ストーリー
皆さま、年の瀬いかがお過ごしでしょうか?
コロナの感染者が急増していた状況だったので、公言しておりませんでしたが、今年の一時帰国中に母校で講演をする機会を頂きました。
自分の通っていた高校は日本ではかなり特殊な学校で、全寮制で私服だったし、先生の事はスタッフと呼び、敬語は使いませんでした。
車で一番近くのコンビニまで30分程かかる秘境の地にあります。
ヤンキー、バンドマン、オタク、引きこもり、などなど、日本の教育に馴染めなかった、世間一般では「はみ出し者」というレッテルを貼られた色んな種類の人間が一堂に会し、文字通り同じ釜の飯を食ってました。
それでも、意外にも人種は違えど和気藹々とやってたし、自分の周りではそういった人種間で陰湿ないじめが散見していた記憶はないです。
授業もかなり特殊で、ロック史やビートルズの授業があったり、美術の時間では藍染めを習ったり、田植えのイベントがあったり、当時としては珍しいボルダリング部や和太鼓部などもありました。
そして軽音部がない代わりに、重音部がありました。
3年間プレハブ小屋で夜な夜な爆音でハードコアを演奏していたのはいい思い出です。
そんな思い入れのある母校の後輩のために、近い将来音楽を通してワークショップをやりたいという構想がここ数年ありました。
そして日本へ一時帰国するタイミングで母校へ赴きました。
日本は当時、前述の通り感染者が増えていたので、今講演をするべきではないのではないかと最初は考えていました。
しかし、高校での1年間というのはものすごく貴重で濃密だと思います。少なくとも自分はそうでした。
そんな大切な高校生活の中、このパンデミックのせいで学生達の沢山の有意義な機会が失なわれてしまうのはあまりに酷だなと思いました。
そして今の中々希望を見出せない状況だからこそ、自分の培った経験やスキルを共有したいと思い始め、何かしら後輩に刺激を与えることが出来ればという思いで決行しました。
幸い母校もとても協力的で、14日間の隔離が終わっていたとはいえ、県外、ましてや国外から来た自分を快く迎い入れてくれました。
今回のワークショップで選んだテーマは「ストーリー」
具体的に何をしたかというと、自分が音楽を始めてから、各フェーズ(中学、高校、専門学校、アメリカでの音大時代、ドイツ時代)ごとの回想や背景を話したり、そのフェーズごとで自分が何を感じ、何を学び、最終的にそれらを使って何を表現するのかというのを、ドラムを使って昇華させるというワークショップを試みました。
たまに演奏を挟んで、解説したり実演したりしましたが、基本的には1時間喋りっぱなしのワークショップだったので、着想を得た当初はそんなに話すことあるかなと戸惑いましたが、いざ話し始めたら最終的には時間が押して、最後は巻きで終わらせたので、もう少し最後じっくりやりたかったなというのが正直なところでした。
人生の中で無駄な経験というものはないとは思うけれど、それを生かすも殺すも自分次第であるという事、そしてそれを使って自分だけの未来を切り開き、自分だけのストーリーを創っていってほしいという願いは、生徒達には伝わったのではないかと思います。
幸い生徒達からはとても好評だったみたいで、
当時の自分の担任や、当時から在籍し、自分を知るスタッフ(先生)も見に来ていただき、すごくありがたいフィードバックをもらえました。
おこがましいかもしれませんが、少しでも今の後輩達に自分が培ったものを還元できればという思いから始めたワークショップでしたが、結果的にはとても心に残る大切な日となりました。
まだまだ、世知辛い時世が続きますが、
どうか健康第一で、良い年末年始をお過ごしください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?