「ブロッコライズド」を読んで
私のイチ推し作家である吉田棒一さんの本「ブロッコライズド」を読んだ。
外見サイズは厚めの文庫本。厚めの文庫本な時点で読み応えがありそうだが、実際に読み始めるとMr.インクレディブルの赤ちゃんの特殊能力並に見た目と質量のバランスがおかしく内容がズシリと詰まっている。常日頃の吉田棒一さんのtweetで垣間見られる言葉の氷山の水面下部分はこんなにも膨大だったのか。内容はエッセイ的なもの、小説的なもの、詩的なもの、ジャンル分け不能なもの、つぶやき、など。
一行で終わる話もあるかと思えば、急に長く語り始める。散歩中の犬(戦闘員)と飼主(指揮官)の戦闘能力、指導力を判断する話が、ページをめくると延々続いて驚く。
ひとつのテーマ、ひとつの言葉にロックオンした時の唐突に始まる執拗な探究の集中力と粘着力の発露が破壊的である。
生物学者が生物を解剖するように、丁寧に、偏執狂的に言葉を解剖していく。抽出された言葉のばかばかしさが、かえって日本語の構造についての非常に価値のある真面目な考察なのではないかと疑わせる。
ここで読者にハの字眉になる隙も与えず論考が鮮やかに展開していく。
かと思えば詩人が詩人らしいことを言う。
私は鳥好きなので、鳥についての話もあって嬉しかった。
鳥好きなので言うが、これはまったくその通りで、鳥に対する考察が正鵠を射ていて観察眼が流石である。
エキセントリックな文体は読者を選ぶし、あまり通好みに振り切れていると読み辛くなってしまうが、吉田棒一さんの書かれるものは、クールさと人間味が心地よく配合されていてすべて受け入れますと言う気持ちにさせられる。
まだまだ次の未読本が積まれているので引き続き味わっていこう思う。
私が吉田棒一さんにハマったきっかけ
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