【映画感想】夜の悪魔

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1943年製作/78分/アメリカ
原題:Son of Dracula

引き続きユニバーサルのモンスターシリーズ。
ドラキュラシリーズの3作目で現在はドラキュラの息子ってなってるけど別に息子ではなくて普通にドラキュラさんだった。

だけどこれが意外とというか凄い良くできてる面白い映画だった。狼男のロンチェイニーJr.がドラキュラ役って時点で合ってないな、何でもかんでもやってるし、これも惰性で作られた続編なのかなと思ってたけど全然そんなことなくてむしろユニバーサルのモンスターシリーズで言ってもかなり出来の良い方に入る。
予想できない展開と現代的で悲劇的なストーリーがユニバーサルの続編にありがちな雰囲気とは一線を画していて素晴らしい。
最初はどうかと思っていたロンチェイニーJr.のドラキュラも良い感じに感情がなく威厳があって全然アリだし素晴らしかった。さすがとしか言いようがない。

特殊効果もそれまでのとは違う実験的な試みがされていてコウモリの影から人になったり、煙から変化して現れたり消えたりがしっかり面白く撮れてるし、カメラワークとか構図がそれまでのユニバーサル映画と違うとまでは言わないけどもすごくオシャレで美しい印象で非常に洗練されてるというか、商業的な惰性で作っているわけではない作品に対する愛とか熱を感じて非常によかった。

ストーリーもこれまでのと違うと思ったのは主人公の男。それまでのだと意外とただの綺麗役というかヒロイックにヒロインを救ってめでたしみたいなのが多い印象だけど、今回の主人公フランクさんは終始報われないというか、本当に心をズタズタにされててギリギリの状態でそれでも最後に残った良心で悲しい判断をするっていう、最後にうまく全部まとまってハッピーエンドにしないところがめちゃくちゃ素晴らしかった。
浮気された挙句婚約者を盗られて、さらにその婚約者を殺してしまうって悲劇すぎるでしょ。しかも最後ヒロインが実は自分と永遠に生きていたいからこそ悪魔=ドラキュラに魂を売って人間ならざるものになってしまったというなんと悲しい結末。愛してるからこそ人間として焼き殺すしかないという判断をするフランクさん、、どんだけエモーショナルなストーリーなんだよこれ、単なるモンスター映画として見たらあまりにも悲しく美しいストーリーにうっかり感動してしまった。

いやこれは本当に素晴らしい。見てよかった。
そしてこれを見たおかげでようやく本命のドラキュラの屋敷がみれるようになった。

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