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FUSiON 2023年と2024年 ~OBCプロジェクトとは~


FUSiONの2023年

さて,本日でFUSiONの2023年のアドベントカレンダーも最終日となりました.ここでチームFUSiONの2023年を振り返っていきましょう.

2023.3~種子島ロケットコンテスト/H3 TF1~

今年の種子島ロケットコンテストは2023年3月2日~2023年3月5日にかけて実施されました.
昨年の大会では遠隔制御カムバック優勝という結果だったのに対してオリジナルミッション準優勝となり,悔しさが残る結果になりました.

種子島ロケットコンテスト2023出場機体と準優勝の記録

大会終了の2日後,3/7には国産の新型ロケット「H3 TF1」の打ち上げが行われました.この日,FUSiONは同じCanSat団体「あかとき」さん,「PLANET-Q」さん,「R-SEC」さん,違う場所ではロケット団体の「CORE」さん,「ロボメカ工房」さんと共に打ち上げを見守りました.

H3 TF1打ち上げ見学.あかとき,PLANET-Q,R-SECと共に.

2023.3~東京ととびもの学会~

大会が終了して間もなく,3月12日には東京都板橋区にて東京とびもの学会が開催されました.ここでは,打ち上げ機会を失ったロケット団体「CORE」さんとの共同プロジェクトについての展示を実施しました.

伊豆大島の上空数百mから落下し,地形をスキャンするプロジェクト

2023.8~帝京大学 宇宙システム研究会訪問~

帝京大学宇都宮キャンパスにて

後述の宇宙品質機器を開発するプロジェクトに向けて,実際に人工衛星の開発・製造や運用を行っている学生団体の,帝京大学宇宙システム研究会を訪問しました.
衛星運用の地上局や開発室,試験機器やアンテナなどを見学させていただきました.

2023.9~新プロジェクト公開~

FUSiON ORIGINAL OBC

ここで,FUSiONの新プロジェクトを公開しました.
従来のCanSatがCanSat「競技」のために作られる成果物であるのに対し,本プロジェクトではより実践的な宇宙工学の技能を身に着けるために『宇宙利用可能な衛星搭載コンピュータの開発』を開始しました.
JAXA等の標準に準拠し,放射線や真空などの試験を実施します.

2023.10~MakerFairTokyo出展~

10月には,東京ビッグサイトにて開催されたMakerFairTokyoへの出展を行いました.
FUSiONが新プロジェクト「FUSiON ORIGINAL OBC」を公開した直後となり,CanSatと共に新規プロジェクトについての紹介を行いました.
また,昨年のARLISSで使用したCanSatの設計データと組み立て手順書を整備し,オープンソースとして公開しました.

MakerFairTokyoにて来場者に説明を行う様子

このように,FUSiONの2023年はかなり出展や外部との交流が多いものになりました.CanSatやロケットなどの学生サークルに留まらず,現場のエンジニアや関連する社会人の視点は今後の開発に活きるものになりそうです.

FUSiONの2024年

さて,ここまでFUSiONの2023年について振り返ってきました.
ここからは2024年の活動について紹介していきます.

FUSiON ORIGINAL OBC

FUSiON OBCプロジェクトのキービジュアル

FUSiONは9月16日のツイートで,『New Project 始動』と題して,衛星のOBCを開発するプロジェクトを公開しました.

OBC(On Board Computer: オンボードコンピュータ)……OBCとは On Board Computerの略でデータの処理や記憶、他の系の作ったものへの指示を出す、言わば人工衛星の頭脳です。

九州工業大学 衛星開発プロジェクトより

現在,研究開発やビジネスの領域で宇宙開発に携わる機会が増えてきている一方,大学などでCubeSatなど実際の衛星開発にかかわれる学生の数は限られており,人材育成が大きな課題となっています.
その一方で,宇宙工学分野でCanSat競技は多くの学生が関わっており,競技の技術レベルに目をつぶれば多くの人材が育っていると言えます.

しかし,やはり事業として衛星開発に関わっている方に話を聞いてみたところ,戦力としてみることができるのは「フライト品に関わっていた方々」だといいます.衛星開発ができる環境は限られている,だが衛星開発に関わった人材が求められている.
ここでFUSiONは『競技人口が多いCanSatの一部を衛星同等にし,衛星レベルの開発経験者を増やす』ことを新しい目標にしました.

OBC(On Board Computer)とは

OBCの例(credit: Aalto Satellites)

上の画像が実際の衛星に搭載されているOBCです.
簡易な衛星では一般教育用のマイコンボードのArduinoRaspberryPiがOBCとして使用されることもあります.
実際に衛星用OBCを作るとなると,放射線,熱サイクル,真空環境での動作が可能である必要があります.現在,私たちのチームは衛星開発に携わったことがある経験者が7名,6つの衛星開発現場から集まったノウハウを混ぜ合わせて開発を行っています

宇宙品質の設計を行う上で必須のJAXAの設計標準書

このプロジェクトを行うにあたって,「他の団体も宇宙品質の開発にチャレンジできるようになる」ことが重要になってきます.
そこで,私たちはこの挑戦の成果物に加え,プロセスや開発の過程をすべてオープンソースにします.この私たちのデータを利用して,衛星搭載基板として利用されることや,ほかの団体が宇宙品質機器の開発に挑戦できるようになる日を待ち望んでいます.

FUSiONに関心を持ってくれた方へ

上に記したように,FUSiONはこれまでに大学衛星や企業インターンで衛星開発に関わってきたメンバーが集まって開発を行っています.もし今後,メンバーとして開発を行ってみたい方は,ぜひ,声をかけてください.
衛星開発経験以外の現場でも,プログラミングや電子工作,無線通信や加工製造,CAEなどの経験がある方は大歓迎です
ものづくり経験がなくても,将来宇宙開発やものづくりの世界に関わりたいといったモチベーションがある方も大歓迎です
ぜひFUSiONのX(Twitter)のダイレクトメッセージや応募フォームから連絡ください.

他団体や企業の方でもFUSiONのメンバーが気になる場合はぜひ技術交流会などを行いましょう.こちらも気軽にご連絡ください.

OBCプロジェクト以降

このFUSiONで作成したOBCは9月にアメリカ・ネバダ州にて開催されるCanSat大会「ARLISS」にてCanSatに搭載することを最終目標にします.
もちろん,CanSatに搭載するだけでなく,開発の中では放射線や熱サイクル,真空の試験も行います.

しかし,それ以降もFUSiONは衛星レベルの開発にチャレンジしし続けるべく,電源や通信,姿勢制御などのコンポーネントやソフトウェアを中心に宇宙レベルの機器の開発とオープンソース化を続けていきます.
私たちの活動と挑戦を温かく見守って下さるとチーム一同嬉しいです.

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