過去作【透明人間はベールに包まれて】お焚きあげ・まだ旅の途中
(お空の上からメッセージ)
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この前のこと。あたしとね、お友だち4人で砂遊びしてたの。
最初なんとなくの流れで、あたしとエイコちゃんが一緒に遊んでたの。
木の枝とか葉っぱとか、石ころとか集めて、土を盛ったところに飾ってたの。
しばらくしてエイコちゃんは、ちょっと飽きたのか、ベンチのところへ行って休んでた。
少し離れたところでは、マリアちゃんが何かせっせと作っててね。
あたし、自分のをいっしょけんめい作ってたから後で気がついたのだけど、マリアちゃんのところに、リナちゃんがずっと座り込んで見ててね。何か話しながら遊んでた。
で、もうしばらくしてフッと顔をあげたら、さっきまで水遊びしてたアコちゃんがいつの間にかやってきてた。
マリアちゃんとリナちゃんと頭を付き合わせるようにして、3人でお砂でいっしょけんめい何か作ってたの。
そう……。あたしね、思い出しちゃった。
ずいぶん前にね、何人かで遊んだりしているとき、ふと気がつくと、わたしから、ちょっと距離を置いたところに、みんなが次々集まっててね。
あたしの前を、みんな通り過ぎて……。
たまに一人くらい「サユリちゃん、なに作ってるの?」とか言って、のぞき込む子はいた……かな。もしかしたら気のせいかもだけれど。
とにかく、誰かのところに続々集まって、みんなが遊んでいることがよくあったのね。
で、そういうとき、あたしは、あたしの遊びをやってる途中だったら、そのまま続けたりもする。
一段落してたら、みんなが集まってるところに、あたしもイソイソ移動してみたりすることもある。
みんなは、「あ、サユリちゃんが来た!」ていうような驚いた顔はせず、淡々と遊びを続ける。
そう、驚きも拒否もしないの。
集まってた子たちは、ただ淡々と遊びを続けている。
つまりね、あたしは、周囲のみんなにとって困る存在ではないようだ。
だから、とりあえずホッとする。
逆に、「サユリちゃんは、ぜったいココに居てほしい〜」などと求められることもほとんどないんだけれどね。
う〜ん、どっちつかず?
とにかく、そういうことが、よくありますのデス。
あたしね、ずっと前からそうだったみたい。
気がついたのはだいぶ大きくなってからだけれど。
大きくなってからも、ずっとずっと変わらない。
変わってないような気がする。
あたしが居ることで、その場の空気が変わったり、誰かがイヤな気分になったりすることは(おそらく)そんなに沢山は無くて、逆に「どこ行ってたのよー! 探してたんだよー!」なんていうふうに言われるわけでもない。
そんな感じで、なんだかぼんやりとした奇妙な気持ちになることが、ちょくちょくある。
でね。少し考えたんだけど。
あたし、本当は、透明人間じゃないかと思ったんだ。
ときどき、(理由は分からないけれど)姿かたちをを現わす。
なぜだか、あたしは、そういう風にできているような気もする。
パパもママも、あたしのことがそんなに必要じゃないような感じだったなぁ。
みんなは、あたし……「サユリ」という人間が、生きて存在してることは知ってる。なんだけど、不思議なことに、居ても居なくても驚かない。
だから、さっきの砂場の話もさ、あたしが一人で遊んでいても、みんなの中にいても、どっちでもいいんだと思う。
気楽でいいね! と思いつつ、ちょっと不思議だな……とも感じてた。
今よりもっと幼くて、自分がどんな風に存在しているかなんて、スッキリパッチリと分からなかった。言葉にも上手くできなかった。
なんというか……。
お友だちと一緒に遊んでいるはずなのに、なんだか、あたしだけ一緒ではないような、奇妙な感じする。……とか、ほら、うまく伝えられないーー。
ただ、なんとなぁくね、なんとなあ〜く、みんなと、あたしの間に薄い膜がずーっと張られている感じがするっていうか……。
ぁあ、もしかすると、わたし全部が薄いベールみたいなものに包まれているのかもしれない!
だから、みんなと一緒にいても、うっすら存在はわかるけれど、パッキリとは感じられない……のかな?
だから、みんな、あたしが一緒にいても、ちょっと離れたところにいても、気がつかないのかもしれないね。
そうかぁ〜。そういうことなのかぁ〜。
なんだか、ちょっぴり、さみしい気分もするな。
あたしは、さみしい。さみしいっていうのは、伝わらないもんなのかな……。
みんなと、もっと、ちゃんと一緒に、おしゃべりしたり、笑ったり、動いたり、いろいろ試したり、したいんだ。
けれど、あたしは、(理由はよく分からないけれど)薄いベールで被われていて、みんな通りすぎたり、気がつかなかったり……ということ?
あ。そうそう。
ときどきね、無性にみんなと一緒に遊びたくて大きな声を出すことがあるの。
そうするとさ、みんなビックリするのか、急に怒り出すの。
だから、「こんなことしたいな〜」とか、声に出すのも、ひといき考える。
もしかすると、あたしっていう存在は最初から必要ないんだけれど、ただ在ることで収まりがよいのだろうか。
まとまった塊のある場所から少し離れたところに、何か動くものがあったほうが、世界のバランスが取れるのかもしれないね!
だから、(何故あたしがその役回りなのか分からないけれど)膜に包まれたあたしが、ときどき遊びに出ていき、とにかく一人で遊び始める。
全体の動きのバランスを取るために。
そう考えると、あたしは、それはそれで居ても良いのかもしれないけれど……けれど、あたしは、なんだかさみしい。
気がつくと、いつも一人で遊んでて、さみしいんだ。さみしいよ。
ただね、薄いベールは「さみしい」けれども、ずっと、ずっと、あたしを護ってくれていた気がするよ。踏みつぶされても、温かなベールに包まれてた。
ありがとう。
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