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バレエ感想㉞「眠れる森の美女」牧阿佐美バレヱ団

英国ロイヤルバレエ団のマリアネラ・ヌニェスとワディム・ムンタギロフがゲスト出演した牧阿佐美バレヱ団の「眠れる森の美女」に行ってきました。

まずオーケストラがとても良かったです。音が大きく、ダイナミックで、これから壮大な物語が始まることを音で観客に伝えてくれている気がしました。
舞台装置も豪華で、衣装も日本人にあった落ち着いた色合いでフィット感もしっかりしており、とても素敵でした。

最初のプロローグではカラボス役の菊池研さんがとても綺麗で強い女性を演じており、圧巻でした。動きには落ち着きがありながらも、激しい怒りも感じさせ、凄みがありました。

さて、2幕でマリアネラ・ヌニェス演じるオーロラ姫が出てきたのですが、キラキラしていながらも、変に浮くことがなく牧阿佐美バレヱ団のダンサー達に溶け込み、それでいながら場をリードしていたのが印象的でした。
ヌニェスは実に音楽的で優雅なバレリーナでした。動きの一つ一つが音楽に合っていて、旋律を奏でるように踊っていたことは忘れませんし、これは映像ではなく生で見てこそ分かったことだと思います。
もちろん上を向いてニカっと笑うなど、ヌニェスらしいと思う部分はありましたが、上階のお客様にもオーロラが喜んでいる様子がよく分かって良かったのではないかと思います。
ムンタギロフは格好良すぎて別次元の人でした。動きも優雅で、にこやかで、まさに絵本に出てきそうな王子様でした。

さて牧阿佐美バレヱ団のダンサー達も素敵で、金の精を踊っていた水井駿介さんは動きが優雅で美しかったです。ダイヤモンドの織山万梨子さんはつま先が綺麗で、以前トウパッドを使わないとインタビューで仰ってましたが、これだけの踊りをパッド無しで踊るとは…!銀の精を踊られていた上中穂香さんは、ゲイナーミンデンを履かれてる!しかもまさかこれはゲイナーヨーロッパ?アメリカ製からヨーロッパ製に変わってからゲイナーの評判は散々ですが、上中さんを見ているとプロは何でも履きこなしてしまうんだなと感じました。

青い鳥は大川航矢さんが踊られたのですが、跳躍は高く、鳥のようにフワフワしており、羽の1本1本がゆらめいているようでした。とても美しかったですが、どこか不安げで、何かを追い求めて探しているような、今にも燃え尽きて消えてしまいそうな、焦りを感じさせるような儚げなブルーバードでした。彼は一体何を追い求めているのでしょうか…。


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