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なんでもランキング(投手編) 〜四国アイランドリーグplusデータレポート(7月第2週号)

目次


Rapsodo Stadiumの計測テストを開始

先週末、Rapsodo Stadiumという投手や打者の詳細なデータを試合中に測る機器のテストをしに、高知に行ってきました。

Rapsodo Stadium

リーグが主導して、詳細なトラッキングデータを簡易的な運用で取るテストです。

そこで取得できたデータや映像の詳細は現時点では球団の関係者向けに提供する形にしていますが、今後、リーグとしてリーグや野球全体に興味を持つファンを増やすための施策に使えないか検討している状況です。

ご存知の通り、MLBではリーグが主導して詳細なデータを取得し、公開することで球場に多く足を運ぶファンとはまた違った角度で野球を楽しんでいただけるファンへアプローチをしているので、その辺りの新規事業が出来ないか模索中となります。

なんでもランキングの「投手編」

Rapsodoの詳細な話は来週以降にするとして、今週は過去2週に渡って掲載した、なんでもランキングの「投手編」をお届けしたいと思います。

夏本番を迎えて各地でアマチュア野球の大会が本格的に始まり、各地でドラフト候補の投手のパフォーマンスが注目されています。秋のドラフト会議に向けて四国アイランドリーグplusにも魅力的な投手が多くいるので、様々な特徴を持つ投手をランキングで紹介したいと思います。

なお、前回、前々回の記事は下のリンクの通りです。

記事執筆前提となるリーグでの自分の役割は、下の記事をご覧ください。

ストレート最高球速

ストレート最高球速ランキング。球速の取得率は33%なので全てをカバーできているわけではない。

まずは最高球速のトップ20から見ていきましょう。以前、ストレートの平均球速のデータは出していますが、他のアマチュア球界でのドラフト候補は最高球速を報じられることが多いので、このランキングも出しておきたいと思います。

データはスポナビ向けの速報値を集計したものですが、164キロを計測したロドルフォ・マルティネスを筆頭に、150キロオーバーが11人います。球場によって球速が計測できていないところもあり、計測率は33%なので、実際にはもう少し多い投手が150キロを超えているかもしれません。これから秋に向けて、個人的にこの20人は抑えておいて損はないと思います。

特に、後期から登板している徳島ISの石川慎貴や、左投手で唯一トップ20に入っている徳島ISのシンクレアなどはまだこのnoteでも取り上げていなかったので、ぜひチェックしていただけると良いと思います。

ストレート奪空振り率

「空振りを奪った数÷投球数」が奪空振り率

投球の球質などを結果から評価する指標として、奪空振り率があります。いまのところ、最も空振りの取れるストレートを投げていたのは香川OGの赤尾侑哉でした。軟式出身の経歴で昨年から注目をされていた右腕ですが、球速以上に空振りの取れる球質や投球フォームを持ち、投球の高さに気を使っていると思われます。

変化球の奪空振り率

「空振りを奪った数÷投球数」が奪空振り率。ストレート以外を変化球としてまとめている。

ストレート以外の奪空振り率も見ていきましょう。今使っているデータはあくまでも速報値なので、球種の判別が必ずしも正しくはありません。そのため、詳細な球種で分けることはやりづらく、変化球を一括りにしています。

このランキングでは、1位に香川OGの松下勇輝が入りました。松下は横手投げの投手で、右打者へのスライダーなどで空振りを多く奪っています。3位に入っている愛媛MPの馬渕歩空縦の変化球で空振り三振を奪う場面が目立ちます。

ストレートの被打率

ストレート被打率(被安打÷打数)ランキング。被長打率も掲載。

次に、ストレート被打率のランキングです。愛媛MPのピダーソン和紀が.149で1位になっており、ストレートで安打を許さない投球を見せていました。ピダーソンはツーシームも持っているので、ストレートの奪空振り率は上位ではなく、奪三振数もそこまで多くはないので、バットに当たっても芯で捉えづらい球質なのではないかと思われます。

3名ランクインしている左投手も注目で、徳島ISの藤田淳平愛媛MPの立本颯高知FDの瀬古創真は最高球速が140キロ台前半〜半ばですが、良い球質や良く制球できたストレートを持っていると考えられます。

変化球の被打率

ストレート以外の球種の被打率(被安打÷打数)ランキング。被長打率も掲載。

最後に、ストレート以外の球種に関する被打率をランキングしました。

ここでは、香川OGの中川英和がNo.1。右横手から左打者にはシンカー系右打者にはスライダーで空振りを奪う投球を見せています。↑のテキストにソフトバンク三軍戦で連続三振を奪っている映像をリンクしましたのでどうぞ。24 1/3回で与四死球が21という制球面の課題はありますが、一芸という観点で注目の投手です。

攻撃チーム別:ストレート変化球別打撃成績。ストレート以外をすべて変化球としてまとめているが、変化球はだいぶ打撃成績が悪化する。

ただし、四国アイランドリーグplusなどNPB一軍とは少しレベル差のあるリーグの特徴として、打者の変化球への対応が弱いという傾向はあるかもしれません。

上の表は各チームごとのストレート、変化球に対する打撃成績ですが、ソフトバンク三軍も含めてどのチームもストレートに対して変化球の数値が大きく悪化しています。NPBの一軍のデータが今手元にないので正確にはわからないのですが、ここまで大きな開きはなかったはずです。

四国アイランドリーグplusはストレートの平均球速が140キロ程度のリーグにはなってきており、そのストレートには対応できる打者が増えていますが、変化球への対応力が今後の打者の課題になってくるでしょう。

ここまで投手に関するランキングをいくつか紹介しましたが、どのランキングでも上位に顔を出している徳島ISの椎葉剛についても、最後に触れておきたいと思います。

この映像にある通りストレートで空振りを奪う姿はもちろんのこと、今回のランキングでも出ている通り変化球もリーグの中で上位なので、総合的に高く評価されるべき投手だと思います。

四国アイランドリーグplusでの試合前の練習の様子

以上、紹介してきた投手はすべて、さらに高いレベルに挑戦できる能力を持った投手です。四国へお越しの際は、球場でぜひ彼らの活躍を見てください。

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