてそのまま第二次世界大戦下に

突入してしまいます。

最終的にはイタリア国王が連合国を南イタリアから入れて

ファシスト政権が終わりイタリアも降伏します。

イタリアでは終戦記念というか解放記念日として

4月25日が祝日になっています。

日本より一年早い1944年のことになります。

イタリアの古いトランプあれこれ

19世紀まで遡るとイタリア半島はまだ統一されていなかったので

地域によってトランプにかかる税の納め方の習慣が二つに別れていたため

カードの作り方にも影響していたようです。

ひとつは作る段階ですでに納税してトランプに透かしを入れるているもの。

あとはトランプ一組毎に政府に納税の押印をしてもらうもの。

前者はピエモンテやエミリア州、後者はロンバルディアやトスカーナ、

ウンブリア州、ナポリ王国に見られたそうです。

ヴィンテージ時代のトランプで出会うのはトリノのVIASSONE

トリエステのMODIANO、そしてナポリのトランプです。

まだ透かしの入ったイタリアのトランプには出会ったことがないので

ぜひ出会って見たいものです。

1972年にはトランプにかかる税が廃止となったそうです。

途中、偽造のトランプが出回ったそうで、

不正をなくすために柄毎に異なる印を設けた時代もあったそうです。

この記事の写真の印は1923年の法改正時代からの図柄で

紙の種類によってかかる税金が違ったそうです。

いつの時代もシビアな税金問題。

トランプを眺めていて思い巡らせて見たことを

綴ってみました。

最後までおつきあいありがとうございました。

参考:イタリア経済・財務省ホームページ





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