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SAJ2023のトークセッションはどのような特徴があったのか、ChatGPTと考察する

前回の記事の続きです。具体的にトークセッションをレビューしていきます。

今回はトークセッション全体をChatGPTと俯瞰的に眺めてみる回とします。

ChatGPTが示すSAJ2023のキーワード

まずは公式HPに載っている概要文を要約して、ChatGPT4に意見を聞いてみました。

【問】
・上記の各段落(=公式HP掲載の概要文の要約)は、スポーツカンファレンスのトークセッションの要約です
・あなたは、あるスポーツカンファレンスのチケットマーケターです。
・このカンファレンスで興味を惹くキーワードを5つ提示しなさい。

回答】
"スポーツアナリティクス"
"データ駆動型パフォーマンス"
"スポーツテクノロジー"
"スポーツにおけるWeb3"
"スポーツビジネスにおける女性"

wright with ChatGPT4

キーワードを5つあげてもらいましたが、上位4つはアナリティクス、テクノロジーに関連するワードなのに対し、5つ目に「女性」というワードが出ています。

女性登壇者数、比率は上昇

今回のカンファレンスでは女性登壇者が25%になりまして、過去のカンファレンスが10%前後だったことを考えると大きな変化の年になりました。

「する」「みる」「支える」など、スポーツに何かしらの形で関わっている人は男女同じくらいいるはずなのですが、スポーツの問題を解決する方法論を取り扱うアナリティクスカンファレンスで女性登壇者が10%程度だということは、取り扱っている内容に大きな偏りがあるという理解をしています。

いままでのカンファレンスでも全く意識していないということはなかったのですが、強く意識しないと変わらないことがわかったので「Connegting The Dots」として点と点を繋ぎ、文化としてのスポーツアナリティクスを醸成していくSAJ2023としては、まず女性登壇者や参加者を増やす取り組みを意識的に進めてきました。

MIT SSACのファウンダーのJessica Gelmanさんが今回のSAJ2023でも「ガールズスポーツの環境をリデザインする」のセッションで「例えばSSACでは6年前から過小評価されている女性や多様な若者を対象として、女子ランチ会を開いたり、メンターシッププログラムを創ってきた。」と語っています。

Jessica Gelmanさんは桂葵さんのZOOSの活動に対して、新しいプロスポーツが地域社会に提供する価値の例でSTEM教育をあげており、その過程で上記の内容を語っています。また、STEM教育とプロスポーツチームのパートナーシップに関する話は「モータースポーツのポテンシャルを解き放つ挑戦」でもBeth Parettaさんが事例を言及しています。

お2人とも欧米のプロスポーツでよく見られる巨大な放映権ビジネスとは異なる文脈でお話いただいていますが、これは国内、および地域社会への価値提供が中心となっている日本のプロスポーツ産業でも参考になる内容かと思います。

「選手評価の研究とリクルーティングへの応用」でもマネーボールの原著でのポール・デポデスタの活躍の話が出ていましたが、当時のアスレチックスのように、アナリティクスは本来価値が高いが過小評価されているものを客観的なデータで可視化できるという機能があります。

なにかの力学が働いていることでマイノリティになってしまっている事象に注目し、その本来の価値を可視化する取り組みは、個人的にもアナリティクスが一番輝く話だと感じています。

主なターゲット

【問】
・このカンファレンスの主なターゲット層を5つ特定してください。

回答】
スポーツアナリストとデータサイエンティスト: このグループは、スポーツにおけるデータ分析の役割、パフォーマンス分析に使用するツール、キャリア開発に関する議論に高い関心を持つでしょう。

コーチとスポーツプロフェッショナル: アスリートのマネジメント、ゲーム戦略、チーム開発に直接携わっている方々は、森保一氏や栗山監督のような著名人による洞察に興味を持たれることでしょう。

スポーツビジネスにおける女性たち: 女性アスリート特有の生理的ニーズの管理(フェムテックトレンド)、「スポーツビジネスの分野で女性が輝くためのビジョンと戦略」などを取り上げています。スポーツ業界で働いている、あるいはこれから働こうとしている女性を惹きつけることでしょう。

スポーツマーケティングのプロフェッショナル:ファンマーケティングやファンの強みをスポーツ産業に生かすためのディスカッションが行われている。スポーツマーケティングやその関連分野で働く人を惹きつけることができるだろう。

スポーツとデータサイエンスに興味のある学生: データサイエンス教育における競技スポーツデータの潜在的な役割に重点を置いていることから、スポーツとデータサイエンスに興味を持つ学生は参加することで大きな利益を得ることができます。

wright with ChatGPT4

今回のトークセッションのターゲット層についてChatGPT4に質問をしてみたところ、大まかには「アナリスト」「コーチ」「女性」「マーケター」「学生」という回答になりました。

女性活躍に関しては先程記載しましたが、「学生」を対象にしたセッションや学生の登壇者を増やせたこと、アナリストのキャリアに関するセッションや話が多かったことは今回の特徴だと思います。

現役学生が7名登壇

SAJ2023HPより「アナリストを目指す高校生・大学生はどのような学びと経験を積むべきか」

上の高校生、大学生が登壇したバーチャルトラックの「アナリストを目指す高校生・大学生はどのような学びと経験を積むべきか」というセッションを始めとして、現役の高校生、大学生、大学院生が7名登壇していました。

当日の運営補助のボランティアでも多くの学生が参加しており、学生をターゲットにしたトークセッションを多く作れた結果、学生の参加者も増えていたと思います。

SAJ2015~2017では「スポーツアナリティクス甲子園」というコンペティションを行っており、学生の参加者も多かったのですが、その頃以来のアナリストやデータサイエンティストを目指す学生向けのコンテンツが充実した場となったように感じます。

今回、「NF(中央競技団体)が取り組む野球選手のデータ取得とその活用」でも紹介があった野球分析競技会のように、スポーツアナリティクスが一般化されてきたことで、より専門性の高い人材を発掘するために競技や専門領域に特化したコンペティションが多く行われています。

その中で、SAJ2023の「Connecting The Dots」。点と点を繋ぐ。そして繋がる。というコンセプトの場が学生にとってどのような機能を果たしているのか、今後どのような場としてあるとより良いのかは気になります。

以上、SAJ2023の全体を俯瞰してみました。次回はフィールドマネジメントの問題に関するトークセッションの整理とレビューを進めていきたいと思います。

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