見出し画像

349 冬の武家屋敷を歩き歴史を知る~秋田県・角館


秋田に来ました。北東北にやって来たのは息子が浪人生のときだったから、実に3年ぶりです。このときは主に白神山地をめぐりました。

今回は秋田駅からこまち号に乗って内陸に向かいます。

やってきたのは角館。前に来たのは30年以上前のこと。北海道から夜行で青森まで来て、そこから秋田経由盛岡行のエル特急「たざわ」でここまで来たのを覚えています。そのころは角館町でしたが今は仙北市。何から何まで変わってしまいました。

角館町の観光シーズンはなんといっても桜の咲く4月下旬から5月にかけてのゴールデンウィーク。今は桜はもちろん木々の枯れる冬でありオフシーズンになりますが、懐かしさもあって訪ねることにしました。

樺細工のお店がありました。角館はヤマザクラの樹皮で作る工芸品、樺細工の一大産地として有名です。

深みと光沢のある茶色がとても美しく、茶筒や湯呑、文箱などに加工されています。一家に一品置いておきたい伝統工芸品です。

今回は時間がなく立寄れませんでしたが、こちらの仙北市立角館樺細工伝承館ではそんな樺細工の展示や製作実演なども行っているそうですよ。

街を歩いていると随分と年季の入った建物が目に入りました。雑貨店「イオヤ」。大正時代に建てられた石造りの建物はかつて角館のデパートと呼ばれていたそうです。

大正モダンな洋風建築はこの地域ではかなり異色のもの。当時の伊保家の新しいものを取り入れる気質が現れていますね。今もここは雑貨店として活用されています。欧州にもあるように石造りの建物は長持ちします。これからも街の財産として活用を続けていってほしいものです。

角館駅から歩いて15分ほどで武家屋敷群に到着します。角館最大の観光スポットです。桜の時期には黒塀をバックに華やかに咲き誇る枝垂桜の姿を見に多くの観光客がここを訪れます。ここは他の武家屋敷のある町に比べてかなり道が広いのが特徴です。

蘆名家に仕えた河原田氏の住宅。

角館の武家屋敷は江戸時代初期、当時ここを治めていた蘆名氏が城の南麓に城下町を築いたのが始まりです。蘆名氏断絶後にこの地に入った佐竹北家(さたけほっけ)によってさらに町は拡大、整備されて今に残る大規模な武家屋敷群が形成されました。

門前に残る秋の残り香。
城下町の特徴である「桝形」はこの地にも。

数ある武家屋敷の中、立ち寄ったのは「青柳家」。蘆名氏や佐竹北家に仕えた家臣の居宅です。今は江戸時代の武家の住まいの様子を伝えるだけでなく、明治・大正期の史料も見ることができる角館の歴史資料館となっています。

茅葺屋根には落葉と雪が残り秋と冬が入り混じります。

勇壮な甲冑などの展示を見ると、そんなはずはないんですが今にも襲ってきそうな感じがしてちょっと怖いですね。

こちらの建物は「秋田蘭画」という西洋画の一派を創始したとされる小野田直武の資料館。誰?と思った方もいると思いますが、

この絵は教科書で見たことがあると思います。杉田玄白らによる「解体新書(ターヘルアナトミア)」。その扉絵を描いた人こそこの小野田直武なのです。小野田の師匠は発明家として知られる平賀源内。平賀と玄白が親友であり、その紹介で西洋画のうまい小野田に白羽の矢が立ったそうです。角館がターヘルアナトミアと関りがあるなんて初めて知りました。

このほかにも青柳家では大皿の展示や

蓄音機、
クラシックレコード、

カメラなど、近代発明され進化していった機器の展示が多くなされています。武家屋敷でこういった機器をこれだけの規模で展示している施設はなかなかないなと思いました。詳しくないので行けませんが、マニアの方が見たら垂涎物のレアものの展示もあるかもしれませんよ。

角館駅に戻ってきました。実は角館に来たのはもうひとつ目的があります。ここを起点に秋田県北部の鷹巣までを結ぶ第三セクター鉄道「秋田内陸縦貫鉄道」に乗るためです。その乗車記についてはまた次回お伝えしたいと思います。

















サポートいただけたら小躍りして喜びます! 今後一層フットワーク軽く旅先に向かい、情報提供に努めたいと思います。 よろしくお願いいたします!