Logicool G703h辛口reviewと乗り換え先オススメ

多分普通のレビューは既に沢山あると思うので、現在2021年中頃のFPS向けゲーミングマウス市場感を鑑みてこのマウスを辛口にレビューしてみたいと思う。

1.メーカー

メーカーという見出しもまぁどうかとは思うがまずこのマウスはLogicoolというブランドから出ている。ロジクール。PCゲームをする人のみならず、ゲーム配信等でロゴが出てたりするのを見たことがある人も多いと思う。
言わずもがな最大手といっても差し支えないだろう。
先駆者でもあり、今現在地方の電気屋でもゲーミングデバイスが手にはいるのはロジクールの功績がかなり大きい。
こちらの方の記事が専門的であるがその解説をしてくれているので気になる方は読んでみて欲しい。

という訳で、入手の容易さや供給の安定度で言えばトップクラスである。
後述するが対抗馬や乗り換え先に検討できるマウスはAmazonですら手に入らないこともままあり、チェーンの大きな電気屋に行けば手に入るというのはロジクール製品のとりわけ大きな優位点と言えるだろう。

2.形状と生い立ち

次に形の話だが、大きく分けてゲーミングマウスには二種類ある。

・左右対称型

・左右非対称型
である。

G703hは左右非対称型(以下非対称と略)にカテゴライズされる。
非対称というと様々な形があるように感じるが、今回はMicrosoftが過去に出していたIntelliMouse Explorer 3.0(通称IE3.0)というレジェンダリーなマウスをリスペクトした形状のマウスを指す。IE3.0クローンとも言われる。

こちらの復刻版のレビューにIE3.0の歴史も書いてあるので興味のある方参照してみて欲しい。

非対称型のゲーミングマウスの成り立ちとして、2000年代後半当時FPSではトップ層のゲーマーに猫も杓子もといったレベルでIE3.0が使われていたのだが、生産を終了してしまいストック品がプレミア価格で取引されるほど需要が高まっていた。

その需要を満たすためにRazer Deathadderが出てきたのがクローン界隈の始まりだと思われる。そのDeathadderのヒットに後追いする形で様々なメーカーからクローンが出たり本家IE3.0が復刻販売したりなどしてシーンが盛りあがっていった。

始まりのDeathadderや名機だったSteelSeries Rival、Zowie ECシリーズなどは今でも新機種が出るなど、ゲーミングマウスのスタンダードな形状の一つとして根付いている。

そんな中、当時ゲーミングデバイスを広く展開していたロジクールはというと、意外にもこのタイプのマウスは出していない。

右利き用の非対称形状のマウスこそあったものの、どちらかというと機能盛り盛り系のガジェット感に富んだモデルがメインであったように感じる。筆者もG500という当時一番FPS向けのマウスを持っていたが、IE3.0系のマウスとは別物であった。(ただこのタイプの形状はRoccat koneシリーズ等で現在も存在はする)

そんな我が道を行っていたLogicoolから2016年、遂にIE3.0クローン系と言えるG304が発売され、そこから定期的に同形状のマウスが発売されている。

その系統の最新作がG703hなのである。

特徴としてはIE3.0を模しつつ、接地面の後端がスパッと切られていたり独自のノウハウや機能を盛り込まれている。

前述のSteelSeries RivalやZowie EC-2の人気のあるクローンと比較すると本家と同じく後部に高さがあり、手の平の窪んだ所にマウスがしっかり当たる。ここは後述するが少し好みの別れるポイントかもしれない。

3.時代遅れポイント

そしていきなりのディス。

スペックというよりは流行ってるゲームとの相性であるが、近年良くプレイされるFPSとしてApexlegendsやFortnite,Varolantが挙げられる。これらのゲームはスピード感に溢れておりレティクルを目まぐるしく動かさなければならない。

その為軽くて振り回しやすいマウスがここ数年主流となっており、同じロジクールのフラッグシップモデルであるGPRO X SUPERLIGHTで61g、有線であれば50gを切るようなマウスがあったりする。

軽すぎるとコントロール性に癖が出るので概ね70g前後が最近の競技用マウスのスタンダードと言えるが、その中において95gという数年前のIE3.0クローン系に更にワイヤレス要素を足したようなG703hの重量はいささか時代遅れである。

更には持ち方も腕をガッツリ動かして狙う被せ持ちから手首や指に重点を置いた掴み持ちやつまみ持ちが主流になってきている。

その面でもG703hの重さが足枷になるのは勿論、背の高さがグリップしたときの指の自由度を減らしてくるのもマイナスポイント。
手の平部分に空間を作って持ちたい人には合わない形状である。

サイドの窪みの無さや傾斜感も手伝ってリフトアップし難いのもプレイスタイルによってはマイナスに働くだろう。

等々、総じて設計が時代に置いていかれていると言っても過言ではないだろう。



4.それでもG703hを買う理由

とはいえG703hをチョイスする理由も十二分にある。

・重さ
結局プレイスタイル次第であり、例えばローセンシで後衛火力を出すタイプのプレイヤーには今時のマウスより安定した持ち方ができて良いとも取れるし、重さも「止め」や「コントロール」を重視するプレイヤーには利点である。なにせApexのトッププロであるRasはG703hに更にウエイトを積んでプレイしているらしい。バケモン。
これからゲーミングマウスが軽いものばっかりになった際に、重たい側の選択肢としては全然アリとは言えるだろう。

・ワイヤレスであること
実は意外とワイヤレスで似たような非対称形状のマウスの選択肢が無く、現状安定して手にはいるのはG703hとRazer Deathadder V2 pro位なのである。(SteelSeriesのRivalシリーズ無線モデルはゴテゴテして更に重くなっており選択肢に入る人はかなり限られる)
ワイヤレスの快適さは一度味わうと変えがたく、どんなに高機能でも有線だと煩わしく感じる人も多い。現状大手の選択肢はこの二択なので、マイナーメーカーはちょっと...と思う人はこのどちらかを買うと良いだろう。

・供給が安定している
前述したが最大手のロジクール製品であり、故障したときに替えが利きやすかったりちゃんとメーカーで対応して貰えるのはメリットだ。コロコロ道具を変えたくないプレイヤーには意外と大きい要素だと思う。

5.他の選択肢が欲しい君へ

上で少し述べたが、最近(2021年6月現在)少しずつマイナーメーカーでは軽量ワイヤレスのIE3.0クローンが出始めているので、G703hに不満を持っていたり検討しているがもっと選択肢が欲しい諸君に何個か紹介したい。

・販売中

Ninjutsuo origin one x
筆者は今これを買って届くの待ち。
IE3.0を形状は忠実に再現しつつダウンサイジングを施してある。穴がない形状で最軽量クラスの66g。新興メーカーではあるが日本でも代理店が出来、取扱が始まったので興味のあるかたは是非。単品のレビュー記事も書きます。

Pwnage ultracustomErgo
パーツの交換ができ、穴あきと穴なしを選べる。軽いセッティングで69g(ドングルホルダー等々不要なパーツを外してもう少し軽く出来るらしい)。外装パーツにカラーバリエーションが大量にあり装飾グリップなども販売されているのでデスク上の色合いを気にするユーザーにはオススメ。


・今後発売

Pulsar Xlite wireless
有線版は持っているが驚異的な肉抜きにより49g。あまりにも軽いマウスはかえって紐を振り回してる感があるのでワイヤレス版は重量増にもよるが非常に期待大。50台前半だったら真打ちにもなれそう。穴開きまくりなので好き嫌いはあるが有線版の作りはしっかりしていたので良いかもしれない。

追記:書いてたら発表されていた。58gだそう。重量物が前側に纏められているので操作性は良さそうに感じる。値段次第だが購入してレビューしたい。


CoolerMaster MM731
60g未満で穴無しかつドングル収納やLEDなどのギミックが載っているという驚異的なマウス。G703h対抗を公式にアピールしているようなので乗り換え先にはもってこいかも。ずっとそろそろ発売と言われている様だが...


Glorious model D wireless
左右対称型のmodel Oは既に出ていて非対称型のこちらはそろそろ出る模様。69g。


今回は重さに焦点を当てたので70g未満ゾーンで例を挙げた。当然形状に多少差異はあり、特に頂点がマウスのどの辺にあるかやサイドの窪みの形状でフィーリングは大きく異なるので注意が必要だ。

6.まとめ

結論として言うとG703hは少し時代に置いていかれ始めたマウスと言える。

ただ、プレイスタイルや手のサイズ次第なのは勿論、供給が太い故に替えが利きやすかったりマウスソールに選択肢があったり、(少し値は貼るが)logicool機専用の充電しながらプレイできるマウスパッドが用意されていたり等、他にはない優位点が存在するのも確かだ。

筆者個人としてはフォルム自体は悪くないと思うので、軽量化されたG703X Superlight的なモデルが出たら間違いなく覇権を取るであろう。

Logicoolの展望も楽しみである。

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