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無事千字 二〇二四年四月二十六日

考えて作る仕事と、何度も何度も見返したこと

 十日近く更新が滞ってしまった。本業のウェブサイトの管理、編集といったルーティンワークにプラス別案件の依頼があって、そっちに集中していた。

 とあるイベントのテーマ案を考えてほしいというご依頼は、ひとつのキーワードを提示され、それに言葉を足したり、それから派生した別の言葉で表現しつつ、イベント主旨に沿い、ヴィジュアル化しやすいワードだとさらに良しといったもの。

 コンセプトやテーマ、タグラインやキャッチコピーを作り、それを補完するテキストを作るのは好きな仕事のひとつだ。ただ、今回は非常に難産だった。

 まず、与えられたお題(キーワード)が三文字のアルファベットの略語で、アルファベット一文字ずつを頭文字に使った言葉を3つ選び、意味が通じる(テーマになる)ようなパターンと、キーワードが含まれる、もしくはキーワードに言葉を足す、ふたつのパターンで考えていった。

 どちらの方向にせよ、なんとなくでも意味付けができたり、イベントに合ったかっこいい響きの言葉を探す。

 1週間ほどの間にそれらの条件をクリアしているであろう、いくつかの単語にたどり着いたものの、イベントのイメージに合った言葉として着地しているか?見たひとがイメージしやすい表現か?といった疑問を残したまま提出した。

 テーマ「案」なので、他からも別案が出されていて、おそらく今回は不採用だろうとのこと。自分の中でも腹落ちしないまま、提出期限を迎えてしまったんだから仕方ない。

 これから決まるものなので、イベント名もキーワードも明らかにせぬまま、ここまで書き連ねてしまい、なんだか自分でもつまらなくなってきたので、最近とっても気になったことを。

 とある日の地下鉄車内にて。座っていた僕からちょっと離れた斜め前に立つその男性は、最近ではあまり見なくなったが、90年代前半には「ギバちゃんカット」と名のつくほど流行った、柳葉敏郎スタイルの髪型だった。


ギバちゃんカット

 髪全体を前に流して、前髪だけを立たせる感じ。この前髪がほぼ直角に立ち上がり、トップの髪は黒々つやつやできれいに撫でつけられ、マスクからのぞくもみあげは長く、顎ひげに続いてるようだ。

 どこか不自然さを感じるそのヘアスタイルを、失礼ながら何度も何度も見てしまった。その後、同じ駅で降り、乗り換えホームに向かう道のりも一緒な中、彼の後ろを歩いていると衝撃が走った。

 通常、頭のつむじを起点にトップの髪を前に流す「ギバちゃんカット」。それが後頭部の中盤くらいから前に流されていた。前に流された髪と後頭部の中盤には明らかに一本のラインが入り、上下に分断されている。

 後頭部上側の髪は前というか頭頂部に向かって集合させるかのように幾重にも重ねられ撫でつけられた様はキャベツの葉のようだった。

 もちろん、どんな髪型にするのも本人の自由だけれど、いくらなんでも強引すぎやしないか?それもまた個性なのか?でも、しっかりスーツを着てたから、会社員としては悪目立ちしないか?一緒にいた上司っぽい人は突っ込まないんだろうか?いや、今の時代言っちゃいけない感じか?

 そんなどうでもいい色々を考えている中、彼と上司は反対のホームへと消えていった。



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