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『音楽文』米津玄師2020TOUR/HYPE「友達にはなれない。でもだからこそ」


2020年2月28日♥90

「友達にはなれない。でもだからこそ、友達以上の関係を作ることが出来る。」
これは、米津玄師2020TOUR/HYPE広島二日目での米津さんのMC。

 私は友達や家族、最も一緒にいる時間の長い同僚に心の奥をさらけ出すことはしなし、されることもない。表層的な感情のみで付き合っている。でも、実際に会うこともない米津さんは作品やインタビューを通して心の奥底を私たちに見せてくれている。さらけ出してくれている。そして、それが私の心の奥底と呼応し、米津さんの心の奥底とつながっている気がしていたのだ。
 大抵の人は、心の奥底を周囲の人にさらけ出したりしないと思う。心の奥底には人から偽善と罵られる恐れがあるほど美しいものもあれば、インモラルなもの、醜いものもある。普段むき出しにていたら、日常生活に支障が出る可能性が大きいからだ。もしかしたら、米津さんも実際に周りにいる人には見せず、作品を通して表現しているのではないかとも思う。
 普段は周りには見せない心の奥底でつながりあっている。それが、米津さんとそのファンの「友達以上の関係」ではないかと思う。
 米津さんが音楽で救われてきたのと同じように私は文学に救われて生きてきた。自分のような考え方をする人間は周りにはいなかったけれど、本の世界では、何人も出会うことが出来た。それは、小説家という人たちが心の奥底をさらけ出して作品を産み出しているからだ。
米津さんの音楽を私は文学作品を読むように聴いている。心の奥にしまわれたたくさんの「自分」を曲の中に見つけながら。
 ライブツアー中にツアー内容について書くのは趣味じゃないのですが、自分が考えていたこととあまりにしっくりとくるMCを米津さんがされたので、今ここでどうしても書いておきたくなりました。

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