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創作の顛末


不意にバジルを購入したため、何か活かせる料理はないかと思案したところガパオライスに行き着いた。
大人はともかく子供がアジアンメニューをどう捉えるかは賭けであったが、ひとまずチャレンジすることとする。

鶏ひき肉の代わりにもも肉と豚こまを包丁でぶっ叩いたものを。足りないボリュームの援護にエリンギを。
つぎはぎだらけの綱渡りで調理を進め中盤もすぎたあたりで、そういえばパクチーを既に先日猛然と食べ散らかしたことに気づいた。

個性が強すぎて代用品のあてがない。あの独特な香りに病みつきなのは確かなのに、手元にないとうまく思い出せないのも不思議だ。
似たもの、もしくはこの際似てなくてもいいから少々やんちゃな食材…

野菜室で、薹が立ったに違いない春菊の姿をとらえた。ふだんは優柔不断なのに、こういう時にはすっかり調子に乗って無鉄砲な行動に走る。
勢いに乗って、刻んだ春菊をえいやとフライパンに投げ込んだ。
すき焼きにおける存在感からして、おそらくパクチーと並ぶ魅力を発揮してくれるのではないか。


それからのことはよく覚えていない。
おぼろげに記憶に残るのは、家族は気遣って完食してくれた一方で、率直な男児たちはガパオライスもどき表面の目玉焼きを綺麗に剥ぎとり、保険で作っておいた好物のスープの器のみを空にして立ち去る有様。
なぜ私はあの時、野菜室を覗いてしまったのか!

明日こそは、己の欲に打ち勝ち
アンパンマンカレーを正直者たちに捧げようと誓った。

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