学校と支援施設の連携は…?
私は児童支援施設、放課後デイサービス、児童養護施設など学校とは別の施設で子どもたちの支援をしています。その中で様々な支援施設の課題が見えてきました。結論から言いますと、「学校との連携が薄い」ということです。具体的には、「担任の先生とのコンタクトがこちらからはまず取れない。」ことが大きいと感じています。
そんな支援施設職員は今年度をもって退職しますが、放課後デイサービスはどんな場所なのか、仕事内容、現状、課題、など、この記事が少しでも学校と放課後デイサービスの掛橋になれればなと思います。
放課後デイサービスとは?
最近になり、認知度もかなり広まってきた放課後デイサービス(放デイ)は2012年に児童福祉法の一部改正により創設された比較的新しい施設です。よく学校の下校時に送迎車が校門前で停まっている人々です。
対象は障害を抱えた子ども達で、通常学級に在籍する発達障害の子、支援学級に在籍する子、養護学校に在籍する子、など、「受給者証」という自治体が発行する手帳を持っていれば通所することができます。この「受給者証」というのは福祉サービスを受けるのに必要なものですが、必ずしも障害者手帳が必要なわけではありません。障害を抱えていなくとも、専門家の意見書があれば申請することができます。つまり、障害の診断を受けていないが療育の必要性が認められた場合にも通所することができます。
そこで働くために特別な資格はいりませんが一定割合の有資格者を必要とします。「保育士資格」また「児童指導員資格」です。後者の「児童指導員資格」は「教員免許」「社会福祉士」などの免許を持っていれば自動的に認められます。
といったところが放課後デイサービスの主な概要になります。
・何をする場所?
これは施設によってサービス内容は全く異なります。そのため利用者はその施設のHPなどで施設の”売り”を見て通所することになります。「学習支援に力を入れている。」「運動に力を入れている。」「居場所作りに力を入れている。」など施設によって様々です。私が勤めているデイは「学習支援と居場所作り」という印象があります。宿題をする子もいますし、受験勉強をする子もいます。漫画やボードゲームも豊富にあり、様々な媒体を通してコミュニケーションを図っています。近くの公園に行って運動をすることもあります。
学校と地域施設との連携の薄さ
「社会に開かれた教育課程」など地域との連携、協働した教育活動の充実を目指している一方、その連携の設計や意識ができていないように感じます。
私は塾講師もしているのですが、圧倒的に塾を敵対している学校もあります。校門で塾のチラシを配っていた時には「塾の人来てるから捕まるなよ〜、うまいこと逃げろよ〜。」と生徒に言っていました。こういうのは単純に悲しいですね。塾がなかったらどんどん学力が下がって行くように思うます。すみません、愚痴です。一方、「塾の方々は生徒の学力維持、向上に尽力されている本当にありがたい存在」とおっしゃてくれた教員の方もいました。
・放デイで感じる連携の薄さ
特別支援では「情報共有」が本当に大切です。障害の程度、支援方法、その子のルーティン、クールダウン方法など、知らないとマイナスの支援をしてしまうことも多くあります。しかし、その情報共有は学校内ではできていると思いますが、外部にも、となると守秘義務の観点から共有できない、できていないことも現状あります。
そこで、「ここだけは情報共有をしたい」という2点をあげます。
(1)宿題内容
第一に学習に関わることです。通常学級に通っている発達障害を抱える子どものテストを毎回確認するのですが、LDの子においてはほぼ0点です。合っていても「適当に書いた。」と言います。「支援級に入ってみるのはどうか。」というのは全く別の話ですので置いておきます。そのような子の宿題は通常学級なので周りの子と全く同じレベルです。一人でできるはずもありません。
その宿題に関して、「どこまでの支援をしていいのか。」ということです。LDの子の基本支援としてはいかに認知負荷を軽減させるか、なので、問題を解く際、一人で鉛筆を持って行うより、代筆で答えを書くことで「問題を解く」ことのみに集中できます。これは学校の先生によっては「誰かにやってもらった」とみなされないので相談が必要なのですが、現状、担任の先生と話し合う術がありません。そもそも、「(みんなと同じ宿題では支援にならないよ…)」というのが本心ですが、そこまでのインクルーシブ教育は現状できないので、できる範囲で行っています。
放デイ側の希望としては、「代筆」「(計算ドリルなどの)量がある問題の抜粋」を容認していただきたいです。宿題のやり方に関して一度でも良いので情報共有をすることで、学習に関してのサポート方針がとても明確になります。
(2)子どもの様子の共有
デイサービスでは乱暴な言葉遣いやちょっかいをかける子でも、学校の中では大人しい、など、環境によって性格は左右されます。学校での人間関係(友達がいないなど)の反動でデイサービスでは荒れることが考えられますので、ここの「学校での様子」「デイサービスでの様子」の共有をすることでどこに支援をすればいいか、ということが明確になります。
「学校で友達を作ることができない」→「デイでは自分より年下の子が多く自分の行動に反応してくれる」→「過剰に行動する」
「学校で友達がいない」という様子がわかれば、SSTなどで友達の作り方や遊びの誘い方、などを教えることができ、こちらもどこに支援をすればいいかがわかります。(上記のような子は基本的に遊びに誘う時の「言葉を知らない」ということが多いように感じます。関わり方が「ちょっかい」しか選択肢がないため、友達ができにくいように感じます。)
以上の2点が私なりの情報共有したいポイントでした。もちろん、他にもありますが、「頼む、まずはここ!!!」というところです。
最後に
私は来年度は支援施設職員を退職し、また別のところで子ども達と関わっていきます。今までに、塾講師、児童養護施設、放課後デイサービス、母子支援施設、不登校生徒の家庭教師、など、いろんな「学校での姿ではない」子どもと関わって来ました。どうにかこの経験を生かし、学校と地域社会がもっと一体となって、子どもの支援ができるように頑張ってみます。学校の中だけで対応するのは疲れてしまうこともありますし、外部の施設の人々も頑張っています。「社会に開かれた教育課程」は本当に大切だと思うので、地域全体で子どもを育てる意識を共有したいです。同じ「教育」という括りの中で、お互いが働きあってより良い効果を産むことができればいいなと思っています。
おわり
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