219 万葉線「ドラえもんトラム」で黄昏に浮かぶ帆船を訪ねる
「万葉線」という名前を聞いて、「あー、あそこを走る列車ね」と答えられる方は、地元の方か鉄道ファンだけだと思います。
富山県は路面電車が2か所で走っており、ひとつは県都富山を走る富山地方鉄道。
そして、県第2の都市高岡にも走っていて、それが今回ご紹介する万葉線なのです。
万葉線は北陸新幹線が開業した際にリニューアルしたJR高岡駅の1階乗り場から発車します。
駅に入ると待合室でドラえもんポストがお出迎え。待合室を出ると路面電車乗り場に出ます。
と、なんとこちらもドラえもん。
高岡市はドラえもんの作者である藤子・F・不二雄先生の出身地。いたるところでドラえもんがお出迎えをしてくれます。
この「ドラえもんトラム」は2012年9月8日デビュー。ドラえもん生誕100年「前」を記念して登場したものです。
車体もそうなんですが、車内もドラえもん色満載。タケコプターで飛ぶジャイアンたちや、
座席にはドラえもんの秘密の道具で彩られています。
万葉線は、高岡駅と射水市の越の潟(こしのかた)駅を結ぶ第三セクターの鉄道です。途中の六渡寺(ろくどうじ)までは路面電車、その先越の潟までは専用軌道を走ります。
かつては「加越能鉄道」という私鉄が運営をしていましたが同社がバス転換を表明した際、存続を望む高岡市と旧新湊市が中心となって第三セクター「万葉線株式会社」を設立、2002年から同社が運航を担っています。
高岡市内の路面電車区間は基本単線。退避場が設けられており反対列車と行き交います。
「万葉線」の名はかつて沿線の伏木に大伴家持が越中国守として赴任していたことがあるから。駅にはそれにちなんだ万葉歌も掲げられています。
高岡市から50分ほどで終点の越の潟駅に到着。
地図で見てお分かりの通り、越の潟駅は湾の先端に位置する駅。
駅のすぐ向かい側には渡船があって、湾の向こう側に渡ることができます。電車からの乗り継ぎ客を待って向こう岸へと出発していきました。車は乗れませんが、自転車、バイクは乗れるようです。
もともと越の潟は終着駅ではありませんでした。富山地方鉄道射水線の途中駅で線路はもっと富山方面まで延び、富山の中心部、新富山駅まで走っていました。しかし新富山港を掘削して線路が分断されることになったため、越の潟より先が廃止されたのです。なお、新富山駅は現在「トヨタモビリティ富山 Gスクエア五福前(五福末広町)停留場」という日本で一番長い名前の駅となっています。
富山新港には新湊大橋という大きな橋がかけられており、車はこちらを利用します。わたしも通ったことがありますがオーシャンビューの爽快なドライブが楽しめる道路です。「あいの風プロムナード」という歩道があって、エレベーターで登って向こうまで渡ることができます。風めっちゃ冷たそうですが…。
わたしは橋げたを見ながら西方面へと歩きます。この日は時折小雪もちらつく天気。
3日前に菜の花の咲く太平洋を見たばかりなのに、今見ているのは寒風吹きすさぶ冬の日本海。振り幅大きいです。
悲しみ本線、にほんかーーーいーーー♪
と、歌っているとたどり着いたのは海王丸パーク。
公園のデッキを歩いていると見えてきました、海王丸!
商船学校の練習船として昭和5年に進水。以降平成元年まで活躍した海の貴婦人です。今は営業時間外であり、風も強かったせいか帆をひろげた姿を見ることはできませんでしたが、夕空に浮かぶ帆船の姿はそれだけで絵になります。
最近至る所で見る桂由美の「恋人の聖地」。ここにもありました。すこし暗くなってきたこともあってピンクにライトアップされています。
海王丸が2月14日に進水したということもあって、海王丸で幸せのベルを鳴らす結婚式を挙げるカップルも多いそうです。
海王丸パークの最寄り駅、万葉線の海王丸駅に戻ってきました。写真を見てお分かりのように、ここは専用軌道です。駅舎があまり海王丸感がないのが残念ですね。
帰りは旧新湊市出身の立川志の輔さんがアナウンスを務める列車で高岡まで戻りました。各駅を冗談を交えて紹介していくんですが、やや声が大きいので会話をしたい人には少々…?
高岡では駅前の「次元」さんで名物ブラックラーメンをいただきました。寒空の中歩いた私を体の中から温める至極の一杯。色のわりに辛さはさほどなく、スープまで全部おいしく頂きました。
店を出ると本格的に振り出していた雪。あわててホテルに逃げ込みました。
海王丸や高岡を代表する観光地高岡大仏を訪ねるのにも便利な万葉線。ゆったりのんびりのローカル線の旅をみなさんもぜひお楽しみください。
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