全員が参加する授業とは… in ルワンダ

ルワンダ生活も3週目。ルワンダには現地NGOとNGO併設の私立小学校でインターンをするために来ている。NGOの業務の都合で、先に小学校での活動を開始することになった。2週目頭から英語の授業に参加し、丸付けの補助などのアシスタントをしたり、メインで授業をしたりしている。主にP3とP4を担当していて、飛び入りで一度P1の授業にも参加した。

小学校には英語の先生が2人いる。P1~P3を担当しているウガンダ出身の先生とP4~P6担当のケニアの先生。ウガンダ出身の先生は、ポジショニングや子ども達のコントロール力が上手で授業に入らせてもらうと勉強になることが多い。P1にはフォニックスを教えていたり、たまにbluetoothで音楽を流したり引き出しが多い。ケニア出身の先生はベース割と怖めなのに、意外とノリが良く、未来時制の勉強で子ども達に将来の夢を話させた時、「コメディアン」「ラッパー」「シンガー」などと答えた子にその場で実演させるといった一面もある。2人から勉強させてもらうことが多くてとても有意義な時間を過ごせている。

更に、私が授業をしたときは、まずすごく褒めてくれる。私なりに目的をもって取り入れたアクティビティの意図を組んでくれて、僕も導入するよなんて言ってくれたりもする。その上で、複数の子ども達が理解できていなかったところを見て、こういうヒントを板書してあげると良いかもなどと助言までくれるのでとてもありがたい。

一方で、先生の問題というわけではないのだが、授業を見ていてもどかしく感じることがいくつかある。



①先生も生徒も時間を守るという概念がない


まずチャイムもなければ教室に時計もない。時間割も40分1コマ、基本1科目2コマ連続80分授業で、大休憩(午前・お昼・午後)以外のコマ間の休憩はない。

先生に関して言うと、コマ間の休憩がないから当たり前に前の授業から遅れて登場することになる。先生が来ず授業が始まらないで待ちぼうけなんてこともある。それだけでなく、終わりの時間もさほど気にせず時間を過ぎても授業を続けることもしばしば。(後で細かく記載するが子ども達は黒板を全て板書するので、10分先生が授業を延長すると、その後20分ノートを写す時間が発生し、30分次の授業が短くなるなんてこともある)

そして子ども達も、休憩間は120分ぶっ通しで授業という時間割で集中力が続くはずもなく、「トイレ行く」「水飲みに行く」「ボールペンのインクで手が汚れたので洗いに行く」などと頻繁に教室の外に出る。さぼろうという気は多分そんなになくてすぐ帰ってくるのだけど、多くの生徒が入れ替わり立ち替わり&タイミングを見計らないので、全体への指示だし中に話しかけられて授業が中断することもある。

更に、時間管理という概念がないので、何分以内に終わらせるとかそういう能力がまるで育っていないように感じる。先生たちも〇分という指示をまれに出すものの全く気にしないので無意味。

日常では時間を気にしないのんびりな風習は良いものかもしれないけれど、学校教育においては、時間管理の能力を身に付けるというのはとても大切なことだと個人的には思う。

押し付けはしないけど、私自身が時間管理を徹底することで、周りが少しでも気づいてくれたらいいなと思い、以下のことを徹底している。

1)必ず授業開始時間に教室に着いておく
 前の授業が長引いても何も言わないけれど、教室の後ろで待機する。
2)授業終了時間を守る
 どれだけ授業開始が遅れようと、終了時間は必ず守る。
3)あと〇分と指示を出すときは、極力守る&タイマーを使用する
 子ども達の様子を見て若干変更することはあっても、基本的にあと〇分という指示を守る。そしてスマホのタイマーを使用し、適度に残り時間を宣告する。(こっちにキッチンタイマーみたいなの持ってくればよかったと後悔中)子ども達は急かされるということを経験したことがないので、タイミングを見計らって急かすこともある。 (結構効果的な気がしている。)

少しでも学校の規律として時間管理を意識してもらえるように継続して頑張る。



②板書メインの授業

続いての問題は、とにかく板書中心であることだ。私立でさえ生徒たちに教科書がない(のか使っていない)ため、全てノートに書き写す。ちらっと覗いた感じほかの科目でも同様なのだが、なんせ問題文を写すのにとんでもなく時間がかかる。もちろん日本のワークシートみたいに、空欄だけを埋めて、問題文と答えがまるで一致しないみたいなことも問題だと思うのだけど、単語を変形して空欄に埋めるという日本で5分で済む演習問題に20分以上かけるのもいかがなものかと思う。更に、こっちの子からすると科目限らず1日中ノート写してるみたいな感じなので、ただの作業になっている可能性がとても高い。事実、問題の本質を理解しないまま、とんちんかんな答えを書いてくる子どもも多い。
ここで特に問題なのが、写すスピードの個人差がとてつもなく大きいという点である。ノートを写すのが早く問題も完ぺきに解ける子ども達は、簡単な問題5問解いただけで、みんなが終わるまで20分以上待ちぼうけ。
一方で、とんでもなくノートをとるのが遅い子もいる。ただ単に集中力がなくちんたら解いている子もいるのだが、ディスレクシアなどのLDかは判断できないけれど、明らか能力的に苦手なのだろうなと思う子もいる。基本的に全科目板書時間が授業時間の大半を占めるので、その子たちにとったらどれだけ苦痛な日々か。。ここで、今回の記事のタイトルの「全員が参加する授業とは」につながるのだが、そういった子たちに対してなんのフォローもないのだ。明らか追いついてないし理解もできていないのだけど、そのまま放置。置いてけぼり。ほとんどの子どもが終わるまで信じられないくらい時間をかけて待つけれど、それでも終わらない場合、ノートを写し終わることすらなく授業を終えてしまうのである。そこで私が実践していることは、

1)ExerciseのほかにExtraも用意する
 早く終わった&完璧に理解している子どもには、その日の授業だけでなく、前日の授業内容や前単元の内容を含めた演習問題を提示し、取り組んでもらう。そうすることで待ちぼうけ解消&教室が静かになる。(待ちぼうけの時間にはしゃいだり悪さをするのでその防止にもなる)
2)音読を導入する
 こっちの先生の授業は、子ども達に発言させる機会は多いけれど、基本挙手性なので、参加度の偏りがすごい。(日本の教育実習で高校で授業してた時とは比べ物にならないくらいみんな挙手する&アピール合戦なのでありがたい)そのため、問題文やその解答だけでも、全員に音読させ発声する機会を作るようにしている。そうすることで80分授業の中に波ができるし、英語は音と結びつけることも大切だと思うので、必ず音読を導入するように心掛けている。
3)ペアワークを導入する
 ペアワークを導入することで、全く分からないという状況を少しでも改善できればと思っているが、子ども達はペアワークに慣れていないので、少し収拾がつかず大変である。まず、誰とペアを組むかという指示を通すのに時間がかかる。ペアを作ったのにもかかわらず席を勝手に移動する子どもも出てくる&全く話さないペアもある。その上、ペアワーク終了後もざわざわしている。今は情けないことに、声を張ることでしかそういう時の場を収集できないので、現地の先生のように色んな引き出しを身に付けて子ども達を静かにさせる方法も活用したい。(ミニ体操とか魔法の言葉とかある)根気強くペアワークを続けることで少しでもフォローアップにつながればと思う。
4)視覚教材を導入する
 文字だけでの理解が難しい子どもに対し、視覚的に情報を与えることで少しでも理解につながればという想いで、単語のイラストなどを導入するようにしている。幸いICT化が進んでいる影響もあり、学校にパソコンルームとプリンターがあるので印刷は自由にできる。ただ、黒板が木製なので磁石で黒板に貼れないという難点がある。(せっかく日本から磁石持ってきたのに無意味だった。。)パソコンでカラー&アニメーション付きパワポを作成しても、そんなにパソコンの画面が大きくないので、3か所くらいで見せないと全員に届かない。現時点ではベストアイディアを見つけられていないのだが、少しでも視覚教材を導入できたらと思う。 (そもそも80分文字と音だけの授業なんて個人的につまらない)

以上のように個人的に必死に奮闘中である。



分かっていない子・ついてこれてない子のフォローをすごく必死に考えているのだけど、それが先生に伝わったみたいで「あなたは全員に理解させようと工夫して頑張って偉いね」と言われた。私の意図が伝わったことは嬉しいけれど、「それが学校では?!」という驚きもあった。特に義務教育である以上、小学校は全員が参加する授業であるべきだと思う。私の夢は「全ての子ども達が教育を受けられる世界になること」だけど、それって学校に行けたらゴールという訳じゃないなと強く思った1週間だった。学習内容を100%理解することがゴールなわけでもなくて、全員が少しでも参加して少しでも成長できる場を用意したいと思った。ルワンダの教育はエリートを生み出す教育だと言っているのを聞いたことがあるけれど、先生のこの発言そのものが、エリート教育を表しているのかとも思った。

なんにせよ、こちらからお願いしてインターンを受け入れてもらっている立場で改善を求められているわけでもないので、リスペクトをもって現状を尊重することがとても大切である。大まかな授業の骨組みはそのままにしつつも、せっかく3ヶ月もお世話になるのだから、1ミリでも生徒や先生にとって良い影響を与えられるように、頑張ってみたいと思う。(独りよがりにならないように気を付ける)


そもそも、どっぷり日本語で英語を勉強してきた身として、英語で英語を教えるハードルも高く、日々授業準備という名の事前学習も必須。とてもありがたい環境に感謝して、今学期が終わるまでの残り2カ月、頑張る。


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